浦和2013年回顧(3・了):守備は大決壊し、攻撃も次第に行き詰まる
(浦和2013年回顧(2)から続く)
・リーグ戦の結果は昨年の3位から後退して6位に。しかし年間勝ち点は55→58と増えましたし、2年連続優勝の広島との勝ち点差も9→5に縮まっています。また昨年は一度も優勝争いに絡まずに3位に滑り込んだ格好なのに対し、今年は最後にズッコケたとはいえ、終始優勝争いに顔を出していましたし、ナビスコ杯も決勝進出。従って6位という結果ほどには悪くない年と総括することも可能です。
・そもそも一昨年はぎりぎりでJ1に残留したクラブが優勝争いを演じるまでに成長したことで今年は良しとすべきなのかもしれません。
・ただ来年を見据えての総括となると、終盤の大失速というか大決壊というか、まぁこれでもかこれでもかと点を取られ、最後は撃ち合いにすらならずに一方的に点を取られて3連敗を喫したところに重きを置かざるを得ません。
・興梠、森脇、那須と攻撃に秀でた選手補強が奏功して、攻撃力大幅向上という側面が強く出てリーグ序盤は好スタート。原口を故障で欠いた大宮・清水戦こそ連敗を喫しましたが、リーグ戦中断までは守備の大破綻は見受けられず、順調に勝ち点を積み上げ。思い起こせば鹿島から3点、鳥栖と柏から6点を取った5月が浦和のピークでした。
・ところがリーグ戦中断明けから浦和は一転して苦戦。守備を固める甲府や瓦斯に対して負けはしませんでしたが内容に乏しい試合を重ね、続く川崎戦でカウンターを喰らいまくって0-4の大敗。さらに横浜M戦でも3失点で逆転負け。この時期運悪く啓太が故障し、その穴埋めが上手くいかなかったこともありますが、暑い最中にも関わらずスタメン固定で臨み続けた挙句に総員へろへろになり、引いた相手に対してミスを重ねてカウンターを喰らうという浦和の負けパターンの原型が出来上がった感がありあり。奇跡としかいいようがない磐田戦の逆転勝ちで3連敗こそ免れましたが内容は最悪で、磐田戦を落としていれば早々と浦和は失速していたと思います。
・チームが低空飛行に入った中、ミシャは両WBのみならず、両CBをも高めの位置に置き、代わりに両ボランチを下げたような、俗にいう「5-0-5」のフォーメーションを試行しましたが、当然ながらスカスカの中盤を突かれてたいした成果を上げられないまま、いつの間にかお蔵入り。
・アウェー川崎戦での大敗を契機に複数失点が目立ち始めた浦和。ビルドアップが不安定になって、相手に前から圧力を掛けられるといとも簡単にミスを連発してしまってカウンターを喰らうのはある意味仕様通りなのでやむを得ない(といって片付けられる問題ではないにせよ)のですが、情けなかったのはセットプレーでの失点の数々。マンツーマンで守っているはずですが、競り負けるどころか、そもそもマークがずれまくっているっていったい何なんだ??? 全部FK、しかも全く同じようなパターンで3失点を喫して敗れた瓦斯戦@国立は今年の浦和の失態の集大成みたいなものでした。
・まぁセットプレーの守備だけでなく、クロス攻撃に対する対応しかり、後方から飛び出してきた選手への対応しかり、守備の人数は揃っているのに肝心の相手を捕まえていないという場面が続出。ミシャが守備についてこれといったメソッドを持ち合わせておらず、何から何まで選手頼みになっている上に、その選手、特にCBの守備能力に疑問符がつくのが浦和の「枠守備」の根本原因でしょう。またリーグ終盤は阿部の衰えも気になり始めました。
・瓦斯戦の大失態を機にGKを加藤から山岸に代えましたが、失点は止まらず。山岸の好守に助けられる場面は随分ありましたが、足元が拙い欠点を見透かされて相手に強烈なプレッシャーをかけられ、ビルドアップが上手く行かずに自爆することもしばしば。5-0-5同様、GK交代も浦和の行き詰まりを打開しようとして上手く行かなかった今年を象徴している気もします。
・攻撃のキーマンである興梠の封じ込めは当たり前。さらに5バックでサイドのスペースを埋める、前からプレスを掛けて容易にビルドアップを許さない、両サイドはある程度捨てて4×2のブロックで中央で徹底的に跳ね返す等々、相手のミシャ対策は次第に巧妙になる一方、浦和の攻撃は次第に手詰まりに。それでも同じく優勝を争う横浜Mや広島も勝ち点が伸び悩んだのに助けられ、浦和は終盤まで優勝戦線に残りはしましたが、面子的には圧倒的に優位といわれたナビスコ杯決勝で柏に完封負けを喫したのが浦和の攻勢の終末点。その後はとうとう1試合も勝てずにシーズンを終えてしまいました。
・通年の成績は悪くないが、終盤は守備が崩壊しただけでなく、攻撃も行き詰まった。ここままだと来年は悲観的にならざるを得ないというのが今年の総括です。
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