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2014.03.16

【観戦記】14年第3節:広島 0-2 浦和

・立ち上がりはビルドアップにミスが目立って広島のカウンター攻撃を浴び、終盤は自陣に押し込められる時間帯が長く続きました。シュート数こそ広島の倍を放ちましたが、浦和のチャンスは多いとは言い難く、それほど内容が良い試合ではなかったと思います。

・ただ内容が良くなかったにしても、この試合を落とせばチームどころかクラブ自体が一気に瓦解しかねない難しい状況下で、何が何でも勝たねばならないという執念のようなものが選手たちから迸っていた。それがははっきりと判ったという意味では紛れもない好ゲーム。前半42分に先制してからは守備意識が高くなりすぎて、自分の失策から生じたピンチをイエロー覚悟のファウルで消しにかかる場面が目立ちましたが、悪く言えば淡白に過ぎた昨年とは見紛うばかりのチームの変貌ぶりを見て感無量。

・苦しい時間帯をなんとか凌いで、ATにようやく試合を決定づけるゴールを原口が叩き込み、当の原口も泣けばゴール裏も泣く。「全米が泣いた」級の感動の名場面の傍らでなぜか2枚目のイエローをもらって退場を命ぜられる森脇。どんなに深刻かつ感動的な場面でも笑いを取りに行く森脇の芸人魂に天晴れ!

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・この日のスタメンはGK以外は昨年の基本スタメンと全く同じ。このところ広島には圧倒的に相性が良いことを考えてか、ミシャはあえていじらなかったのでしょう。

・ただ柏木がボランチに入った場合と比べると、前3人への縦パスに精度なりアイデアなりが乏しいのは明らか。特に立ち上がりは縦パスにミスが目立ち、引いて守って浦和の縦パスをカットして一気にカウンターを狙う広島の狙いに嵌りかかりました。

・開始早々寿人に際どいシュートを撃たれ、さらに水本の縦パス一本で野津田にDFライン裏に飛び出されるという大ピンチがありましたが、後者は西川の果敢な飛び出しで大事に至らず。

・試合の入りは良くありませんでしたが、浦和は良くない時間帯を何とか凌ぎ、慌てることなく慎重に試合を進め、時間の経過とともに球際で優位に立つ浦和が徐々にボールを支配。効果的な縦パスが入れられずに引いて守る広島を崩せず、当然ながらなかなかシュートが撃てませんでしたが、40分過ぎになってようやく槙野がバイタルエリアへドリブル進出→興梠の決定機。

・興梠のシュートはGK林の好セーブで決まりませんでしたが、その後のCKからの流れで興梠が難しい体勢からゴールを決めて浦和先制。興梠もさることながら、クロスを供給した平川は要所要所で対面の山岸をぶっちぎる活躍を見せてくれました。

・先制された広島は後半一転して塩谷を積極的に攻撃参加させ、人数をかけて大攻勢。逆に浦和が自陣に引いてカウンターを狙う展開に。浦和は広島の攻撃に対してマン・ツー・マンで対応し、広島は攻めに人数を裂いている割にはこれといった攻め手を見出せず。まるで前半の浦和のように。

・結局のところ広島の攻撃は結局ミキッチからのアーリー気味のクロスや、後方からの長めのボールによる浦和DFラインの裏狙いという単調なものに終始し、全くチャンスを作れず。浦和DFラインの裏は守備範囲の広い西川が悉くカバー。さらに厄介なミキッチに対して宇賀神は徹底して縦を切って対応。敵陣深く抉ってのクロスというミキッチ最大の武器を90分封じられたのが浦和の勝因に上げても良いくらい。

・かたや先制した浦和も守備意識が高すぎてか、ボールを奪ってからのカウンターは明らかに迫力不足。柏木や原口にボールが入ってもその後のフォローがなくて潰されてシュートに持ち込めないどころかボールを失って広島の波状攻撃を浴びる羽目に。とはいえ、広島の攻撃が手詰まりなのも相変わらず。

・後半半ばになって高萩や浅野が投入されてから浦和最終ライン前で広島にボールを持たれる局面が増え、一歩間違えば一発を喰らいかねない状況に陥りましたが、浦和DF陣が実に粘り強く対応し、結局ピンチらしいピンチは中へ斬りこんできたミキッチの一発のみ。しかもシュートコースが限定されていて西川の正面。

・ミシャは終盤になって李、梅崎を相次いで投入。スペースたっぷりの広島に対してリスクを掛けずに少人数でカウンター攻撃を試みる場面が頻発しましたが、これまた不発。

・前半から守備に奔走して疲労困憊の原口に代えてミシャは矢島を準備していましたが、エリア内での石原との競り合いでピンチを防いだ森脇が脚を攣ったためやむなく坪井を投入し、矢島投入は沙汰やみに。ところがここで原口を残したのがATの劇的な追加点を生むのですから世の中何があるか判りません。後半中盤がスカスカになった広島守備陣をドリブルで切り裂きながらも最後の最後で潰される場面が目立った原口が、最後の最後で左サイドから斬りこみ、得意の角度からのシュートを決めて事実上試合終了。

・慎重に試合を進めながら前半終了間際にセットプレーで先制し、そのまま逃げ切りを図った点でG大阪戦と全く同じ試合内容といって差し支えないと思いますが、最後に追加点が取れたのは大きな進歩。実利指向になった分、娯楽性は薄くなってしまいましたが、極めて難しい状況下ながらチームの進歩が感じられた試合でした。

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-----興梠-----
--原口----柏木--
宇賀神-阿部-啓太-平川
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----

得点:42分 興梠、90+1分 原口

79分 興梠→李
82分 柏木→梅崎
90分 森脇→坪井

・前半のピンチを凌げたのは西川の活躍に尽きます。相手の特徴が判りすぎていることもあってか、積極果敢な飛び出しと巧みなポジショニングで野津田の決定機を阻止。この日も西川は正確無比なキックを何度も見せてくれましたが、守備範囲の広さにもびっくり。

・オフに派手な芸能活動に勤しんだためか、厳しい批判に晒されている槙野ですが、槙野の出来自体は絶賛されてもおかしくないかと。むやみな攻撃参加は影を潜めたせいか、逆にここぞという時の前方進出が効果的に。さらに守備意識が向上してうっかりマークを外してしまうこともなくなり、手を使ってくだらないファウルを犯してしまうことも少なくなりました。

・終盤投入された李は決定機を生かせず。エリア内で千葉と巧く入れ替わった場面はせめてシュートを枠内に飛ばして欲しかったところですが、キレが戻っていないのかなぁ・・・ その後の梅崎→李のビックチャンスでは梅崎のラストパスの精度が悪すぎて李には気の毒。

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-----寿人-----
--野津田---石原--
山岸-和幸--青山-ミキッチ
-水本--千葉--塩谷-
-----林------

69分 寿人→浅野
69分 野津田→高萩
87分 山岸→パク ヒョンジン

・ACLで主力4人を休ませ、万全の態勢で浦和戦に臨んだ広島ですが、休ませた4人が悉く不出来。特に山岸。

・また休んでいた選手もいたとはいえ、長距離移動を経た中3日のコンディションへの影響は避けがたかったようで、広島はいつも以上に浦和に対して当たり負け、競り負けが目立ちました。

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