【観戦記】11年第2節:浦和 1-1 G大阪
GK加藤の攻守がなければ確実に負けていた試合であり、マゾーラが終盤の好機を一つでも決めていれば勝っていた試合でもあり、評価の難しい試合だと思います。今季7試合目の引き分けの中ではもっとも勝ちに近かったかもしれませんが、それでもホームで勝ち点1に留まったという事実には変わりなく、リーグ戦の順位も新潟に抜かれて15位に転落してしまいました。
同点に追いついた峻希→原口のゴールは見事でしたし、柏木&マゾーラ同時投入後のムーブ&パスを駆使しまくった、それまでの縦ポンサッカーとは正反対のコレクティブなサッカーにはちょっとだけ夢を見させてもらいましたが、一試合の中でこれだけ内容の異なるサッカーをやるのは不可解といえば不可解。たぶん直輝と柏木が監督の指示を無視しまくった結果なんでしょうけど、どう見ても浦和の将来は直輝と柏木の夢見る方向にあるような気がしてなりません。
またビハインドにならないと何の将来性も感じられない縦ポンサッカーを改めようとしない行き当たりばったりなポロリッチには困ったもの。興業的には非常に面白い、次も見に行きたいと多くの人に思わせる試合にはなりましたが、浦和が降格の淵にあり、しかもこのままでは「より状態が悪いチームが3つある」という僥倖に恵まれないと降格は免れないでしょう。
---原---達也---
原口--------丸塩
---啓太--暢久---
平川-永田--摩周-峻希
-----加藤-----
得点:77分 原口
66分:暢久→直輝
76分:啓太→柏木
76分:原→マゾーラ
この日のスタメンは直輝に代えて原口を入れただけで、他は名古屋戦と全く同じ。広島戦以来、格上相手には守備が強い啓太・暢久の両ボランチで臨むのがペトロのお気に入り。それはそれで間違ってはいないのですが、この組み合わせだと中盤の構成力がガクンと落ちて、相手のDFがよほどしょぼくないと点が入る感じがしないのが難点。
そして浦和が前半選択したのは徹底した縦ポンサッカー。G大阪と中盤でガチンコで渡り合っても勝ち目がありませんからその選択自体は間違ってはいませんが、浦和の攻撃は所詮達也なり原口なりを走らせるだけですから、G大阪の守備陣が対応を誤りさえしなければ点が取れそうにありません。
攻守に動き回る達也の献身ぶりには頭が下がりますが、もともとシュート精度がそんなに高くないのに、あれだけ動き回った後で難しいシュートを決めろというのは無理というもの。クウェート遠征帰りの原口は好調を維持していてドリブルで何度かチャンスメークしましたが、如何せん相手を崩しきってはいないので撃っても入る気がしません。またチャンスになりかかってもG大阪が最後の最後でブロックしてしまう場面も目立ちました。
G大阪は浦和のロングボール攻撃に対応するためか、途中からDFラインを下げて自陣低めの位置で守備ブロックを作る形にシフト。スペースがないと苦しい達也は完全に封殺されてしまい、浦和は峻希のクロス攻撃一辺倒。しかしターゲットマン不在の上に、クロスの精度も劣悪で、峻希のクロス攻撃は半ばG大阪守備陣に捨て置かれた格好。
攻めている割には決定機が作れない浦和。この内容では達也や原口が消耗すれば一巻の終わりで、実際後半の達也はほとんど使い物にならない状態に。対するG大阪は前半体力温存気味に試合に臨んで、後半早い時間帯に右サイドからいとも簡単に浦和守備陣を攻略して先制。この日ほぼ守備に専念していた平川が対面の二川に簡単にクロスを上げさせてしまうのも困ったものですが、エリア内に入ったイ・グノはどフリー。そのシュートは加藤がなんとか防ぎましたが、こぼれ玉を蹴りこんだ宇佐美もこれまたどフリー。
右サイドは前半立ち上がりにも簡単に崩されて平井に決定的な場面を作られており、これでは数々の失態を晒した宇賀神と出来に大差はありません。守備重視で試合に入りながら、名古屋戦に続いてまたしても相手に先制を許してしまいました。
その後も何度かG大阪に決定機を作られ、GK加藤の好守でなんとか浦和が徳俵でなんとか粘っているだけの展開。ここまでは善戦はするものの負けは負けという、90年代の浦和を髣髴させる試合内容でしたが、それを一変させたのが原口のゴール。それまで何度上げても点が入る気がしなかった峻希のクロスがファーから飛び込んできた原口にどんピリャリ!
直輝&柏木が投入されてからの20分は見どころ十分。福岡戦で垣間見えた「フィンケの亡霊」がまたしても復活。動き回る直輝に対して柏木が、原口が、そして峻希が次々と連動。達也やマルシオは消耗しきってミス多発だったのは残念でしたが、G大阪を自陣に釘付けにした分厚い攻撃は魅力たっぷりでした。
しかし、浦和のビッグチャンスを潰しまくったのがマゾーラ。守備を事実上免除されているというか全く期待されていないマゾーラが、あれだけ絶好機で外しまくったのに、なんで未だにマゾーラに夢を見ている人が少なくないのか、ワシにはさっぱり判りません。「笑い」を提供すると同時に浦和の勝ち点を確実に削っているだけでしょう、マゾーラは。
浦和の太陽と浦和のハートが並びたつにはまず先制されないといけないという大皮肉。ポロリッチがなんで先制されてどうしようもならなくなるまでこのサッカーをやろうとしないのか不思議でなりませんが、相手に主導権を渡すのが大好きなんでしょうか?
---平井--李----
宇佐美-------二川
---遠藤--武井---
下平-山口--中澤-加地
-----藤ヶ谷----
得点:56分 宇佐美
68分:平井→佐々木
79分:二川→高木和
84分:佐々木→キム・スンヨン
| 固定リンク