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2014.08.29

【展望】14年第22節大宮戦

・ラインコントローラーとしての使命をすっかり忘れてしまって降格圏に両足突っ込んでいる大宮。目下3連敗中で、中断明けどころか前回のさいたまダービー(第13節)に惨敗して以来勝ちがなく、15位甲府との勝ち点差は5に開き、気がつけば最下位徳島が勝ち点4に迫ってきました。

・今年の大宮が実に「大宮らしくない」のはリーグ戦半ばを過ぎても本気を出さないこと。大宮の強みは何といっても全試合無観客でもクラブ経営上何も問題もないと思われるほど無尽蔵に湧き出てくる「みかかマネー」。例年降格圏が迫るとみかかマネーを惜しげもなく注ぎ込んで早々に監督を代え、Jリーグでは反則級の外国人を補強し、さらにカップ戦なんて早々に見切りをつけてなりふり構わずJ1残留に血道を上げてきたのが大宮の伝統。

・ところが今年はなぜか長い中断期間があったにも関わらず、成績不振の大熊監督を更迭せず。さらに不可解なことに敗れたところで何の不思議もなく、誰も咎めだてしないであろう湘南相手に天皇杯で勝って4回戦に駒を進めてしまいました。不振のラドンチッチに見切りをつけてムルジャを連れて来て、しかもそれが当たりだったところが唯一の大宮らしさ。

・第17節ホームで徳島に敗れた辺りではさすがに周囲がきな臭くなって、一部選手の造反が噂されたり、一部スポーツ紙で大熊監督の解任が報じられたりしましたが、いつの間にか沙汰やみに。よって今日までズルズルと大熊体制が続いていますが、戦績は上向くどころか下方修正の勢い。

・戦力は中断期間を挟んで多少入れ替わりがあり、前述のFWムルジャが加わったのが目玉。デビュー戦でいきなり広島相手に2ゴールを上げ、ここまですでに4得点。シュート精度が高い上に、足元や胸元でのボールの納まりが良く、同じ元セルビア代表という肩書ながらランコよりもどう見ても実力上位。187cmの長身ですがハイボールはそんなに強くはないかなといったところ。

・チョヨンチョルが中東へ去って、代わりにDMF/右SBチョ・ウォニ(趙源熙)を獲得しましたが、初めてスタメン起用された前節鳥栖戦では簡単に裏を取られまくるわ、横パスは取られるわと散々な出来で、浦和戦にも出場するなら格好の狙い目。

・また同じく鳥栖戦では左SHスタメンに大卒新人の泉澤を抜擢。スピードがあって積極的に仕掛けてくるタイプでその前の新潟戦でも途中出場ながら活躍していました。森脇が苦手そうなタイプなので要注意。

・他に目を惹くのは戦力テコ入れで獲得したはずの増田がなぜかポジションを失い、ボランチに和田が起用されるようになったこと。

・大宮は怪我人が後ろ目に多発。CB片岡、SB今井、SB渡部が長期離脱中。さらに鳥栖戦でSB高橋が負傷。長期離脱していた金澤はようやく前節復帰。

・大熊監督は失点が止まらないことへの対策として一時3バックを採用(前回の浦和戦も3バック)していましたが、これまたいつの間にか沙汰やみになって現在は4バック。もっともこれは戦術的理由ではなく、怪我人多発によるCBの頭数不足で3バックをやろうにもできなくなっただけかもしれません。

・選手を代えようがフォーメーションを変えようが失点は相変わらず止まらず、ほば毎試合複数失点。前節鳥栖戦では最終ラインを押し上げて前目でボールを奪ってショートカウンターを試みていたようですが、金澤なり和田なりが思い出したようにボールホルダーへ詰め寄っているだけでボール狩りに組織性は感じられず、当然ながらボールを高い位置で奪えず。

・最終ラインの面子が安定しないためか、ラインコントロールも乱れがち。ボールホルダーにプレッシャーがかかっていないのに最終ラインが妙に高いので簡単に裏を取られることも。

・ビルドアップは上手くないので、攻撃はロングボールを多用→前線が頑張ってサイドへ展開してのクロス攻撃が目立ちます。クロスがズラタン→ムルジャとか家長→ムルジャorズラタンと繋がった場合は脅威になりますし、ムルジャの足元に収まったボールをズラタンや家長にエリア内へ運ばれると非常に厄介。ズラタンはムルジャしか見ていないような気がしてなりませんが。

・降格圏にいるチームの割には攻撃陣は強力なので、昨今急激に失点が増えはじめた浦和は下手をすると先に失点してしまうかもしれません。森脇の裏を突かれてクロスを入れられる失点パターンが目に浮かびますが、相手はなんだかんだいってもザル。先制されても慌てず騒がず辛抱強く戦い続ければ自ずから活路は見いだせるかと。

・「試合内容に見るべきものは全くないが帳尻だけはきっちり合わせてくる」というのはさいたまダービーでしばしば披露してきた大宮の真骨頂ですが、選手の入れ替わりが激しい大宮にその闘志が残っているかどうか。前回の対戦ではそんな気配は全く感じられませんでしたが。

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<前節:大宮 1-3 鳥栖>

-----ムルジャ-----
泉澤---家長---ズラタン
---金澤--和田---
高橋-横山--菊地--趙
-----北野-----

得点:45+4分 家長

37分 高橋→高瀬
70分 泉澤→渡邉
72分 金澤→カルリーニョス

・SB中村がベンチにもいませんでしたが理由不明。

・GKがこの試合から江角→北野に代わりましたが、これまた理由不明。

<前回:大宮 0-2 浦和>

-----長谷川----
--富山----家長--
中村-横山--増田-今井
--高橋-菊地-片岡--
-----江角-----

56分 富山→チョ ヨンチョル
63分 横山→渡邉
84分 長谷川→福田

・点差以上の圧勝。例年、どんなに負けが混んでいようが、降格圏を彷徨っていようが、さいたまダービーだけはまるで人が変わったようなファイティングスピリットを見せる大宮ですが、この日はなんとも不甲斐ない闘いぶりに終始。大宮は2点ビハインドでも遮二無二点を取りに行く気配すら見せず、あっさりと土俵を割るなんだかなぁな負けっぷり。

・大宮はとにかくボールの奪われ方が酷すぎる上に、ボールを奪ったところで攻撃の形を持っていないのが致命的。

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