【観戦記】14年第29節:浦和 0-0 甲府
・「残留のために勝ち点1をコツコツ積み上げる」という甲府の基本戦略を是とするならば、どこからどう見ても終始甲府ペースの試合。浦和にもチャンスはなくはなかったのですが、甲府にも試合終了間際にビッグチャンスがあって、浦和としても勝ち点1に甘んじるしかなかったといって差し支えないでしょう。
・徳島、C大阪、仙台、甲府と続いた残留争い組との4連戦で勝ち点わずか4というのは正直残念。ただ良くも悪くも実力差が小さいのがJリーグの特徴で、下位相手だから勝ち点を計算できるというのがそもそもの間違い。
・徹底的に守りから入ってくるのが判り切っている甲府相手に変に焦ってリスクをかけすぎてカウンターを喰らうような戦略的なミスを犯すことなく、最後の最後までじっくり攻め、最低限のタスク=勝ち点1を達成できただけで良しとすべきかと。この試合も内容は芳しくありませんでしたが、少なくとも仙台戦のような自爆と言われても仕方がないミスを繰り返さなかっただけでも多少進歩してますし。
・それにしても甲府の浦和対策は完璧でした。自陣に引いて守っている時間が長いのはいつも通りですが、守備時のフォーメーションがいつもの5-4-1ではなく、キリノ&阿部を前に残した5-3-2だったのにはびっくり。そして浦和が最終ラインにボールを下げると甲府は2トップが圧力をかけてきました。当然その後ろの守備ブロックも連動して押し上げ。キリノが負傷して盛田が投入されてもその布陣は変わらず。
・この甲府の策の前に浦和はビルドアップに四苦八苦。前半はカウンターで李にチャンスがあったくらいで、それ以外はほとんど何もできませんでした。大過には至りませんでしたが、カウンターを誘発しかねないパスミスも目立ちました。
・興梠や李にはほとんどボールが入らず、浦和の攻撃はサイド攻撃のみ。しかし、浦和がサイドでボールを持つと石原なり新井なりが寄せてきて、後ろのWB、さらには下がってきたFWと連携を取りながら浦和の攻撃を封殺。
・浦和にとって大誤算だったのが出場停止の宇賀神に代わって左WBに入った梅崎の不振。久しぶりのスタメンで気負いがあったのか、あるいは久しぶりの左WBで戸惑いがあったのか、原因は良く判りませんが、槙野とのコンビネーションが良くないのはともかく、梅崎自身の出来も悪く、対面のジウシーニョに攻守両面で苦戦を強いられました。興梠に縦パスが入らない上に、サイドもこれでは浦和はどうしようもありません。
・甲府の右CB畑尾は体調不良の青山に代わって急遽スタメン入りしたもので、ここまでリーグ戦ではほとんど出場機会なしのない新人。従って当然ここが狙い目になると思われましたが、槙野が単騎で突っ込むだけでは連携の取れた甲府守備陣は突き崩せず。
・後半になると甲府もタイトな陣形を維持できなくなってきたのか、浦和も多少パスが回るようになりましたが、チャンスは柏木FK→那須ヘッドがGK正面を突いたのと、槙野のミドルシュートがポストを叩いた場面くらい。
・甲府がクリスティアーノを投入した辺りで守備陣形を5-4-1とし、盛田が中盤サイドで守備に奔走していたのが傍目には謎でしたが、浦和にボールを回されだしたので中盤を厚くしたのかのかどうか。
・この試合、不振の梅崎に代えて関口を投入した直後の時間帯だけは光明が開けたような気がしました。これまた久しぶりに出場機会を得た関口のドリブルの切れは凄まじく、何度か甲府右サイドを深く抉るのに成功。ただそれによって得たチャンスも李へのクロスが一本あっただけで、その後は時間の経過と共にフェードアウト。サイドから単純にクロスを放り込んでも甲府の守備陣は崩れません。
・終盤の甲府は最前線にクリスティアーノを一人残して、あとは自陣深く引きこもり。「人は石垣、人は城」を地で行く鉄壁の守備構えで、マルシオの強烈なミドルシュートが直撃して山本が悶絶する一幕もありましたが、最後の最後まで破綻なし。
・甲府の攻撃は後半開始早々にサイドを深く抉ったチャンスが2回あったのを除けば、あとは徹頭徹尾縦パス一本でFWに浦和最終ライン裏を狙わせるもの。試合終了間際にその単純な攻撃でクリスティアーノが那須を振り切ってフィニッシュに持ち込む決定機がありましたが、シュートは枠の外。あれが決まっていたら、この日は悔しくて寝られんかったでしょうなぁ。
-----興梠-----
--柏木-----李--
梅崎-阿部--啓太-平川
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
62分 啓太→青木
72分 梅崎→関口
85分 平川→マルシオ
・啓太の交代は中3日での試合を考慮した計画的なものか?
-----キリノ------
-阿部拓----石原--
阿部翔-パラナ-新井-ジウシ
-佐々木-山本--畑尾-
-----荻------
36分 キリノ→盛田(負傷交代)
68分 石原 克哉→クリスティアーノ
73分 ジウシーニョ→松橋
・「残留のために勝ち点1をコツコツ積み上げる」という甲府の基本戦略が正しかったのかどうかは他チーム次第。残留ラインが40近い高レベルになると甲府は苦しくなります。案の定といってはなんですが、甲府は狙い通り勝ち点1を得たものの、同日勝ち点3を得た清水に抜かれて降格圏に転落。でもいまさら勝ち点3を積極的に取りに行く戦いなんてできないでしょうなぁ。
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