【観戦記】11年第23節:浦和 1-1 広島
原口のゴールで先制しながらも、直後に追いつかれ、終盤は双方足が止まっていかにも夏場のサッカーらしいぐだぐだ模様。およそ金を払って見るに値しないつまらない試合でしたが、浦和の決定機は煎後半1回ずつしかなかった一方、広島はその3倍くらいの決定機を作っていましたから、試合内容的にはどう見ても広島優勢。従って、浦和は敗色濃厚とまでは言わないものの、劣勢な試合を引き分けで凌いだのですから、残留争いを戦う上では悪い結果ではありません。この日は下位チームはC大阪を除いて悉く引き分けに終わったので、勝ち点1を積み上げた浦和は12位の順位 & 16位甲府との勝ち点差7のキープに成功しました。
ただそんなチープな星勘定で是とするにはあまりにも寂しい試合内容。後半同点に追いつかれたペトロはお決まりのアタッカー祭りを披露。そして甲府戦と大差がない閉塞感たっぷりの攻撃に終始し、これでロスタイムに広島が絶好機を決めていれば、都築の引退セレモニーを延期せざるを得ないくらい埼スタは大荒れに荒れていたと思います。その意味で浦和のファン・サポーター並びに関係者は決定的な場面でありえない外し方をした水元に感謝すべきかと。
決定機の数では広島に分がありましたが、この試合を通じて守備はそんなに悪くなかったと思います。前半の広島は5バックでスペースを消して守って、ボールを奪ったら手数をかけずに前線へ運んで前の3人に浦和のDFライン裏を狙わせる極めて単純な戦術。これに対して浦和は果敢にDFラインを上げながら前目の選手がしきりにフォアチェースを仕掛けて陣形をコンパクトに保ちながらボールの出しどころを抑えることで防戦。
この積極的な守備は良く機能して、厄介な寿人に簡単にDFライン裏への飛び出しを許す場面はありませんでした。ただ広島は甲府や神戸と違ってカウンターだけケアしておけば良いレベルのチームではなく、中盤でボールを持って仕掛けることも可能。この日はコンディション不良の啓太に代わって暢久がボランチに入りましたが、暑さのためか、あるいは久しぶりの出場で試合勘がないためか、これといった仕事はできず。暢久が広島の2列目を監視しているはずですが、それがイマイチ機能しないためか、広島にバイタルエリアでボールを持たれて決定的なチャンスを作られたのが前半に1度、後半に2度あったかな?
今年の広島は、ビッグアーチでの一戦もそうですが、弱小浦和相手にどういうわけか必要以上に慎重な戦い方を選択する傾向があり、浦和は随分助けられています。もっとも今年の浦和vs広島はホーム・アウェーともどういうわけか平日開催で試合間隔が短いため運動量を要求する広島のスタイルでは無理が効かず、浦和を中盤で圧倒する横綱相撲をやりたくてもできないゆえなのかもしれません。
また広島のもう一つの武器であるミキッチの個人能力を生かしたサイド攻撃に対しては前半平川が完封していましたが、この日唯一の失点場面だけはちょっと簡単にやられてしまいました。もっとも失点場面は李をフリーにした暢久の責任のほうが重大でしょうけど。この日の平川は実に損な役回り。前の原口はボロボロの状態でピッチに立っているのがやっとのように見え、攻守に獅子奮迅の働きを見せる柏木とともになんとか左サイドの穴を塞いでいました。
相変わらず「一対一で頑張れ!」でしかない守備体制で、この日は暢久が足を引っ張り、その分を柏木が埋めまくってなんとか体裁を整えただけといっても差し支えありませんが、それでも守備はマシなほう。問題は絶望的な攻撃面。
広島が引いて5バックで徹底的にスペースを消してきたため、浦和はボールを支配している時間こそ長くなりましたが、広島守備陣を崩すアイデアが乏しくてただボールを持っているだけ。前半は浦和右サイドに人数を裂いてからの攻撃が目立ちましたが、決定機といえるものは前半終了間際の峻希→達也ボレーだけで、あとは悉く広島守備陣に跳ね返されました。
またランコは来日以来最悪の出来で、得意のはずの低めのボールすらまともに収められず。フォアチェースを真面目にやってくれるのは助かりますが、それで体力を消耗したのか、高い位置でボールを奪った絶好機でシュートも撃てず、併走する原口にパスも出せず、結局GK西川の飛び出しでチャンスを潰してしまう大失態。
ランコがこの状態では浦和は攻撃の形をつくりようがなく、直輝が広島守備陣にわずかに開いたスペースに飛び込んでなんとか守備網に穴を開けようとしているのが判るくらい。
原口は見ていて痛々しいくらい。肝心なところで踏ん張りが効かないのか、絶好機を潰してしまうことも多々。原口が全然ダメなのが前半浦和の攻撃が右サイドに偏った主因かも。しかも原口の守備は至って緩慢。おまけに相手と交錯して蹲ってしまう場面も・・・こんな選手を90分間ピッチに立たせるか、フツー・・・
従ってランコも原口も本来スタメンで使ってはいけない状態だと思いますが、その二人が先制点に絡んでしまうのがサッカーの不思議なところ。ランコが倒れながらも最前線でボールキープ→直輝→原口と繋がって原口がゴール!!!
しかし、あっという間に同点に追いつかれ、、錯乱したペトロはいつものアタッカー祭り。無謀かつ無意味な選手交代の連続ですが、もはや見ている側は諦めの境地。ランコを下げるのは当然ですが、敵陣にスペースがないのにマゾーラを入れるか????とか、その狭いスペースをこじ開けようとしている直輝をなんで代えるの????とか、傷んで使い物にならない原口はなんで放置なの????とか、そんな至極当然、至極真っ当な疑問を浮かべることさえ虚しくなります。
終盤は共に中盤がスカスカになって、かつ広島守備陣にもスペースが生まれてきましたが、マゾーラの弱点はバレバレでどうにもならず。これならキープ力のあるセルを1トップに据えたほうがはるかにマシと思いますが、そんな妄想を抱くのも虚しくなるくらい、浦和には閉塞感が漂っています。
-----蘭子-----
原口---直輝---達也
---柏木--暢久---
平川-永田--摩周-峻希
-----加藤-----
得点:54分 原口
62分:デスポトビッチ→マゾーラ
62分:直輝→マルシオ
76分:達也→セル
-----寿人-----
---高萩--浩司---
山岸-中島--青山-ミキ
-水本--和幸--森脇-
-----西川-----
得点:58分 李
HT:青山敏→李忠成
63分:佐藤寿→ムジリ
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