遠野散策(2):伝承園
(遠野散策(1)から続く)
常堅寺を後に、近くの「伝承園」へ。
「伝承園」は遠野地方の農家の暮らしぶりを再現したテーマパークみたいなもの。上写真は「工芸館」で民芸品の製作実演を行っています。
こちらは重要文化財「菊地家」で、南部地方特有の馬屋と母屋が一体になった「曲がり家」の典型。もっとも最初から曲がり家だったわけではなく、改築を重ねた後に馬屋が付け加えられて曲がり家になったとのこと。
ちなみに相場の世界では全く予想が当たらない人のことを「曲がり屋」といい、ある意味貴重な存在として崇め奉られます。
で、その曲がり家に入ってみましたが、竈から盛んに煙が。リアルな再現という意味では誠に結構なんですが、煙が家屋中に立ちこめて見学中はやっぱり煙いんですな・・・昔の人が長生き出来ないのも道理。
曲がり家の奥の御堂には千体もの「オシラサマ」が飾られていました。「オシラサマ」とは東北地方で信仰されている家の神であり、蚕の神さま、農業の神さま、馬の神さまとも言われています。桑の木で作った30センチ程度の棒の先に男女の顔や馬の顔を書いたり彫ったりしたものに、布きれで作った衣を多数重ねて作られています。
小なりといえども神様なんで撮影は憚られる気もしましたが、そこは観光用ということで。
伝承園で面白かったのは「佐々木喜善記念館」。柳田國男が著した「遠野物語」は佐々木氏が柳田國男に語った遠野の話がもととなっており、佐々木氏なくしては成立しえなかった著書。
しかし、その後柳田氏が民俗学者として高名になったのに対し、佐々木氏は地元の村長になったものの、重責に耐えられないどころか多額の借金を背負う羽目になって困窮のうちに逝去。非常に対照的な人生になってしまいました。
伝承園には食事処が付随。こういう場所での蕎麦にして美味かったというか、昨日食った蕎麦よりはるかにマシだったという衝撃的な事実。
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