【観戦記】11年ナ杯2回戦第1戦:浦和 2-0 大宮
・クソに蛆が沸いたみたいな、もはや玉蹴りですらなくなってしまった山形戦からわずか中2日ですから、何の期待もせず、最期を看取るような気持ちで埼玉スタジアムへ向かいました。ところがそのわずか2日の間に何があったのか、ピッチで繰り広げられたのは紛れも無く「ペッカー」ではなく「サッカー」でした。埼玉スタジアムでは失われて久しいサッカーの面白さ、サッカーの魅力を少し取り戻したかのような試合。選手達が相互に連動しながらボールを動かしてゴールに向かう。ああ、サッカーって面白い!!!
・ミスが非常に多くて前半を中心に大宮に何度も決定機を与えていましたから、結果は真逆の0-2の敗戦になっていても特段不思議はないように思いましたが、もはや勝ち負けなんてどうでもよくなったナビスコ杯ですから、(スポンサーのナビスコには申し訳ないながら)結果より内容が大事。原口と直輝が抜ける清水戦でこの内容が続くのかという点では大きな疑問符がつくものの、浦和の将来に一筋の光明を見出した感のある試合でもありました。
・J's Goalの選手コメントが奮っています。
柏木「流動的にやらないと勝てない、点が入らないと思っていたので昨日や試合前に話していた。今日は久しぶりにサッカーをしたという感じがある」
柏木「マルシオにも今日は流動的にやってくれと言ったし、マルシオは自由にやってこそ良さが出るので自由にさせてあげる環境をもう少し後ろで作ってあげられたらもっといい攻撃ができる。」
セル「マルシオも斜めに走って、元気も走って、僕と直輝も2人して裏に抜けるとか、今までなかったプレーが今日はどんどん出せた。あれだけ前が動けば後ろも楽になると思うし、動いたあとのプレッシャーとかもやれた。」
直輝「「今日は流動的にやろうと言ってやっていた。動いた方がやりやすい。」
直輝「後半は少しずつペースができて、左からマルシオが入って峻希が上がるというのもできていたし、ああいうシーンがもっとできるように流動的にできればいい」
・キーワードはいずれも「流動的」ないし「動く」。もう柏木のコメントなんて自分のポジションにいたずらに拘る「ペッカー」を全否定ですね、どうみても。「久しぶりにサッカーをした」って選手もそう思っていたとは(笑)
・大胆なスタメン変更、一変した試合内容、そしてそれなりに理にかなった選手交代を見ると、GM更迭によってペトロビッチ監督が今季一杯指揮を取ること自体は容認されたものの、それはあくまでも形の上だけであって実権は取り上げられているような気がしないでもありません。
山道「今季一杯監督へのサポートを約束する。但しペッカーは禁止な!」
ぺ「・・・・・・」
直輝・小島・マルシオ・柏木・峻希「!!!!」
みたいな(笑)
・もっともその場合誰が実権を持っているのかという問題が浮上しますが。
-----セル-----
原口---直輝---丸塩
---柏木--小島---
平川-永田--摩周-峻希
-----加藤-----
得点:52分 マルシオ(PK)、65分 原口
69分:セル→ランコ
71分:平川→宇賀神
81分:直輝→梅崎
・この試合で驚いたのはスタメン。山形戦お休みの峻希やスピラが戻ってきたのはともかく、ボランチの一角に小島、トップ下に直輝、そして1トップにはなんとセルを起用。代わりに山形戦で何の役にも立たなかった高崎は一気にベンチ外。なんか「サカつくならこうする!」みたいなスタメンがいきなり実現してびっくり!
・で、1トップに抜擢されたセルの出来自体はまずまず。最前線でのボールキープはできるし、相手の裏を狙うような動きもしていました。ただ如何せんこの面子で練習したことが無いせいか、セルへ出すボール、セルが出すボールがミスになってしまう場面が非常に目立ちました。もともとセル自体、他の選手との連動性を欠く特性(?)があるような気も。そういう目を瞑らざるを得ない要素が多々あるにも関わらず、選手たちはよくやったと思います。前半の浦和は守備も非常に積極的でDFラインを押し上げて高い位置でボールを奪えていましたし。
・しかし、前半の浦和はミスが多いのが災いして、積極的に動いている割にはチャンスが少なく、前半の終わりごろにカウンターのチャンスがあったくらい(セルがなぜかクロスを選択・・・)。一方の大宮は基本的にラファエルへの縦パスを多用してのカウンター狙い。負けないことを優先とした試合運びのように見えました。そして試合は大宮の狙い通りに進んだどころか、むしろ前半は大宮のほうがチャンスが多かったくらい。ピンパォンがGK加藤との1対1を決めていればそのまま大宮が勝って終わっても特段不思議ではありませんでした。
・ただ悲しいことに、そんなに悪い展開でもなかったのに致命的なミスを犯して試合をパーにしてしまうのが今の大宮。片岡が大宮左サイドへ出した横パスをマルシオにカットされ、浦和の人数をかけたカウンターを食らって最後はエリア内で杉山がセルを後ろから倒してPK与。マルシオがきっちり決めて浦和先制。
・浦和は中2日、大宮は中3日と日程的に浦和は分が悪く、かつ前半浦和は完全にオーバーペースだっただけに、PKとはいえ後半早い時間帯に先制できたのは幸い。さらに小島の縦ポンでDFライン裏に抜け出た原口が追加点。この場面ではセルが原口と連動して相手を迷わせるような動きをしていました。
・先制された大宮は一転して人数をかけて攻めてきましたが、全くと言っていいほど決定機を作れず、結局途中投入された石原が渡邉のパスを受けてダイレクトで際どいシュートを放ったくらいかな? 浦和は後半半ばから足が止まってDFラインを押し上げられなくなってしまいましたが、深めの位置でそれなりにコンパクトな陣形を維持して粘り強く守っていました。少なくとも自陣がスカスカになって、勝っているのに相手と殴り合いになるような愚は犯さず。この辺もペトロらしくありません(苦笑)
・この試合で非常に残念だったのは疲労困憊のセルに代わって投入されたランコの出来がお話にならなかったこと。ハイボールが苦手なのは仕様なので仕方ありませんが、フラフラのセルよりも運動量がないのは致命的。焦りがあるのか、つまらないオフサイドに引っかかることもあって、これじゃまるで「デスポトビッツァ」ですな。
・またイエローカードをもらった直輝に代わって久しぶりに出場機会を得た梅崎も動きが良いとは言えず、またそれ以上に試合感のなさを露呈して周囲との連動性を欠いていました。
・一方、スタメン抜擢の小島の出来は秀逸。終始柏木が前、小島が後ろっぽい位置関係でしたが、相手の攻撃の芽を摘む本来の仕事をこなしつつ、要所要所で攻撃の基点となる縦パスを供給。惨敗したC大阪戦でも小島が唯一の救いといっていいくらいの出来でした。その小島を次節スタメンで起用するかどうかで、ペトロビッチの立場なり実権なりがはっきりと判るような気がします。
---ラファ--ピン---
渡邉---------東
---上田--青木---
金--片岡--深谷-杉山
-----江角-----
25分:金 英權→村上(負傷交代)
66分:ピンパォン→石原
75分:杉山→金久保
・そんなに悪い試合ではなかったのに凡ミスで先制され、その後は攻めている割には決定機が作れず、そうこうしているうちに2点目を取られてしまうって、前節G大阪戦とまるっきり同じ展開。
・G大阪戦からGK北野→江角、右SB村上→杉山、FW石原→ピンパォンとそれなりにメンバーを入れ替えてきましたが、特段問題が無かったのは江角だけかな?
・東はあんまり周囲とかみ合っているようには見受けられず。五輪代表の2列目は清武が別格。さらに原口・直輝と浦和勢が台頭していますから、五輪代表ではポジションを失ってしまうかも。
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