【観戦記】12年第5節:鹿島 1-3 浦和
・開始5分で点の取り合い。双方守備が不安定で今日も馬鹿試合になるのだろうと思いながら観戦しましたが、あにはからんや浦和がPKで追加点を得た後は双方1点も入らず。
・ジョルニーニョ監督が試合後執拗に抗議しているように、浦和は判定に助けられた側面があったことは否めませんが、鹿島は攻撃の形をつくっても点が入らないのは昨年と変わらず。しかも守備がズタボロになり、かつ選手交代が機能しないどころか、事態を悪化させているだけ。厳しい判定に敗因を求めるのは的外れでしょう。まぁ監督が保身のために審判を槍玉に挙げるのは古今東西よくあることですが。
・開始早々の失点をものともせずに逆転勝ちとはいえ、浦和の試合運びには安定感がなく、一歩間違えれば馬鹿試合になる要素満点。しかし、それは発展途上のチームである以上やむを得ない側面であり、開幕時は得点力に乏しいように伺えた浦和が、選手間の連動が日に日に高まってこの上ない形で複数点を取れるようになったことを積極的に評価すべきでしょう。
・序盤の2得点はいずれも文句のつけようがないもの。柏木のパスで鹿島DFライン裏に飛び出したマルシオが決めた1点目、阿部のボール奪取を機に柏木→阿部(!)→ポポと繋がった2点目。前半鹿島は浦和の2列目、3列目の飛び出しを全く掴まえられず、最終ラインの裏、あるいたDFの間へいとも簡単に侵入されていました。バイタルエリアも往々にしてスカスカ。強靭だった鹿島の中盤は見る影もなし。
・鹿島は立ち上がりこそ積極的に前からプレスを掛けてきましたが、逆転されてからは一転して高めの位置にブロックを作って待ち構えるような格好に。浦和のビルドアップはやや不安定で啓太にボールが入るとおっとっとという場面も無きにしも非ずでしたが、鹿島の守備も機能したとは言えず。総じて攻守の切り替えの早さ、玉際の勝負で浦和に負けまくりで、守備陣形以前の問題ともいえ。
・浦和の3点目は梅崎のロングフィードを受けてエリア内に侵入したマルシオが後方から新井場に倒されてPKを得たもの。
・浦和の前半の守備は実にお粗末。落ち着かない立ち上がりでミスを連発したあげく、浦和左サイドから梅坪に簡単にクロスを上げられ、どフリーの興梠がヘッド。この日獅子奮迅の働きを見せた坪井がこの一瞬だけマークを離してしまいました。しかしサイドのやられっぷりはその後も改善せず、大迫に決定機を許す場面も。
・馬鹿試合突入濃厚だった前半とは一変して、後半の浦和は遁走モード全開。啓太→小島は「守りきれそうにないので追加点を取りに行った」としか解釈できない交代ですが、ベタ引きに陥って板子一枚でなんとか鹿島の攻勢を防いでいるに過ぎないのに、その板を外すか、フツー・・・(苦笑)
・そもそも後半の浦和は落ち着いてボールをコントロールできていないので、小島の視野の広さや展開能力を生かせる場面が作れるはずもなく、ミシャも悪手だったことに気づいたのか、マルシオに代えて濱田を投入し3-5-1-1、ないし5-3-1-1みたいな専守防衛体制を構築。ゼリコは劣勢に陥った時に前に選手をベタベタ貼っていましたが、ミシャは勝っている時に後ろに選手をベタベタ貼る傾向があり、かなり誇張して言えば選手交代に関しては二人のペトロビッチは似た者同士なのかも。
・お世辞にも冴え渡ったとは言いがたい浦和の選手交代でしたが、鹿島は浦和以上に悪手連発。どんなヘボ将棋やねん(笑)と謗られても仕方がありません。ジュニーニョの劣化は目を覆わんばかりで坪井の前に手も足も出ず。最初左SHみたいは低い位置にいたのも謎でしたが。新井場→アレックスはそもそも代える必要なんてまるでないような・・・
・極め付きは小笠原→ドゥドラ。連動してナンボの鹿島が誰とも噛み合わないドゥドラを入れてどうすんねん(笑) ドゥドラ投入後、ジュニーニョが前に出て、梅坪をアンカーに配した4-1-2-3みたいな格好になりましたが、スペースがなくて攻撃は渋滞しまくり。後半鹿島はシュートを撃ちまくりましたが、浦和最終ラインにぶち当てたり、シュートコースを制限されてGKに防がれたり、さらには何の可能性もない枠外シュートだったり。前半のほうが決定機が多かった感じで、後半惜しかったのはファウルと見なされた大迫の幻のゴールだけだったかと。
・浦和はロスタイム入りを待たずに早々と敵地で、しかも本家相手に「鹿島る」。主役柏木の共演者がマルシオではなく濱田だったので鹿島りっぷりは捗々しくありませんでしたが、鹿島も岩政大先生の攻撃参加も空しくなんらチャンスを作り出せず、そのまま試合終了。
-----ポポ-----
--柏木----丸塩--
梅崎-阿部--啓太-平川
-槙野--永田--坪井-
-----加藤-----
【得点】 3分 マルシオ、5分 ポポ、25分 マルシオ
【交代】
57分 啓太→小島
68分 マルシオ リシャルデス→濱田
74分 ポポ→原口
・矢島に代えてマルシオがついにスタメン出場。そしてマルシオの出来はまさに出色!昨年孤立無援の2列目で不振を極めていたのが嘘のよう。ポポと仲が良いことで有名でしたが、そのポポとの相性はピッチ上でも非常に良いことが判ったのも収穫。柏木を含め前3人のコンビネーションはいたって良好で、この分だと原口は怪我が癒えてもスタメン奪取はかなり難しいかと。
・逆に心配なのは槙野。点を取るどころか、肝心の守備が不安定すぎないかなぁ? ファウルの判定に助けられたとはいえ大迫にあっさり振り切られたり、ジュニーニョの肩に手を掛けてイエローをもらったり。加藤との連携不足であわやという場面もありましたし。
---大迫--興梠---
土居--------遠藤
--小笠原--梅鉢---
新井場-山村--岩政-西
-----曽ヶ端----
【得点】2分 興梠
【交代】
53分 土居→ジュニーニョ
68分 新井場→アレックス
70分 小笠原→ドゥトラ
・鹿島のスタメンは全員日本人。積極的に世代交代を進めているゆえなんでしょうが、前半浦和に当たり負けしてピッチに転がる選手がちらほら。浦和が主力のほとんどをナビスコ杯で温存したのに対し、鹿島はナビスコ杯にフルメンバーで臨んで中2日。そのコンディションの差が出たのか、あるいは単にJ1レベルではない選手を使っていただけなのか。そして青木はどこへ行ったのか。
・そして交代出場はなぜか全員ブラジル人。増田や本山ではないのはなぜなのか。経験の差といってしまえばそれまでですが、ジョルジーニョの選手交代で局面を変える能力は前監督に遠く及ばないようですなぁ・・・
・大迫&興梠ではいくらチャンスを作っても点が入らないのは昨年から判りきっていたこと。それゆえジュニーニョを補強したのでしょうが、そのジュニーニョは劣化してどうにもならず。浦和戦でも観客数は23000余に留まって(昨年は25000)クラブ財政も苦しくなる一方でしょうから、これからどうするんでしょうかねぇ・・・
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