【観戦記】14年ナ杯予選第7節:浦和 5-2 名古屋
・一方は原口送別会兼消化試合、もう一方は勝利が必須の試合。6月になったばかりとは思えない、真夏のような炎天下で選手達は集中を保つのは難しかったのか、昨年みたいな出入りの多い試合展開になってしまいましたが、終わってみればモチベーションに相当差があったはずの試合を浦和が大差でものに。
・このところ最終戦での負けが多いこともあってか、セレモニー付きの試合はしょっちゅう負けているような気がしてなりません(勝ったのは伸二を送り出して以来?)が、この試合を最後にヘルタ・ベルリンへ活躍の場を移す原口への良い餞になりました。
・浦和は後半立ち上がりに危ない場面が相次ぎ、この時間帯に同点に追いつかれていれば試合の行方は判らなかったような気もしますが、逆に浦和が前半のうちに大差をつけて事実上試合を終わらせていてもなんら不思議はなく、モチベーションの差では埋めがたいほど両チームの実力に大きな開きがあったのは疑いのないところ。
・端的に言えば名古屋の守備が酷すぎました。新潟・甲府と守備が堅いチームとの連戦の後だったせいか、とりわけ名古屋の守備の温さが目立ちました。あれだけ浦和相手に無為無策で試合に臨むチームは今時珍しいかと。青木に圧力をかけるわけでもなければ、浦和が前3人に縦パスを入れてくるところをがっつり掴まえにゆくわけでもなく、引いて徹底してスペースを消すわけでもなし。
・頼みの闘莉王がズル休み出場停止である程度致し方ないのかもしれませんが、それにしても浦和相手にどうやって守るのかはっきりとした意図が見えないまま漫然と90分を過ごしているようでは5失点もやむなし。
・試合開始早々の牟田の転倒はともかく(李が絶好機を得るもシュートは枠外)、その直後の梅崎クロス→李&原口の決定機あたりで早くも名古屋のサイドの守備に怪しい臭いがプンプン。チーム事情でSBに転用された矢野に多くの期待はできないのでしょうが、左SBも酷すぎ。もっともダニルソン以外の中盤の選手も役どころ不明で浦和に自由にやらせすぎで、両SBに責任を被せるのもどうかと思いますが。
・浦和の先制点は柏木→平川→李→梅崎→柏木と名古屋守備陣を左右に振り回しての見事なもの。2点目は右サイドに流れた原口からのクロスを李。4点目は左サイドから関口クロス→李ヘッド。そして5点目は矢野を交わした関口が左サイドからカットインして自らぶちこみ。結局5失点のうち4失点がサイド攻撃によるもの。名古屋は終盤ダニルソンがCBに回って使い物にならない同僚の尻拭いに追われる始末で、誠に気の毒でした。
・勝負を決定付けた3点目は楢崎のミスでしょうか。原口のFKはややコースが甘く、楢崎はキャッチしに行ったのでしょうが、キャッチできずに槙野が詰めて3点目。楢崎の衰えも今季の名古屋不振の一因なのは否めず。後半に入って名古屋がいつ同点に追いついても不思議はない流れだっただけに、この3点目は浦和にとって実に貴重でした。
・浦和の1失点目は原口→青木のバックパスがずれて相手に掻っ攫われたところから。結果的に浦和ラストゲームで2アシストを記録した原口ですが、さすがにちょっと気負いがあったのか2度あった好機を決められず、さらにイージーなミスで失点の起因に。
・2失点目は反転&強襲した松田を褒めるべきなのかもしれませんが、バイタルエリアに松田を放置した浦和守備陣はいったいどうなってんのかと。この辺が炎天下の消化試合ゆえなのかどうか。
-----李------
--原口----柏木--
梅崎-阿部--青木-平川
-槙野--那須--森脇-
-----加藤-----
得点:18分 柏木、40分 李、60分 槙野、76分 李、88分 関口
58分 平川→関根
64分 原口→直輝
70分 柏木→関口
・3点目を奪ってからのミシャは直輝、関口と普段出番の少ない選手を相次いで投入してお試しモード入り。
・直輝は現状ベンチ入りすら難しくなっていて先行きが非常に危ぶまれますが、この試合では名古屋の守備が体をなしていないことにも助けられて実に生き生きしていました。投入直後に関根と連動していきなりエリア内に突入してシュート。関根との相性の良さは格別。
・スペースを見つけて動いて、捌いて、また動くという直輝の住所不定加減。他の2列目の選手とは特性が全く違っていて、ドリブラーである原口や梅崎の代わりにはもちろん、ボールが持てる柏木や興梠の代わりにもならず、それゆえミシャは使いづらいのでしょうけど、これはこれで何がしか使い道があるような気がしてなりません。
・宇賀神が小破している間に出場機会を得た関口。誰がどう見ても対面の矢野が酷すぎたのに助けられての1ゴール1アシストですが、それでも結果は結果。関口は選択肢があまりなくて、思い切り良くプレーするしかない局面のほうが活きるタイプのような気がしてなりません(この辺は梅崎とそっくり)。悪く言えば、周りが見えて複数の選択肢の中で迷いが生じるとダメなタイプ。単純なサッカーを突き詰める仙台では活躍したが、ミシャのもとではイマイチというのもそれゆえかなぁ。関根に抜かれて厳しい立場ですが、直輝同様何がしか使い道があるような気がしてなりません。
・スタメン出場で2ゴールの李。原口が抜けたあとは李・興梠・柏木のユニットが基本になると思われ、それだけになんとか不調から脱して欲しいところですが、この試合では先制点の場面をはじめ最前線でのボール捌きにそれなりに絡んでおり、久しぶりに合格レベルの出来。もっとも牟田転倒による絶好機はせめてシュートを枠内に飛ばして欲しかった。
---玉田--永井---
小川--------矢田
---ダニルソン-田口---
佐藤-本多--牟田-矢野
-----楢崎-----
得点:23分 永井、72分 松田
HT 玉田→松田
67分 小川→枝村
77分 佐藤→田鍋
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