・監督交代後わずか三日目、練習期間は二日しかなかったため、新監督にできることは非常に限定的。従って、専らメンタル面の立て直しに期待するしかないだろうなぁと思いながらスタジアムへ向かいましたが、驚いたの何の、浦和はたった二日の練習でスタイルを一変。序盤こそぎこちなさは否めなかったものの、かつての堀の教え子たちがチームの中核をなしているのが幸いして徐々にチームとして機能し始め、さらに嬉しいことにややラッキーなPKの助けもあって逆転勝ちで結果もついてきました。
・いや残り試合も少なくなってから降格圏に足を踏み入れた今となっては勝ち点こそがすべてであって、勝ち点が得られたのであれば内容なんてどうでもよいと言って然るべきなんでしょうけど、先々に期待が持てる試合内容でもあったことがなにより嬉しかった。約9ヶ月にわたってペトロビッチが悪戦苦闘を重ねた「ペッカー」よりも、堀のわずか2日間の練習による「サッカー」のほうが組織として遥かに完成度が高いという事実には苦笑を禁じえず、フロントの愚かな決断とペトロビッチの無能が相まって現在の惨状を招いたのは一目瞭然でしたが、今それを糾弾しても詮無いこと。
・勝ち点3を積み上げて甲府を抜いて暫定15位に浮上。この試合内容ならJ1残留にも希望が持て、かつ来週のナビスコ杯決勝もなんとか勝ち負けになるでしょう。
・先々に期待が持てる試合内容だったとはいえ、完勝といっていいかどうか微妙な試合。立ち上がりに失点し、その後は低めの位置にブロックを形成する横浜M相手に浦和はボールを持たされ気味というお馴染みの展開。浦和のあんまりな得点力とリーグ屈指の横浜Mの守備力を考えれば、横浜Mの選択はあながち間違ってはいません。
・ただスタイルを大転換した浦和の序盤は攻守共に不安定でパスミス、連携ミスが頻発。ボールを持っても考え込む場面が目立っていただけに、横浜Mが早い時間帯に一気に畳み掛けてきたら浦和にとってさらに難しい試合になっていたかもしれません。
・ショートパスを繋ぎ、前の5人が自由にポジションを変えながら横浜M守備陣の穴を探す浦和は20分過ぎから攻撃が様になりだしました。最終ラインでボールをカットしてからのカウンターでビッグチャンスを得ましたが、切り返しでDFを置き去りにした原口のシュートはバーを直撃。宇賀神が原口を追い越してのシュートは精度に難があるのが残念でしたが・・・
・そしてどフリーで右サイドを駆け上がる平川のクロスに反応し、エリア内に突入した直輝を小林が倒してPKゲット。試合後木村監督が嘆くのも判らなくはないPKでしたが、これによって試合の流れは一変。直輝のPKはいったんセーブされたものの、原口が詰めて同点。
・一方1-0で逃げ切ろうとしていた横浜Mのゲームプランは崩壊。ACL圏に入るには降格圏に沈む浦和相手に勝ち点3は必須とばかりに前に出てきました。前半ずっと引いていたので気づきませんでしたが、横浜Mの中盤ってかなり緩いんですな・・・
・浦和の逆転弾は柏木の素早いリスタートから。浦和がこれを食らって失点という場面は山ほど見てきましたが(笑) 虚を突かれた横浜Mに対して右にセル、中央に梅崎、左に原口と広がって3対2になり、梅崎のシュートはゴールマウスの外から中へ切れ込む見事なもの。
・勝ちを焦る木村監督は同点に追いつかれた時点で早々と渡邉を下げて小野を投入。これはこれで理解できますが、なんとも不可解なのは逆転されてからキムクナンを入れ、随分早い時間帯からパワープレーに転じたこと。それなら高さがあり、かつ浦和戦に抜群の実績がある渡邉をなぜ下げた?(苦笑) っちゅーか、キムクナンって高さがある割にはパワープレー要員としてそんなに優秀とは思わないんですが・・・
・浦和は低い位置にブロックを作って防戦しながら、時折縦ポンで一気にカウンター。直輝→原口のチャンスは決めたかったなぁ・・・ 横浜Mはボールを繋いで崩すのをすっかり諦めてしまって(小野が哀れ・・・・)放り込みに終始。
・浦和はいくらなんでも自陣深い位置でファウルを犯しすぎ(山本主審が直輝PKの帳尻あわせに走っていたような気がしてなりませんが、これだけ笛を吹く主審なら直輝のPKを取るのも当たり前か・・・)で、何度も中村のFK&CKの脅威に晒されてしまいましたが、放り込み対策で高さのある高崎を投入し、最後はなんと右SBに坪井を入れる念の入れようで、おっかなくはありましたが結局のところ横浜Mに与えたチャンスらしいチャンスは谷口のシュートを濱田がゴールライン近くで蹴り出した場面だけかも。勝っているときのプランを持っていないに等しかったペトロ(っちゅーか、そもそも大して勝っていないんですが(笑))に対して判りやすい守備固め。
・試合終了の笛が鳴るや否や、監督の下へ全速力で駆け寄る直輝。まるで優勝したかのように一塊になって喜ぶ選手・スタッフ。そして号泣する原口。まだ残留を決めたわけではないからいくらなんでも感極まりすぎな気もしますが、それだけ選手達には重い、重いものが圧し掛かっていたのでしょう。
-----セル-----
原口-直輝--柏木-梅崎
-----啓太-----
宇賀神-永田-濱田-平川
-----加藤-----
得点:50分 原口、61分 梅崎
67分:宇賀神→峻希(右SBに投入。平川が左SBへ)
80分:梅崎→高崎(1トップへ。セルが右SHへ)
89分:セル→坪井(右SBへ。峻希が右SHへ)
・前節負傷した野田に代わって左SBに宇賀神が入るのは予想通り。豪代表から戻ってきたスピラをスタメン起用せず、それなりに安定している濱田&永田のコンビを据え置いたためスタメンは全員日本人。故障のマルシオはともかく、ランコがベンチにも入らなかったのは意外。
・永田は濱田と組ませるとなぜか「うっかり」がないのが不思議。大黒にやられた場面は濱田のポジショニングが中途半端で、大黒を自由にやらせすぎか?
・早々に失点して攻めるしかなくなったためか、前半は宇賀神の躍動ぶりが印象的。攻撃参加を制限されたペッカーでは全くいいところがなかった宇賀神でしたが、この日は憑き物が取れたかのように原口を追い越してシュート連発。まぁシュート精度がアレなのと、積極的にボールを奪いに行って失敗するのナンですが・・・ そして峻希が守備固め要員になる日が来るとは!
・右SBが平川→峻希→坪井と変化。今年不遇をかこっていた坪井がこんな形で復活するとは!!!
・中へ入る原口、そのスペースに上がってくる宇賀神、ポジション不定の直輝、その穴埋めに奔走する柏木。いやはや楽しい「サッカーらしいサッカー」が帰ってきました。これを熟成させるには時間がないのがあまりも残念。
---渡邉--大黒---
兵藤--------谷口
---小椋--中村---
波戸-中澤--栗原-小林
-----飯倉-----
得点:4分 大黒
57分:渡邉→小野
75分:谷口→キム クナン(小野がSHに下がる?)
87分:波戸→青山
・中村は最初から最後まで引いた位置でプレー。プレースキックは相変わらず脅威でした。
・先日G大阪戦を見た際には綺麗なサイド攻撃による得点場面があっただけに、この日の横浜Mの攻撃の行き詰まりっぷりは少々意外。G大阪戦を含めて5試合勝ちなしというのも頷ける試合内容ですが、その間無得点試合は一つもないというのがなんとも・・・・
・横浜Mはスタメン固定、かつ交代で出てくる選手もほぼ同じなので、リーグ終盤になって総員お疲れという気がしないでもなく。仙台に追い抜かれて5位に転落するのは時間の問題かと・・・