【観戦記】10年第10節:浦和 2-1 名古屋
「フットボールをやろうとしているチームが、凡そフットボールの名に値しない放り込みオンリーのチームを叩き潰した」と豪語したいところですが、それは100%結果論。悲惨だった立ち上がりに2、3点失っていてもなんら不思議ではなく、そうなっていればそのまま大敗した可能性が高かったと思います。
もっとも前半20分頃に浦和がファイティングポーズを取り直してからの名古屋はこれまた悲惨としか言いようがない出来で、結局のところ両者の不出来な時間の長さを比較すれば2-1というスコアは極めて妥当なのかも。
3連敗だけはなんとしても避けたい浦和。久しぶりに55000人超の大入りとなった埼玉スタジアムでガンガンに飛ばしてくるかと思ったのですが、その期待はあっさりと裏切られました。高さで全く敵わないのに中盤の出足でも負けてボールポゼッションもままならず、再三CKを与えていてはそりゃやられますわ・・・
CKからの流れで浦和左サイドにいた三都主からのハイクロス→ケネディで失点。その前にもCKからケネディにやられかかり(幸いにもGK山岸が好セーブ)、さらには暢久が目の前の小川にプレゼントパス(小川がGKとの1対1を外す)とクラクラするような大ピンチが連続。前半15分くらいで事実上勝負が決していてもなんら不思議はないほど浦和の立ち上がりは不甲斐ないものでした。
特に暑さに弱いことで知られる暢久は前半集中力散漫としか言いようがないプレーを連発。あれだけ完璧にケネディにやられるとぼちぼち坪井に代えてマシューのスタメン起用を検討すべきでしょうな。逆に未だにマシューの実力に疑問符がつくようであれば、この補強は大失敗だったと認めているようなもの。
ところが名古屋が良かったというか、浦和がダメダメだったのは前半20分くらいまで。その後は名古屋の中盤がスカスカなのを利用して浦和はきっちりとボールを繋ぎながら徐々に反撃。
名古屋はどういうわけか途中から三都主が左サイドに張り付きっぱなしで、3-4-3みたいなフォーメーションにシフトしていましたが、ほとんど効果なし。というか、フォーメーション云々以前に名古屋の守備ってほとんど組織らしいものが存在しないように見えて仕方ないんですが・・・ 極端にいえばGK楢崎が一人でなんとかしているようなもので、楢崎がいなかったらボロボロじゃないのかと・・・
極めて堅固な守備ブロックを築く清水と闘った直後だと、名古屋は個々人が頑張っているだけで全く守備ブロックという概念がないとしかいいようがなく、特にバイタルエリアの守備がユルユル。左サイドから細貝→原口→柏木と繋いでの浦和のゴールは名古屋守備陣の欠陥を如実に表したものかと。
攻守共に連動性を欠いている名古屋はかつての浦和とそっくりと評されますが、2失点目に直結した千代反田の大失態に象徴されるように守備に関して言えばかつての浦和より個人能力に欠ける分格段に脆弱。
それだけに名古屋としては闘莉王の欠場が惜しまれるところかもしれませんが、闘莉王がいようといまいと中盤がスカスカなのはどうしようもなく、徹底して地上戦を仕掛けてくるチームには相当苦戦するものと思われます。闘莉王はハイクロスを跳ね返す能力は傑出していますが、1対1にはかなり脆くて裏を取られかかってPK与なんてしょっちゅうですから。
付言すると、攻撃面もケネディとワシントンの差がでかすぎて、往年の浦和のレベルに遠く及ばないかと・・・
逆転された後の名古屋はさらに悪いことに浦和よりかなり先に足が止まってしまい、攻めに出ては中盤で簡単にボールを奪い返されてカウンターを食らう始末。浦和が2度あったカウンターの絶好機を決めていれば楽勝だっただんですが・・・
もっとも浦和も終盤は完全に足が止まり、時間潰しも甚だ稚拙。名古屋の放り込み攻撃の前にヒヤヒヤさせられましたが、名古屋は三都主を下げてしまったためにまともなキッカーがいないのが幸いしてなんとか逃げ切り。
名古屋は闘莉王の他、金崎、マギヌンを欠き、さらに途中で玉田を負傷で欠いてしまいましたが、終ってみれば最後の放り込み攻撃に使える人材を全て欠いていた、ただそれだけのことで全員揃っていたとしても勝敗はともかく試合内容は大差なかったかも。
---達也--エジ---
柏木-------ポンテ
---細貝--阿部---
宇賀神-坪井-暢久-平川
-----山岸-----
34分:達也→原口
89分:柏木→マシュー
90+3分:ポンテ→堀之内
得点:48分 柏木、55分 原口
達也は前半ハイボールへの競り合いで増川とぶつかって脳震盪を起こしたのか、その後自ら交代を申し出て退場しましたが、結果的に見れば原口投入が奏功した格好。川崎戦でスーパーゴールを決めた達也ですが、その後どうもドリブルで仕掛ける意識が強すぎて回りが見えていないように窺われました。
原口は明らかに守備に難があり、終盤のボールロストには軽い殺意を覚えたりしますが(苦笑)、攻めている時のオフ・ザ・ボールの動きが改善されたせいか、柏木との相性は達也よりも格段に良さそう。セルが戻ってきて、サヌも控えているだけにこの日の1ゴール。1アシストという結果は本人にとって事の外嬉しいものかも。
最後の最後になってようやくマシューを投入しましたが、ボール触ったっけ???
締めくくりに鹿取投入。2、3球投げただけで1セープみたいな。
小川---ケネ---玉田
--ブル----中村--
----三都主-----
阿部-増川--千代-田中
-----楢崎-----
HT:玉田→吉村
56分:三都主→杉本
67分:ブルザノビッチ→巻
得点:13分 ケネディ
本文でも記しましたが、この試合で不思議だったのは名古屋の3-4-3へのシフト。
小川---ケネ---玉田
三都主--ブル---田中
-----中村-----
-阿部--増川--千代-
-----楢崎-----
こんな感じかな? 相対的に中盤に強みがある浦和に対してこのフォーメーションシフトで何をやろうとしたのか妖精のみぞ知るといったところですが、これじゃサイドはやられ放題な上にバイタルエリアがスカスカになってしまうのも道理。
さらに逆転された直後に高精度のクロスで浦和を苦しめた三都主を下げてしまう謎采配。下げるならほとんど何の役にもやっていないブルザノビッチだと思うのですが・・・ そして遅まきながらそのブルザノビッチを下げて放り込みのターゲットを一枚増やした後は4-2-2-2へ再度シフト。
でも名古屋の問題ってフォーメーション以前のところにあるような・・・ 2年前はSHとSB、あるいはSHとFWが連動してピッチをワイドに使いながら徹底してサイド攻撃を繰り返しつつも、ヨンセンのポストプレーを生かしながら小川が後方からズドンなんて敵ながら惚れ惚れするサッカーをやっていたはずなんですが、監督は代わらないのになんでここまで連動性を失ってしまったのか・・・ って、そんなことを浦和に言われる筋合いにはないか(自嘲)。
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