前半の出来からすればこんな大勝になるとは夢にも思いませんでしたが、兎にも角にも連敗ストップ。苦手の夏でフィンケ監督初勝利。降格圏にどっぷりと浸かり、突如監督交代という劇薬を投じた相手をアウェーで完膚なきまでに叩きのめしました。
負ければもちろん、引き分けでもチーム内に亀裂が走りかねないところを救うに十分な勝利。「和して勝つ」のではなく「勝って和す」のがプロ。「内容が良くて負ける」よりは「内容がイマイチでも勝つ」ほうがはるかにマシな時期に差し掛かっていただけに、存外の大勝で今後に弾みをつけてもらいたいものです。
ほぼ5-4-1といって良いほど守備的に構える京都の前に、ボールを支配しているというより単に持たされているだけという相変わらずの前半。中3日ゆえなのか、あるいは多少ペース配分を考えてのことなのか、前半の浦和はG大阪戦どころか広島戦と比べても格段に動きが悪く、FWどころか中盤にすらまともにボールが入らず、最終ラインでだらだらとボールを回す展開ばかりが目立ちました。
サヌが悪い時の平川のような非常に消極的なプレーに終始して(達也との連携もメロメロでしたが)左サイドの攻撃は全く形にならず、浦和の攻撃は右サイドを縦パスで崩すだけ。15分前後にエジや柏木の枠内ミドルシュートを機に多少攻勢に出る時間帯もありましたが、それも10分と続かず。
後半立ち上がりも局面に大きな変化はなく、「だらだらボールを回すがチャンスらしいチャンスはなく、しかも終わってみれば負けている」という「夏の浦和」の気配濃厚でしたが、その不吉な影を一蹴したのがサヌ。どん引きの京都守備陣の前でだらだらボールを回すだけで行き詰まり感が漂いまくる中、突如豪快なミドルシュートがネットに突き刺さって浦和先制!!! それまで全くいいところが無かったサヌが一発で閉塞した局面を打開しました。
京都にはまだ反撃には十分な時間が残されていたにも関わらず、先制されていきなりガタガタに崩れてしまうのは最下位に沈んでいるチームの悲しさでしょうか。先制した浦和は一転してエジミウソンだけを最前線に残し、やや引き気味に構えてカウンター狙い。対する京都は細かくボールを繋ぎながらサイドから攻めてきますが、浦和以上に怖さが無いんですな、これが。
また先制するまではそれほど有効に見えない浦和のボール回しも、いったん先制すると相手を疲れさせ、かつ時間を潰す上でなかなか効果的。京都くらいの相手ならおいそれとはボールを取られません。G大阪戦ではせっかく先制しながら自らのミスで同点に追いつかれてしまいましたが、この試合ではそういった愚を犯さず。
前掛りになった京都はバイタルエリアがスカスカ。いつもの浦和ならカウンターのチャンスで押上げが遅く、スローダウンせざるを得なくなってチャンスを潰してしまうことが多いんですが、この試合はカウンターがズバズバ炸裂。エジ→ポンテで追加点。試合終了間際には途中投入の宇賀神が諦めずに走ったのが効いて4点目。
この試合に彩りを添えたのがエジの得点。GKへのバックパスに猛然と詰めるエジにびびったのか、GK平井が痛恨の空振り!!! エジは半笑いで無人のゴールに流し込むだけ。最下位に沈むチームにとっては心が折れるでしょうな、あの平井のミスは。もっともサボらずにGKに詰めたエジへの報酬という見方もできましょうが。
終盤はいくらでも点が取れそうな雰囲気になって阿部どころか、スピラさえもボールカットから攻撃参加(笑) スピラは90分出来ることをアピールしたかったのかもしれませんが、いくらなんでもやり過ぎやっちゅーねん(苦笑)
ゴール裏は達也に点を取らせるべくコールを繰り返していましたが、今の達也はフォアチェックを忠実にこなすだけで精一杯なんじゃないかなぁ?(原口やセルはそれができないからスタメン起用されないんでしょうけど)
-----エジ-----
達也---柏木--ポンテ
---阿部--啓太---
サヌ-坪井--摩周-平川
-----山岸-----
72分 サヌ→宇賀神
77分 柏木→直輝
82分 啓太→堀之内
得点:53分 サヌ、64分 ポンテ、75分 エジミウソン、88分 宇賀神
出場停止の細貝に代わって啓太を入れるのは想定の範囲内。前節スタメンを外れたポンテがスタメン復帰して、直輝がスタメン落ち。前半のポンテの出来はお世辞にも褒められたものではなく(ポンテのみならず全体がイマイチでしたが)、スタメン起用には依然疑問符がつくところですが、柏木が前節SHでポンテ以上に使い物にならなかったためやむを得ないんでしょう。
どう見ても直輝は途中投入でどうこうできるタイプじゃないので、4-1-4-1ないし4-1-2-3に移行するまえ直輝と柏木の併用は難しいのかも。
4点も取りましたが、この試合で最も良かったのは攻撃陣ではなくスピラ。京都の夏にしては涼しかったのが幸いしたのか、あるいはCBなのに90分持たないことに本人なりに危機感を覚えたのか、坪井に代わってDFラインの主導権を握っているかのような立ち振る舞いで、京都のクロス攻撃を跳ね返すだけでなく、最後は攻撃参加の余裕さえ見せる大活躍。こりゃ高原の売却資金を投入して完全移籍に全力を注ぐべきでしょうな。永井の穴を埋める「カレンダー要員」としても使えますし(笑)
W杯明けでここ2戦お疲れ感のあった阿部も復調の兆し。相手が不甲斐ないこともあってか阿部が加わることで攻撃に厚みが増す場面がちらほら。
-----柳沢-----
--ドゥトラ---ディエゴ--
中村太-安藤-角田-渡邉
-森下--増嶋--水本-
-----平井-----
58分 中村太→中谷
62分 柳沢→宮吉
72分 ドゥトラ→金 成勇
監督交代という劇薬を打って臨んだ浦和戦でしたが結果は最悪。浦和vs広島を参考にしたのか、前節同様3-4-2-1というか、実際はWBが下がって5-2-2-1という超守備的な布陣を敷いてきましたが、広島と決定的に違うのはFWの質。柳沢は浦和DFラインを単独で突破できるタイプではありませんから、いったん柳沢に当てて2シャドーに拾わせるなり、サイドに叩くなりというパターンなりがち。
前半は縦に速い攻めを意識していた様子でしたが、広島よりひと手間多い分浦和にとって脅威にならず。前3人だけで点が取れるっちゅーのはたぶん幻想に終わるかと。後半先制された後はスペースを消されて、結局のところサイドからの放り込みしか手立てがなくなってしまいました。
点が取れないでいるうちに、守備陣が決壊という弱いチームにありがちなパターンに嵌っている様子。新米監督にはかなり荷が重いでしょうな。