【観戦記】14年ナ杯予選第6節:甲府 1-2 浦和
・2006年、あの「伝説の17000人」以来の小瀬開催となった甲府戦。前回国立での対戦ではスコアレスに終わった難敵に対してセットプレーで早々と先制しながらも、積極的に前に出てきた相手に苦戦。一度は同点に追いつかれながらも再度突き放して、浦和が1試合を残してグループリーグ勝ち抜けを決めました。
・シュート数の差(15対6)ほど甲府に押された印象はなく、決定機の数は似たようなものと思いました。しかし、前半30分過ぎから前半終了にかけてのドタバタ劇や後半開始から半ばまでの閉塞感漂う試合展開ゆえか、勝つには勝ったが反省点の多い試合だったのも確か。
・特に印象が悪いのはドタバタ劇のほう。柏木CK→那須ヘッドで早い時間帯に先制した後、後ろでボールを回しながら時に甲府最終ライン裏を襲って追加点を狙う理想的な試合運びをしていたように見えたのですが、次第につまらないボールロストやパスミスが増えて半ば自滅。グループリーグ残り試合のない甲府は負けたらお仕舞いなので失点後かなり思い切って前からプレスをかけてきましたが、このスタイルが前回対戦時とギャップがあまりにもでかくて浦和に混乱が生じたのかどうか。
・バイタルエリアでもたもたしているうちに稲垣にエリア内へ飛び込まれたり、青木が緩いバックパスを掻っ攫われたり、加藤がプレゼントパスを犯したりと、ヒヤヒヤものの連続。加藤は果敢な飛び出しでピンチを防ぐ場面も何度かありましたが、自身のキックミスに加え、チームを落ち着かせられないどころか自ら火に油を注いでしまうような挙動が垣間見られて残念。もう30歳に手が届く年齢になっても精神的なものは直らないのかなぁ。
・またこの試合では前節に続いて原口抜き布陣を試行。前節矢島投入後の流れを評価したのか、李に代えて矢島をスタメン起用しましたが、結果はなんとも微妙。前半はもともとDFライン裏への飛び出しが上手い興梠はもちろん、梅崎、矢島、柏木と甲府DFライン裏へ飛び出す場面が見受けられ、この辺が李や原口を起用した場合との大きな違いなのかと思いましたが、いずれも決定機に至らないどころかシュートにも持ち込めず。
・矢島は前を向いて攻撃に絡んでいる時は良いのですが、ボールロストが多い上に、そのリカバリーに難。相方の柏木と比べるのは酷ですが、運動量が少なくて守備貢献がないに等しかったのは残念。
・前半唯一の決定機は関根からのクロスを受けた興梠がシュートを撃ち切れなかったもの。関根に後方からパスを出したのも興梠で、長い距離を走ってからのシュートは難しかったのか?
・またその後青木のロングフィードをエリア内で受けて興梠シュートという場面もありましたが、これはシュートに持ってゆけたこと自体驚きで、「難しいことは器用にこなすが易しいことがアレだ」という興梠の特性をこの試合でも如何なく発揮。
・同点に追いつかれて矢島に代えて李を投入するも、今度は最前線に何人も選手が張り付いて自分で自分に蓋をしてしまう惨状。
・ただ精彩を欠いた青木に代えて早めに啓太を投入したのが奏功。2点目は啓太が大きく関根へ展開したところから。関根→李→梅崎と繋がってゴール。迷う余地がない時の梅崎の一発は頼りになります。またエリア内で自身のシュートをブロックされながらその後巧みにボールをキープした李もお見事でした。
・甲府を突き放した後、ミシャは関根→永田で守備固め。ゲームをコントロールし、再度甲府最終ライン裏を脅かす攻撃をちらつかせながら時間を使って逃げ切りに成功。ATには甲府のパワープレーに脅かされましたが、きっちり逃げ切れるところが昨年との大きな違いです。
-----興梠-----
--矢島----柏木--
梅崎-阿部--青木-関根
-槙野--那須--森脇-
-----加藤-----
得点: 8分 那須、74分 梅崎
55分 矢島→李(興梠がシャドーへ)
64分 青木→啓太
78分 関根→永田(森脇が右WBへ)
・関根に代わって投入された永田。那須が空中戦で盛田に苦戦気味だったので、専ら空中戦要員だと思ったのですが、意外にも再三攻撃に絡んでいました。もっさりした体格の永田が森脇と連携しながらサイドアタッカー然とした動きを見せているだけでも十分笑えるのですが、前目の位置から興梠にスルーパスを出したのには心底驚きました。興梠がシュートを撃ち損ねたのは単に疲れていたからなのか、まさか本当にパスが来るとは思わなかったからなのか(苦笑)。
・その後の李へのロングフィードは永田の真骨頂。李のループシュートは好調時なら入っていただろうなぁ。
-----盛田-----
--クリス-----石原--
阿部-パラナ--稲垣-松橋
-佐々木-山本--青山-
-----荻------
得点:53分 クリスティアーノ
67分 松橋→福田
76分 石原→保坂
84分 青山→河本
・監督から得点を全く期待されていないという、類例を見ない特異な1トップの地位を不動のものとした盛田。国立では終始孤立気味でしたが、この日は他の選手との距離がぐっと近くなってポストプレーヤーとして、そして時にサイドに流れてチャンスメーカーとして活躍。
・甲府の得点シーンでもしっかり盛田が絡んでいました。那須が盛田に競り勝ったこぼれ玉が石原に拾われ、石原→盛田→クリスティアーノでゴール。石原への槙野の対応も軽すぎだろうと思いましたが、石原のフォローにすかさず盛田が走りこんでいるのには感服しました。
・ATに阿部→盛田で見せ場を作りましたが、シュートは枠外。まぁ一応永田が盛田に寄せているし、盛田にあれを決めれるくらいの得点力があったら浦和は降格してないから。
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