【観戦記】11年第6節:浦和 2-0 甲府
序盤でGK加藤が退場になり、ほとんどの時間を10人で戦わざるを得なくなった浦和ですが、甲府の拙攻にも助けられて終わってみれば2-0の快勝。残留争いのライバルを直接対決で叩いた意義は大きく、16位甲府との勝ち点差を4と広げただけではなく、順位も12位まで浮上。まだまだ安心とは言いがたい状況ですが、逆境を跳ね返して勝ち点3を得たことは率直に評価していいでしょう。
-----蘭子-----
原口---セル---丸塩
---柏木--啓太---
平川-永田--摩周-峻希
-----加藤-----
得点:53分 平川、73分 柏木
13分:セル→山岸
66分:デスポトビッチ→高崎
83分:マルシオ→直輝
前節負傷退場して、今週は別メニューを余儀なくされた原口がなんとスタメン。また前節途中出場したもののまだまだコンディションが十分ではないランコも早々とスタメン起用。もうなりふり構っていられないポロリッチの焦りと行き詰まり感が如実に表れた選手起用です。昨年と比べて怪我人が少ないことを今年の功績のように語る向きもありますが、どう見ても昨年なら起用を見合わせた状態の選手を今年は無理使いしているだけのよう。
結果的に前節から高崎とランコを入れ替えただけのスタメンですが、面白いと思ったのはセルとマルシオのポジションを入れ替えたこと。前節どちらの出来もさっぱりだったのでこの入れ替えは面白いと思いながら見ていましたが、その効果を確認する前にGK加藤の一発退場でセルは山岸と代わる羽目に。セルは誠に気の毒だが、一人外すとすれば誰がどう見てもセルなんで致し方なし。
加藤の退場は甲府の素早いリスタートでパウリーニョがいきなり加藤と一対一になったことから。加藤は持ち味の鋭い飛び出しを披露したところまでは良かったのですが、パウリーニョを倒してしまって決定機阻止で一発退場。この日浦和に不利な笛が多かった扇谷主審ですが、加藤一発レッドはやむなし。
開始10分ちょっとで数的不利に立たされた浦和。ホームで残留争いのライバルに惨敗でもしようものなら一大事でしたが、幸いなことに甲府の攻撃は実に稚拙で数的有利を全く生かせず。攻撃面では見るべきところがないことで定評のある三浦監督が率いている以上、引き気味の相手を崩せないのは道理といえば道理。前半の甲府の攻撃はほぼ縦ポンのみ。浦和の両CBにスピードがないため、甲府はパウリーニョの快足を生かそうとしたのかもしれませんし、その狙いが嵌りかけた場面もありました。また浦和は柏木やマルシオがボールを持ちすぎたところを狙われてカウンターを食らう場面も。
マイクはスピラが封じており、前半は決定的に崩された場面はありませんでしたが、やはりパウリーニョへの応対が甘くてクロスバー直撃のシュートを浴びること2度。一方浦和の攻撃は、原口のミドルシュートのこぼれ玉をランコが角度のないところから決めたかと思われたもののオフサイドだったのと、柏木のパスを受けたランコのシュートがGK正面を突いたのが惜しかったくらい。
初スタメンのランコ。コンディションはまだまだで運動量が少なく、最後まで持たないのはいかんともしようがありませんが、足元のボールはしっかり収めてくれるところ(ハイボールはさほど強そうではありませんが・・・)とシュート精度は高そう(但し、脚の振りがでかい)なこと、また回りを生かそうとする意識もあり、かつ守備もさぼらずにやると、コンディション&連携の問題さえ解決すればそれなりにやってくれそう。ただどこからどう見ても一人でゴールをこじ開けるタイプではなく、「ペトロ式サッカー」との親和性には疑問がつきますが・・・っちゅーか、そんなスーぺルなCFを求めるほうに無理があるような(苦笑)
試合が動いたのは後半開始早々。この日の浦和は前節に続いて中盤でしっかりボールを繋ごうとする意識が高かったように思います。ただ数的不利なため、攻めるに攻められずにバックラインまでボールを戻してしまう場面が目立ちました(これに対して観客が苛立ちをあらわにするって非常に不思議・・・)が、そのパス回しが活きたのが得点場面。非常に珍しいことに平川が攻撃参加。左サイドに開いていた柏木とのパス交換でエリア内に侵入し、放ったシュートが甲府DFにあたってゴールマウスに吸い込まれるというややラッキーなゴールでしたが、「ペトロ式サッカーなんてクソ食らえ!」と言わんばかりのポジションチェンジと選手間の連携が織り成した素晴らしいゴールでした。
先制した浦和はベタ引きになってカウンター狙い。攻撃面では全くいいところがなく、得意だったFKもさっぱりわやのマルシオは完全に守備に専念し、ランコ&原口&柏木の3人でカウンターと浦和の狙いは極めて明確。
これに対し甲府は全くといっていいほど打開策を見出せず。ベタ引きになった浦和に対して縦ポンは全く効果なし。ハイボールは全部スピラに跳ね返され、FWの足元へ入れる楔のボールも収められず。前目の選手を盛んに代え、最後は登録したばかりのダヴィをいきなり投入してはみましたが、ダヴィなり片桐なりが個々人で盛んにドリブルで突っかけるだけ。「いったいどこの浦和やねん?」と思わず苦笑せざるをえない、何の組織性も感じられない、数的優位を全く感じさせない攻撃に終始。
浦和は脚を攣ったランコに代えて高崎を投入しましたが、高崎は攻守ともほとんど何の役にも立たず。カウンターのチャンスで甲府DFラインを一気にぶち抜くわけでもなく、前線でしっかりボールをキープするでもなく、執拗にフォアチェースを繰り返して浦和の最終ラインを助けるでもなし。ランコが最後までもたないので途中交代で起用される場面が続きそうですが、この出来ではやがてベンチにも入れなくなるような・・・
ところが、そんな高崎の不出来を尻目にバイタルエリアまで進出した柏木がGKの頭上を抜くループシュートを決めて追加点。その後のポロリッチの選手交代(マルシオ→直輝。強行出場の原口は放置かよ・・・)は狙いがはっきりせず、相変わらずリードしている試合の逃げ切り方は下手だ(というか、そんな経験があんまりないからなぁ・・・)と思いますが、甲府の拙攻に助けられて結果は完勝。後半の甲府のチャンスは浦和左サイドを深く抉った場面があったのと、FKで山岸が肝を冷した場面くらいかな?
---パウ--マイク---
阿部--------松橋
---石原--伊東---
内山-山本--ダニ-市川
-----荻------
HT:松橋→片桐
61分:内山→柏(右SHへ。片桐が左CH、石原が左SBへ)
72分:阿部→ダヴィ(パウリーニョが左SHに下がる)
マイクはとうとうスピラの前に最後まで何もできず。マイクが全く使い物にならないような試合はそんなにないでしょうから、普段の甲府がどんな感じなのか、この試合ではよく判りませんでした。でも、80分以上数的優位だったにも関わらず相手を崩しきれないようでは、先制点を取られたら一巻の終わりというチームなのかも。
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