【TV観戦記】FUJI XEROX SUPER CUP 2015:G大阪 2-0 浦和
・ゼロックス杯は一応タイトルであり、賞金もかかっているとはいえ、始動早々11日で4試合というクレイジーな日程の中でACLやリーグ戦と比べ優先順位が格段に落ちるのは確か。
・おまけに浦和は韓国から戻っての中2日、G大阪はホームからの中3日とコンディションで浦和に不利だったのも否めないか思います。
・従ってこの大会をミシャがテストマッチとして利用するのは一向に構いませんし、結果が出なかったのも残念ではありますが、それ自体は責めるつもりは全くありません。
・この試合は一連のキャンプの戦略的目的、すなわち今後延々と続く過酷な日程をこなすべく「誰が出てもそれなりのゲームができる」ことが確認・達成できていれば、結果の如何を問わず成功と評して差し支えなかったと私は考えています。
・ところが、試合は攻守にわたって内容も悪ければ結果も悪いとズタボロ。浦和はただボールを保持しているだけで、自陣でブロックを形成するG大阪に対して決定機らしい決定機は作れずじまい。おまけに水原三星戦と全く同じような形(セットプレーでファーの森脇をやられる)で失点し、前がかりになったところをさらにカウンターでやられるというお馴染みの負けパターンの繰り返し。
・ミシャは「試合全体を通して、80分くらいは我々がチームとしてコントロールしながらゲームができていました。」というけれども、ただボールを持たされていただけで、相手守備陣に風穴を開けるような攻撃がほとんどできなかった80分を「コントロール」というのかどうか甚だ疑問。
・もっとも負けた監督が「ワシがわるぅございました。」「ワシがまちごぅていた」というわけがなく、自己弁護&選手擁護に終始しても全然かまわないのですが、「盗人にも三分の理」じゃないけどもうちょっと説得力のある言い訳を披露してほしいもの。負けた時の言い訳すら画一化しているようでは、引き出しが少ない監督、もう出がらしになってしまった監督と評されても仕方ありません。
・審判団は確かに酷かった。謎のオフサイド、謎のバックパス見逃し等浦和に不利な判定もあれば、G大阪に不利な判定もあり、まことにJリーグ開幕を飾るに相応しいクソ審判団だったと思いますが、残念ながら迷裁きが勝敗を左右するようなものではありませんでした。ミシャがくどくどと審判を批判するのは正直見苦しいと思います。そんな暇があったらセットプレーの守備をなんとかしてほしいものです(苦笑)。
-----李------
--高木----梅崎--
関根-阿部--柏木-平川
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
56分 高木→ズラタン
72分 梅崎→武藤
87分 那須→啓太
・浦和は水原三星戦から中2日と厳しい日程なので、事前予想通り前目&WBを総入れ替え。負傷中の永田&岡本はともかく、加賀はまだスタメンで使えるレベルにないのか、後ろ3人が誰一人として代えられなかったのは残念でした。
・純然たる新戦力は高木だけなんですが、昨年終盤全く機能しなかった李1トップ&梅崎シャドーに、戦術理解&連携に難があり、というかフィジカルが弱くてそもそもシャドーの適性すら怪しげな高木を加えたところで機能するわけがないと思っていたら案の定。浦和は前三人にほとんど縦パスが入られませんでした。
・中に相手を寄せられないので両WBに展開してもWBがフリーでボールを受けられる場面が少ない上に、たちまちG大阪に2人がかりで対応されてどうにもならず。前半は散発的にミドルシュートを放つのが精一杯。後半になって森脇のクロス→高木がシュートを撃ちきれなかった場面が一番マシだったくらい。
・高木を諦めてズラタンを投入したことで多少前でボールが収まるようになり、梅崎→ズラタン、森脇→関根と前半よりは若干チャンスめいたものが出来てはきましたが得点ならず。特に関根がどフリーでG大阪最終ライン裏に抜け出した場面はこの試合唯一無二のチャンスでした。
・G大阪もパトリックを投入し、ようやく両チーム役者がそろった中で、先制したのはG大阪。遠藤CK→パトリックが那須に競り勝ち、落としたところに宇佐美。宇佐美をマークしていたはずの森脇はボールばかり見ていて宇佐美を見失う大失態。水原三星戦と全く同じやられ方で、これには目も当てられません。
・失点直後のドタバタ劇も相変わらず。東口ゴールキック→槙野があっさりパトリックに競り負け、関根と那須のあんまりな対応で宇佐美に際どいシュートを放たれてしまいました。
・失点後は自陣深く引いて守るG大阪に対して、浦和は人数をかけて攻め込むも全くと言っていいほど崩しきれず。武藤を入れてシャドーに回っていた李を下げるものと思っていたら、ミシャが下げたのは多少マシに思えた梅崎のほう。李がボールを持ったままズルズルを後ろに下がってきた一幕がありましたが、あれには参ったなぁ・・・
・そのまま何の見せ場もなく試合終了かと思いきや、終了間際に赤者の怒りの炎に火を注いでしまったのが槙野。槙野が縦パスを至近距離にいた選手にぶち当て、跳ね返りを拾ったパトリックが対面の阿部をものともせずに一人でゴール。この試合を通じて槙野の攻撃参加が非常に目立ち、どこかでやらかすだろうなと思ってはいましたが、目も当てられない格好でやらかすとは・・・
・「興梠・ズタラン・石原を3人とも欠いた状態では攻撃が成り立たない」「関根&槙野の縦並びはリスクでか過ぎ、あるいは持ち味を相殺しているのでは?」「4-1-5の1にしては動き過ぎる柏木はどうなの?」等々、今後のターンオーバーないしローテーションのあり方について反省だらけの試合であり、同時に「槙野と森脇の守備意識はどうなっているのか?」等攻守のバランスが2013年並みに崩れつつあるような気さえする、とにかく残念な試合でした。
--宇佐美--赤嶺---
倉田--------大森
---遠藤--明神---
藤春-丹羽--岩下--オ
-----東口-----
得点68分 宇佐美、90+4分 パトリック
63分 赤嶺→パトリック
78分 宇佐美→リンス
90+1分 大森→阿部
・G大阪はほぼ北京国安広州富力戦通りとの予想もありましたが、パトリック→赤嶺、小椋→明神、阿部→倉田、米倉→オと意外にも4人も入れ替え。
・G大阪の試合内容も褒められたものではありませんでした。自陣でブロックを作って粘り強く戦いながら前半お休み(当然ながらノーチャンス)→後半一気にラッシュをかけてくるゲームプランかと思いきや、やはり腰が引け気味で、先制点に至るまでのチャンスらしいチャンスは森脇の裏を取ってから明神の枠内シュートで終わった一回だけ。
・G大阪の新戦力=赤嶺のテストという面ではこちらも何の収穫もなく、パトリックが出てきてようやくゲームが動く始末。ただ長谷川監督は昨年来FWはフルに使わず(というか宇佐美が90分持たないこともあって)試合途中で適宜交代させて過密日程をこなすのが慣例になっており、赤嶺も大過さえなければいい、パトリックを多少休ませる仕事さえしてくれればいいと割り切っているのかも。
・守備は最後まで大崩れすることなし。そして我慢を重ねている間に、数少ないチャンスをしっかり決められるところが浦和とは雲泥の差。もうザルで強打する西野時代の面影は全くありません。
・でも浦和相手にしたたかな戦いぶりを見せたG大阪がホームで北京国安広州富力に完敗を喫したとあっては「Jリーグの凋落」が囁かれても仕方ないのかも。
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