【観戦記】11年第23節:C大阪 3-1 浦和
浦和は柏木と直輝を出場停止で欠く一方、C大阪(以下「桜」)も怪我でマルチネスやキム・ボギョンらが不在と双方大駒を欠いての対戦となりましたが、結果は桜の大勝。桜が決定機を外しまくった一方、浦和は1点取れたのは奇跡とも思える惨状で、試合内容はスコア以上の開きがありました。
桜は基本的に引いて守ってカウンター狙いというはっきりとした作戦をもって試合に臨んでいたのに対し、浦和は攻守とも個人任せでおよそ組織の体をなさず、しかも狙いもはっきりしません。神戸戦及び甲府戦の惨敗で狂い始めた浦和の歯車はとうとう完全にぶっ壊れてしまったかのよう。これでは残留争いから抜け出すのは夢のまた夢。
幸い代表の試合が挟まって2週間試合間隔が空くので、残留争いに両足突っ込む前に監督を更迭する最後のチャンスだと思いますが、そんなまともな判断ができるフロントならとっくに監督を代えているでしょうし、今回も責任の擦り付け合いで時間を徒過したあげく、結局神仏にすがる思いでペトロにお願いするんでしょうなぁ・・・
この試合で唯一の光明は後半暢久に代わって投入された小島が攻撃、特に散らしのパスに非凡なセンスを感じたこと。柏木の穴を埋めるにはまだまだですが、攻撃は全く期待できず、しかも守備が磐石かといえばそうでもない暢久&啓太のコンビよりは遥かに期待を持たせてくれたような・・・ また3枚目の交代にマゾーラを使わなかったあたりにもペトロの成長の跡が伺えます(苦笑)
ただ小島の出来が少々良かったところで、攻撃は全くといって良いほど連動性を欠き、結局個々人のドリブル頼み。守っては自分のマーカーとの1対1で何とか凌ぎ切るだけという、およそサッカーとは程遠い単なる玉蹴り的状況を根底から覆すのは無理な相談。小島が今後出場機会を得られるのかは定かではありません(ペトロのうちは難しいかも・・・)が、運よく出場機会を確保できても、浦和の球蹴りに埋没してしまうかと思うと不憫でなりません。
「後半の大博打の成功率が高い」のがペトロの唯一といってもいい取り柄でしたが、甲府戦あたりからそれも怪しくなりました。ペトロは「(自分は同点で終えてもいいと思ったのに)たくさんの選手が自分のポジションを離れていろいろな動きをしてしまってバラバラになって、そこを速攻で簡単に相手に崩されました。」とあっという間に逆転された原因を選手のせいにしていますが、同点でいいというメッセージを送るのは監督の仕事。誤ったスタメンで交代枠を無駄に使い、選手交代でメッセージを送ろうにも手元に駒がなく、敗戦の責任を選手に求めるマヌケな監督って百害あって一理なしですな、ハァ。
-----蘭子-----
原口---達也---丸塩
---暢久--啓太---
平川-永田--摩周-峻希
-----加藤-----
得点:78分 高崎寛之
60分:達也→セル
60分:ランコ→高崎
69分:暢久→小島
ゲームが動いたのは後半からでしたが、試合内容は前半から浦和が劣勢。峻希が早い時間帯にイエローをもらってしまったこともあって、桜は両SB、特に峻希の裏をロングボールで突いてきました。そして桜の狙い通りSBの裏を取るのに成功した場面も何度かありましたが、折り返しのボールは全部浦和守備陣に引っかかって得点機を作れず。この辺は播戸1トップの哀しさでしょうか。
むしろ浦和にとって脅威だったのは中盤でタメを作られ、2列目の選手、特にロペスに裏へ飛び出されるパターン。桜の前目はポジションチェンジが激しいので、マンマークで守る浦和は往々にしてCBが釣り出されがち。ただ前半の浦和はなんとか陣形をコンパクトにしようという意識だけはかろうじて持っていて、危ない場面では中盤の選手が駆け戻ってなんとか凌ぐ場面が目立ちました。
目も当てられないのは攻撃。両ボランチからの縦パスなんておよそ期待できないどころか、啓太にいたっては浦和の攻撃の終点&相手の攻撃の基点として機能する始末。おまけにただでさえ前後分断気味で前の4人でなんとかしてくれ風なのに、ランコは前節に続いて全く何の役にも立たず、達也は動き回るものの1対1でマーカーを振り切れずに潰されまくり。原口は絶えず2,3人で対処されて何もできず。マルシオは体調不良の影響こそ感じさせなかったものの、周囲と連動性を欠いているがゆえにそのキープ力は何の役にも立たず。しかも中央よりにポジションを取り勝ちなので、往々にして浦和の右サイドの守りは峻希だけに。ペトロはマルシオに対しては「お前は右サイドに張ってろ!」とは言わないのかな?
前半扇原が決定機を外してくれたおかげで、劣勢ながらもなんとか無失点で切り抜けた浦和。しかし悪運は長続きせず、珍しくスピラがボールを持って右サイドを上がったところでカウンターを食らって失点。最後に決めたのは山口でしたが、その得点の9割方は右サイドを駆け上がったロペスのものといっていいでしょう。契約を更新しなかったピンパウォンの代わりに急遽連れてきた選手ですが、早々と桜のサッカーに馴染んでいる様子。ランコと同じく夏の中断期間に獲得した外国人選手ですが、夏バテに打ちひしがれているランコとの出来の差は歴然で、強化部門でも浦和は桜に大きく遅れをとっているのは明らか。
先制された浦和は今日も今日とていきなりの2枚替え。ランコ→高崎、達也→セルと当然と思える交代ですが、ランコといい、達也といい、どう見てもスタメンに起用したこと自体が間違いで、交代枠の無駄遣いでしかないような・・・そしてそれでも局面が好転しないと見るや、暢久に代えて小島。小島が前線にパスを散らすことでわずかながら浦和の攻撃にリズムが生まれたのは先述通り。しかも2枚替えの後はセルが左SH,原口が前線に上がって4-2-2-2っぽくなり、セルが原口の傍で動くことでわずかながら連携らしいものも生まれて、これが奇跡的な浦和の得点に繋がりました。高崎は1対1で茂庭に歯が立たず、得点の匂いはさっぱりしませんでしたが、こぼれ玉にきっちり詰めて得点。得意とは言いがたいポストプレーも今のランコよりはこなしていました。
どこからどう見ても劣勢だった試合をなんとか同点に追いつくことに成功したのですから、このまま勝ち点1を得て良しとする手もあったと思います。しかし、ペトロは既に交代枠を使い果たし、しかもそもそも作戦とか戦術といったものを持ち合わせていませんから、試合を双方ぐだぐだに持ち込んで引き分けに逃げ込むという芸当ができるはずもなく、相変わらず前がかりでバランスを崩したまま。そして右サイドを押し込まれて、縦に折り返したところをどフリーの扇原がズドン。前半の決定機より易しくはないと思いますが、これはお見事でした。
あとは桜がバランスもへったくれもなくなった浦和をタコ殴り。ロスタイムに加点して、この時点で家路につく赤サポもちらほら。見苦しいとしか言いようがない「玉蹴り」が来年も続くようなら私もアウェーには行かなくなるかも・・・・
-----播戸-----
倉田---ロペス--清武
---扇原--山口---
丸橋-上本--茂庭-酒井
-----ジンヒョン----
得点:48分 山口、87分 扇原、90+1分 倉田秋
71分:播戸→杉本
90+2分:ファビオ ロペス→永井
90+5分:倉田→藤本
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