【観戦記】11年ナビスコ杯決勝:浦和 0-1 鹿島
スコアレスで延長戦にもつれ込みましたが、残念ながら浦和は最後までこれといった攻撃の形を作れず、残念ながら全くの力負けといった格好でタイトルを逃してしまいました。02年決勝で鹿島に敗れた時よりも力の差があったように感じました。横浜M戦で見せたような小気味良いパス回しはすっかり影を潜め、決定機どころかこれといったチャンスも少なく、PK戦に持ち込むくらいしか勝機はなかったかと。まぁスタイルを大転換して10日かそこらで鹿島相手に五分に渡り合うのは難しかったということにつきるのでしょうが。
鹿島の中盤は非常にタイトで浦和に自由なパス回しを許さず。またセルへのマークも厳しく、セルにくさびのパスを入れてくるとすかさず潰しにかかってきました。前でボールが収まらないためSBは上がるに上がれず、そのため両SH、特に原口は終始孤立状態。
ただでさえ劣勢の浦和を一層苦境に追いやったのが直輝の退場。もともと不用意なファウルが多い選手ですが、後半開始早々立て続けにイエローをもらって退場。2枚目のイエローはいくらなんでも一枚イエローをもらっている選手としては軽率すぎで、若さが悪いほうへモロに出た格好。
数的不利になった浦和はカウンターに頼るしか術がなくなってしまいましたが、前線までボールをまともに繋げないためどうにもならず。青木退場によって同数になった後も形勢にさしたる変化はなく、延長前半終了直前にとうとう失点を喫してそのまま敗戦。延長後半の「濱田大作戦」がそれなりに形になっており、試合終了間際のセルのシュートに繋がりましたが、途中で青木を失って新井場をCBに転用していた鹿島の弱点を奇策で突きまくることを堀監督に求めるのはいくらなんでも無理があるでしょう。
攻撃は良いところがありませんでしたが、守備はそれなりに安定。前半カウンターで2度危ない形を作られましたが、それ以外は危なげなし。数的不利に転じてからは後方から飛び出してくる相手に両サイドの裏を突かれがちになってしまいましたが、両CBとGK加藤が奮戦して鹿島の得点を許さず。
失点の場面は田代のポストプレーが見事。あとは浦和右サイドへ飛び出した興梠へ繋いで、ラストパスを大迫が楽々蹴り込むだけ。
タイトルに手が届かなかったどころか、次の磐田戦で直輝を欠く痛手すら負ってしまった浦和ですが、この試合で得たものを厳しい残留争いに生かしてもらいたいものです。
-----セル-----
原口-直輝--柏木-梅崎
-----啓太-----
平川-永田--濱田-暢久
-----加藤-----
76分:梅崎→峻希
91分:啓太→小島
107分:暢久→坪井
・宇賀神が体調不良でベンチにも入れず、平川が左SBに回って右SBには暢久を起用。試合終了後の監督会見によると暢久は「体の方が大変」になっていたそうで、最後は興梠についてゆけずに失点を喫してしまったのでしょうが、90分を取ってみればよくやっていたと思います。ただ大ベテランに延長戦までやらせるのはさすがに無理があったようで、負けているのに坪井を投入せざるを得なかったのは残念でした。
・直輝退場で、柏木がポジションを下げて4-2-2-1みたいな格好に。バテバテの梅崎に代えてスピードがある峻希を投入してカウンター一発に期待するのは狙いとして悪くありませんが、残念ながら峻希はあまり機能せず。梅崎と違って1対1で仕掛けられる選手ではないので、選手間の距離がすっかり離散的になってしまった状況下ではどうしようもないのかもしれませんが。
---興梠--大迫---
野沢--------遠藤
---小笠原--柴崎--
アレ-中田-青木-新井場
-----曽ヶ端----
得点:105分 大迫
63分:遠藤→田代
76分:アレックス→フェリペ ガブリエル
91分:小笠原→増田
・浦和に退場者が出て数的優位になり、田代投入で4-3-3にシフト。さらにイエローをもらっているアレックスを下げてフェリペ ガブリエルを投入して超前がかりで勝ちに来た鹿島。チャンスは何度か作りながらも1点が取れないでいるうちに、青木がまさかの退場。
・ただでさえCBがいない鹿島にはこれ以上ない痛手だったはずでしたが、オリベイラは新井場をCBに転用して、フェリペ・中田・新井場・柴崎の4バックにシフト。この急造というか、ボロボロとしか言いようが無いDFラインに「濱田大作戦」が思いのほか効きましたが、必死に鹿島る相手にまんまと逃げ切られてしまいました。
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