【観戦記】14年ナ杯予選第2節:浦和 2-1 大宮
・GK北野が当りに当っていたこともあって結果は辛勝でしたが、90分を通じて一方的な浦和ペースの試合。ともにリーグ戦で出場機会の少ない選手を複数人起用しましたがチームの熟成度に雲泥の差があり、もうちょっと点差がついて然るべき試合でした。
・とはいえ、関根が左サイドで躍動したかと思えば、李が浦和加入後待望の初ゴール。さらに終盤に決勝点を上げたのが、なんとよりによって大宮から移籍したばかりの青木ということもあってか、実に愉快痛快な試合。
・クラブを取り巻く状況は依然厳しく、フロントの対応にも少々首を傾げたくなるところもありますが、チームが勝つことで全てが好転するような気もします。「勝って和す」がチームだけでなく、クラブ全体、そしてファン・サポーターにまで広がれば良いのですが。
・大熊監督はそれなりに浦和対策を講じたようで、いつもの4-4-2ではなく5-4-1の布陣。高めの位置にブロックを作り、浦和の縦パスを引っ掛けてカウンター狙い。前からはあまりボールを追って来ず、序盤はブロックごとズルズル下がりながらひたすら浦和が縦パスを無理やり入れてくるのを待ち構えるような格好。
・浦和は立ち上がりこそ縦パスが入れられずに難儀したが、長めのボールを多用して大宮最終ラインの裏を狙いだしたのが奏功。大宮の最終ラインが下がると中盤が空いてパスが回しやすくなり、サイド攻撃も嵌り始めます。
・サイド攻撃で輝いたのが関根。家長は守備に難があるためか、今井と1対1で対峙する場面が随分ありましたが、縦への仕掛けで何度もチャンスメーク。さらに中へ入って枠内シュートも。守備面やスタミナを考えればリーグ戦でスタメン出場するのは時期尚早だと思いますが、攻撃があれだけできて、しかも左右をこなせるとなるとベンチには欠かせないメンバーになるのは間違いなし。
・柏戦で大炎上し、前半だけで交代を命ぜられた関口もこの日は上々の出来。そもそも大宮がたいして攻めてこない上に、前にボールが持てる興梠がいて安心して上がれるせいか、関口の良さが存分に出ていたと思います。攻撃に持ち味があり、かつ左右ともこなせるWBという点で関根と特徴がモロ被りの関口ですが、厳しいポジション争いは間違いなく浦和の力を引き上げてくれることでしょう。
・先制点はその関口のポストプレーが効いたもの。最前線で踏ん張った興梠→エリア内で関口が落とす→李が万全の体勢でゴールへ流し込みと実に見事なもの。
・橋本のFK一発で大宮は前半のうちに同点に追いつきはしましたが、試合の流れはなんら変わることなく、一方的な浦和ペース。先制点を取られて以降の大宮の守備は組織としてほとんど機能しておらず、ただ低い位置にぐちゃぐちゃ人を裂いているだけ。さらに浦和の縦パスに中途半端に食いついてはフリックであっさり交わされる場面が目立ち、両サイドが大炎上。
・そんな大宮に対して前半は原口→柏木、後半には興梠→李、関口→李、矢島→李スルー→濱田!とサイドから何度も決定機を掴みましたが、いずれもモノに出来ず。
・また大宮の攻撃は明らかに連携に難があり、細かく繋ごうとすると必ずミスして浦和にカウンターの好機を与えてくれます。しかし、浦和はボールを奪う位置が低い上に、守備に人数を裂くようになった分攻撃時の人数が薄くてカウンターチャンスを生かせず。カウンターチャンスでは原口が長い距離をドリブルで運ぶ場面が目立ちましたが、それで消耗してしまったのか、この日は原口らしいシュート場面は見受けられず。
・攻守とも全くいいところがない大宮相手に引導を渡したのが途中出場の青木。森脇→李→青木と繋がって、人数はいるものの全員棒立ち状態の大宮守備陣をついに攻略。なんで青木が大宮最終ライン裏に飛び出す位置にいたのかが謎でしたが、攻撃面に持ち味がある青木らしさをいきなり披露してくれました。
-----李------
--原口----興梠--
関根-阿部--柏木-関口
-濱田--永田--森脇-
-----西川-----
得点:16分 李忠成、87分 青木
61分 興梠→矢島
70分 関根→宇賀神
78分 阿部→青木
・柏戦に続いて1トップに起用された李は自身のコンディション、そして周囲とのコンビネーションが劇的に向上し、1ゴール1アシストと申し分のない働き。
・またシャドーに下がった興梠も期待通りに働き。これまで原口&梅崎をシャドーに起用し続けましたがほとんど機能せず、ボールを前に送ったところで何も起こらない時間帯が長々と続きましたが、ボールが持てる興梠がシャドーに下がったことで一気に周囲の動きが良くなったように見えました。こうなると梅崎に代わって李がスタメンに入るのは時間の問題かと。
・守備陣で出色の出来だったのが永田。長谷川に文字通り何もさせず、ハイボールでは完勝。またたまに入ってくるクロスに対しても「残念、そこは永田充!」といわんばかりの落ち着いた対応を見せてくれました。この出来なら週末の仙台戦で那須からスタメンを奪取してもなんら不思議はありません。
・出場停止の槙野に代わって左CBに起用された濱田も上々の出来。機を見て自分でボールを持ち上がるだけでなく、時にはエリア内に飛び込むといういかにもミシャっぽいCB像を着実にモノにしている様子。放り込み攻撃が得意な相手に対し濱田が効くとなると、浦和の問題点の一つが一気に解消するかも。
・大宮のシュートはわずか5本。久しぶりにヒマヒマだったGK西川ですが、失点場面は家長が蹴ってくるものと思い込んでしまったかなぁ。
-----長谷川----
-曺-------家長-
渡邉-橋本--横山-今井
--高橋-片岡-菊地--
-----北野-----
30分 橋本
60分 橋本→渡邉
67分 長谷川→ラドンチッチ
87分 チョヨンチョル→富山
・大宮の本来のフォーメーションは4-4-2のはずですが、この試合はどう見ても5-4-1。本来ボランチの片岡が最終ラインに降りて5バックを構成。
・守備も機能しているとは言いがたい状態でしたが、それ以上に攻撃がお粗末。狙いだったはずのカウンター攻撃も浦和の最終ラインに引っかかってしまい、流れの中からはシュートを撃っていないかも。終盤のパワープレーは不気味でしたが、ズラタン抜きだとセットプレーしか得点の見込みはなさげ。
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