【観戦記】14年第10節:浦和 1-0 横浜M
・浦和の決定機は数えるほど。横浜M(以下「鞠」)にいたっては決定機ゼロというシオシオな試合でしたが、浦和がセットプレー一発で勝利。塩試合をセットプレーで競り勝つというのは鞠の十八番のはずですが、その鞠のお株を奪う格好で埼スタで2006年以来の勝利。
・共に中2日の過酷なスケジュールですが、ACLをこなしている分浦和のほうが動きがいいのは明らか。浦和が玉際で競り勝ってセカンドボールを拾う場面が目立ち、浦和が優勢な時間帯が長かったかとは思いますが、優勢だからといって勝てるとは限らないのがフットボールの恐ろしいところ。どんな形であれ、そして塩試合だったとはいえ、浦和が優勢な試合を勝ちきったことを率直に讃えたいと思います。
・鞠の基本フォーメーションは4-2-3-1ですが、守備時は両SHが下がって4-4-1-1みたいな格好になって高めの位置にブロックを形成。但し、前からがむしゃらにボールを追ってくるわけではなく、あくまでも浦和の無理攻めを待つようなスタンス。
・対する浦和は攻撃時に左CBに入った永田ではなく、なんと阿部が左に開いて4-1-5に。しかも原口が左に目一杯開く場面が数多く見受けられました。槙野欠場による左サイドの攻撃力低下をなんとかして埋めようとしたのでしょうが、残念ながらほとんど機能せず。
・左サイドから複数の選手が連動して鞠守備陣を崩す場面は全くなく、原口のペッカーばりのカットインによる特攻も後半1回あっただけ。李や興梠へのマークが厳しくてなかなか縦パスが入れられない上、原口との距離が遠くなって前3人での崩しが難しくなる副作用のほうがでかかったかと。原口の代わりに誰かがインサイドに入らないといけないはずですが、付け焼刃戦術では如何ともし難かったか。
・鞠の中央の守備は堅くて李&興梠の2人だけでは打開困難。浦和の左サイド攻撃も不発となると、右WB平川へ大きく振っての攻撃が目立ったのも道理。ただ決定機に結びついたのは序盤の柏木→平川→原口だけで、あとはクロス精度がトホホホ・・・
・浦和の攻撃の出来は決して褒められたものではありませんでしたが、鞠はそれ以上に悲惨。例によって2列目がしきりにポジションを変えながら攻撃を仕掛けるも、肝心の中村が浦和のプレッシャーから逃げ回っていって攻撃のスイッチは入らずじまい。
・前目でボールが収まらないので、SBも思い切り良く上がるに上がれず、当然ながら厚みのあるサイド攻撃も仕掛けられず。
・FWはたまにボールを持って前を向いても無理やり遠目からシュートを放つだけで当然ながら枠外。藤田といい、伊藤といい。
・扇谷主審が前半割と簡単に笛を吹きまくっていたので、鞠にセットプレー一発でやられる嫌な展開が脳裏をよぎりましたが、この日の鞠は得意のセットプレーですらチャンスらしいチャンスを作れず。
・そしてそのセットプレーをものにしたのは浦和。柏木CK→エリア内中央で李のヘッドが炸裂。前で阿部なり永田なりが鞠の選手を引き連れているのが効いたのでしょうが、李のマーカーだったと思われる三門が李を追走する格好になっていて大笑い。
・先制された鞠はなぜかベンチスタートだった齋藤を慌てて投入するもチャンスらしいチャンスは掴めず。ミシャも興梠→啓太の交代で守備固め。終盤になるとコンディションの差が顕著になり、浦和の積極的に前で潰す守備が機能して鞠に攻撃の形を作らせず。
・ただ浦和も相当お疲れで高い位置でボールを奪ってからの縦パスに精度がなくて、ただ蹴り出すだけになってしまい、最前線で走りまくる李が文字通り無駄走りになってしまって非常に気の毒。結局終盤カウンターが実りかかったのは途中投入の関根のシュートだけで、しかもシュートは枠外。
・とはいえ、守備は最後まで破綻なし。浦和最大のピンチは永田のバックパスがGK西川を抜いてゴールマウスを掠めた場面だったというのがこの試合を象徴しているような気も。
-----李------
--原口----興梠--
宇賀神-阿部-柏木-平川
-永田--那須--森脇-
-----西川-----
得点:56分 李
63分 興梠→啓太
65分 平川→梅崎
85分 原口→関根
-----藤田-----
兵藤---中村---藤本
---小椋--三門---
ドゥトラ-中澤-栗原-奈良輪
-----榎本-----
58分 兵藤→齋藤
63分 藤田→伊藤
81分 ドゥトラ→中町
・樋口監督は出場停止の富澤に代えて小椋を入れただけでなく、リーグ戦で出場機会の少ないドゥドラや三門、奈良輪をスタメン起用しましたが、それ以外のレギュラーメンバー(特に前目)の出来がダメダメでターンオーバーも実らず。
・今のところ齋藤の特攻しか点が入る可能性がないのに、その齋藤をベンチスタートにせざるを得なかった時点で鞠の勝ち目は極めて乏しかったかと。スコアレスドローで終えられた可能性は十二分にありましたが。
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