【観戦記】14年第8節:浦和 1-0 川崎
・緊張感に溢れた、90分が短く感じられた文句なしの好ゲーム。往々にして乱打戦になりがち、というか浦和が撃たれっぱなしになりがちな川崎相手に浦和が守り勝つという戦前全く予想だにしない展開になりましたが、こういうシビアな試合は数少ない決定機を決めたもの勝ち。
・前半はやや浦和のほうが手数が多いものの決定機らしい決定機はCKからの原口シュートくらいで。むしろ川崎のほうがチャンスが多かった印象。
・後半は一転して川崎が一方的にボールを支配する展開になり、浦和はボールを蹴りだすだけになってしまいましたが、川崎は最終ラインで粘り強く守る浦和を崩しきれず。ボールを持たされている印象こそ全くないものの、ボールを支配している割には決定機どころかシュートにすら持ち込めず、そうこうしているうちに浦和が後半唯一のチャンスを決めてそのまま逃げ切り勝ち。
・川崎は貴州人和とのアウェーゲームを経て、長距離移動を交えての中3日。浦和は柏木を除いて平日は休んでいるのでコンディションに差があったはずですが、意外にも川崎の足が早々と止まる様子はなし。ただ浦和先制後は、積極的に前に出て中盤で潰しにかかる浦和の出足の良さ、玉際の強さに川崎がたじたじになってしまう場面も散見され、この辺りがコンディションの差だったのかも。
・試合開始早々、槙野の直接FKがいきなり決まったかと思われましたが、ゴールはなぜかファウルで取り消し。現場では何があったのか全く判らず、あとで録画で振り返ってもやっぱりよく判らず。
・その後はボールを支配する浦和に対し、川崎が引いてカウンターを狙ういつもの展開。但し、川崎の守備ブロックは割とルーズで、浦和は李にボールが入れづらそうなくらいで楽々ビルドアップに成功。主に右サイド中心に再三攻撃の形を作りましたが、残念ながら梅崎のクロス精度が劣悪で決定機を作れず。
・25分くらいに梅崎がSB谷口を交わしてどフリーでクロス→宇賀神ヘッドが決定機に近かったかと思いますが、ファーの宇賀神には角度がなく、ありゃトヨグバ級じゃないとヘディングシュートは入らんでしょう。ただこの攻撃パターンが後半実りました。
・CKもたくさんもらいましたが、CKのこぼれ玉を拾った原口のシュートがGK西部に弾かれたのが惜しかっただけで、あとは得点の気配なし。
・また浦和は積極的に前に出て川崎のボール回しを封じようとしていましたが、それを交わされて大ピンチになりかかることも少なくなく、後半はイエローカードで相手を止めざるを得ない場面の連続。
・今の川崎はボールを回し出すと実に面倒。昨年まではボールを持たせておけば川崎の自滅が期待できたのですが(でも結局自滅してしまうのは浦和・・・)、今年はボール回しの精度が格段に上がり、今やどう見ても狭い局面の打開能力は浦和より川崎のほうが上。DFの裏、DFとDFの間へのパス出し&走りこみが巧みで、前半は大久保→レナト、谷口→大島→小林と2度決定的な形を作られてしまいました。しかし、川崎の決定機に敢然と立ち塞がったのがGK西川。
・槙野が小破して、ミシャは後半頭から濱田投入。浦和が左サイドからの攻め手を失ったのが響いたのかどうか判りませんが、後半は川崎が圧倒的にボールを支配。浦和は自陣深い位置に釘付けになり、ボールを最終ラインでやっとこさ奪っても正確に前線へ繋げず、ボールを何とか蹴り出すのが精一杯で、カウンター攻撃なんて夢のまた夢。
・こういう展開になると、良く動くものの守備が得意とは言いがたい柏木をボランチに据えたままにしておくのか危険と思ったのか、ミシャは柏木に代えて青木を投入。これまでなら啓太が投入されていたでしょうが、ここで先の徳島戦でもそれほど出来が良いとは思えなかった青木を選択したのにはびっくり。青木は投入直後に凡ミスで大ピンチを招く始末でゲームの入りは決して良くなかったのですが、この青木投入が結果的に決勝点を引き寄せるのだからフットボールは面白い。
・浦和も不恰好とはいえ集中を切らさず、要所要所で川崎のボールホルダーに厳しく詰め寄って決定的な形を作らせず。この試合を通じて最もしんどかった後半開始から20分くらいまでをなんとか凌ぎきり、ついに青木→梅崎→宇賀神で浦和先制。大きな展開で梅崎にボールを出すパターンは前半も何度か見られましたが、梅崎がクロスではなくダイレクトに叩いてグラウンダーのパスを出したのがミソ。前半良い形を作りながらクロスの精度を欠いて好機を潰すことの多かった梅崎が、最も難しいパスを通すとは恐れ入りました。
・終盤はコンディションの差が出たか、浦和の前からの潰しが嵌りだして、浦和なんとか逃げ切り。最後に原口に代えて送り出されたのが矢島ではなく関根だったのも目を惹きました。
・ミシャは川崎戦でリーグ戦初勝利。付け焼刃と思われた「守備重視」のスタンスもようやく様になってきたようで、川崎相手の完封勝ちは選手達にとっても監督にとっても大きな自信に繋がることでしょう。
-----李------
--原口----興梠--
宇賀神-阿部-柏木-梅崎
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
得点:68分 宇賀神
HT 槙野→濱田
55分 柏木→青木
90分 原口→関根
・この試合は守備に追われる時間が長く、シュートは10本止まり。李は全くシュートを撃っていないかもしれませんが、前3人の守備貢献は絶大。端的に言ってしまえば原口が根気良く守備をやるようになったことが浦和の守備改善に直結しているといって差し支えないくらい。
・槙野小破で突然投入された濱田も落ち着いた出来で守備引き締めに一役。西川のミスから中村にがら空きのゴールへループシュートを撃たれた際も濱田が落ち着いてクリア。永田に続いて濱田がCBの控えとして戦力カウントできるようになり、昨年と比べて浦和の選手層はぐっと厚くなりました。
--大久保--小林---
レナト---------森谷
---中村--大島---
谷口-井川-ジェシ--田中
-----西部-----
88分 小林→金久保
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