【観戦記】11年第4節:浦和 2-0 川崎
浦和の前半は全くといっていいほど見所がなく、ジュニーニョが最盛期だったら後半立ち上がりまでに3-0くらいで川崎がリードしてそのまま試合が終わったのではなかろうかと思います。終わってみれば2-0の完勝ですが、試合内容には相変わらず疑問符付きまくり。ジュニーニョのあんまりな外しっぷりと、日程の差に恵まれてなんとか勝利を収めたというのが正鵠に近かろうとは思います。
それでもリーグ戦半ばに差しかかろうという時点で依然降格圏近辺を彷徨うチームにとって大事なのは内容ではなく勝ち点3。目先のライバル甲府に勝ち点3をつけ、暫定ながら13位まで浮上。大宮や新潟を残留争いに巻き込む位置までつけてきました。
今は良い内容で負けてしまうよりも、乏しい内容でも勝ったほうが格段にマシ。もっとも今年「良い内容で負けた」試合なんて全くないと思いますが、ちびちびと勝ち点を積み上げて降格ラインから遠ざかってゆくうちに、選手達の間で何かが触媒になって劇的な化学反応が起こってくれることに期待しましょう。
今の監督では人為的に化学反応が起こることはまず期待できませんが、勝てばチームもファン・サポーターも盛り上がる。ああ、なんて能天気なと我ながら苦笑せざるを得ませんが、それでいいのだ。
-----高崎-----
原口---丸塩---達也
---柏木--暢久---
平川-永田--摩周-峻希
-----加藤-----
得点:57分 原口、79分 永田
55分:マルシオ→直輝
71分:達也→セル
78分:高崎→マゾーラ
・この日のフォーメーションは正直よく判らず。一応4-2-3-1と表記しましたが、4-2-1-3かもしれず。またマルシオがかなり高い位置にいたので4-2-2-2のFW縦並びといったほうがいいのかもしれず。
・まぁフォーメーションの表記がどうあれ、前半の浦和の出来が散々だったことは明々白々。最終ラインから最前線へひたすらロングボールを放り込むだけのペトロ式サッカー(こんなもん「オランダ式」なんて言ったらオランダ人が怒るで、しかし・・・)を心ゆくまで展開。
・ハイボール攻撃で高崎にポストプレーを求めるのは酷(なにせ違う場所で違うタイミングでジャンプしてしまうくらいハイボールへの対応が下手・・・)なせいか、川崎DFラインの裏へ走り込ませる攻撃が目立ちました。これは達也や原口も同様。酷い時にはマルシオも含め、4人もの選手が川崎DFライン上でロングボールを待っていたり(笑)
・DFを交わして一発でシュートまで持って行けるスーペルなFWがいるならともかく、今の浦和の攻撃陣の能力ではこんな単純極まりない攻撃で点が入る気がしません。ロングボールを拾って敵陣深く攻め込んでも味方のフォローがなく、川崎の守備ブロックがそのまま下がって対応されてしまいます。
・従って前半のペトロ式サッカーに無理やり意味を見出すならば、「優勢な川崎の中盤をスッ飛ばすことで、高い位置でボールを失ってカウンターを食らうリスクを回避する」といった守備的な意味しかないような・・・
・「前半攻撃にリスクをかけず、無失点で凌げば相手が疲れる後半に勝機が見いだせる」というゲームプラン通りに試合が進んだようにも見えますが、それはあくまでも結果だけ。無失点で終わったのは好機でジュニーニョが外しまくるという幸運の賜物としかいいようがないでしょう。前半10分くらいに矢島にDFライン裏への飛び出しを許したのを皮切りに立て続けに3度チャンスを作られてしまいました。
・この試合で非常に不思議だったのはジュニーニョのマークが外れまくっていたこと。ジュニーニョは矢島と横並びではなく、やや下がった位置でうろうろしているので浦和はCBが見るのかボランチが見るのかはっきりしなかったのかもしれませんが、それにしても浦和の応対は酷過ぎ。両サイドの山瀬&中村はほぼ完璧に抑えていたのですが、そちらへ注意が行き過ぎたのかもしれず・・・
・そして毎試合恒例になりつつある永田のうっかり八兵衛。出し処に困っているうちにジュニーニョにボールを取られるとは・・・しかし、この絶好機でジュニーニョのシュートは枠外。後半立ち上がりの好機でもジュニーニョのシュートはバーの上。
・いくら優勢であってもこれだけ好機を逃し続けると、何かの拍子でコロっと逝ってしまうのはよくあること。ポロリッチは非常に珍しいことにスコアレスの状態で相手に先んじて早めに動き、故障明けのマルシオに代えて直輝を投入。その直後に原口のスーパーゴールが決まって浦和先制。直輝を中心にテンポ良くボールが回って、川崎のバイタルエリアがぽっかり空いたところを原口が強襲した素晴らしいゴールでした。
・それまで浦和にチャンスらしいチャンスは与えておらず、しかも先制されたとはいえ守備陣をきっちり崩されたわけでもないので、フツーの川崎なら残り時間で逆転する目はいくらでもあったかと思いますが、ここで響いたのが日程の差。
・先制された後の川崎は急激に運動量が落ち、矢継ぎ早に選手を代えて盛んに攻撃を仕掛けるものの、べた引きになって守る浦和を崩し切れず、ラストパス、あるいはその前のパスが守備網に引っかかりまくりで決定機を掴めず。玉際でもあと一歩足が出ずに競り負けてカウンターを食らう場面もしばしば。
・ポロリッチが疲労困憊の達也(相変わらず守備貢献は高いのですが、攻撃面では全く役に立たず・・・)に代えてセルを投入。この交代は妥当だと思いますが、セルが不発。ドリブルでスカスカになった川崎守備陣の中を駆け回るのは良いのですが・・・カウンターのビッグチャンスでどフリーの原口ではなく、故障を訴えている高崎へパスを出してしまったのはいくらなんでも・・・
・シュートは一本も撃てなかったかもしれませんが、最前線でそれなりに体を張りまくってチームに貢献した高崎は度重なる相手との交錯でとうとう立てなくなって名誉の負傷退場。浦和は相手に決定機を与えてはいないものの、最終ラインでボールを蹴りだしているだけの惨状なので、フォアチェックで最終ラインを助けてくれる原の投入が必須と思われましたが、ポロリッチの選択はなんとマゾーラ。セルと合わせて自爆装置1.5人前って(爆笑)
・まぁそんなポロリッチの謎采配も、浦和が極めて珍しいことにセットプレーで追加点を挙げたことで有耶無耶になりましたが。CK柏木→スピラがどフリーでヘッド→GKが弾いたところを永田がごっつぁん。永田は浦和移籍後初ゴール。
・勝ったとはいえ事実上相手のミスに助けられただけで、攻撃は相変わらず原口様々と内容は無きに等しく、次の試合に繋がるものなんて全くありませんが、それでも勝ちは勝ち。じっくりと喜びを噛みしめながらの帰り道。ちびちびと勝ち点を積み重ねる過程で選手たちが自信を取り戻し、何らかの好循環が生まれることに期待したいところです。
---矢島--ジュニ--
中村--------山瀬
---稲本--柴崎---
小宮山-菊地-井川-實藤
-----相澤-----
62分:稲本→登里
64分:菊地→伊藤
79分:山瀬→小林
試合内容はどう見ても川崎のほうが上ですが、フィンケ時代の浦和に似たところがあって、チャンスを作っている割には決め切れない。運動量を要求するサッカーなので終盤失速しがちで、しかも夏場の連戦には極端に弱い。決定的に違うのは川崎にはユース育ちの選手がいないくらいかな?
それでも今の浦和とは対照的にまともな監督がまともなサッカーをやっているのは間違いないので、等々力には時々見に行こうと思います。
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