【TV観戦記】15年ACL G組第3節:北京国安 2-0 浦和
・ACL3戦全敗。まだグループリーグ突破の可能性が完全に潰えたわけではありませんが、絶望的と言って差し支えないところにまで追い込まれてしまいました。
・この試合も浦和にチャンスが全くなかったわけではありませんが、相手に押し込まれる時間が長い(特に前半)だけでなく、決定機の数も相手のほうが多かったと思います。
・そしてそんな手強い相手に決めるべきところを決められず、我慢すべきところを我慢できずに失点し、最後は集中が切れたかのようなミスに乗じられて致命的な追加点を取られるという、判で押したような浦和の負けパターンをまたまたご披露。
・北京国安はグループリーグで最も強いという印象を受けましたが、それ以上に浦和が弱すぎる。浦和はACLで闘えるレベルに達しておらず、さらにいえば今の延長線上ならACLで闘えるレベルに到達する見込みも薄いと言わざるを得ません。
・中2日で長距離遠征付のアウェーゲーム。連戦連戦でコンディションを崩している選手が少なくない上に、ピッチはボコボコ。この条件下で普段通りのサッカーをやれというのがどだい無理な話で、実際攻守とも浦和らしさが表現できた時間帯なんてトータル15分もなかったと思います。ただ普段のサッカーができない、させてもらえない時のオプションが乏しい。いやACLレベルでいえばオプションはないといっていいくらい。
・そして今年はそれなりにターンオーバーを取り入れてはみたものの、なぜか幾人かの選手を無理使いする傾向は変わらず。後ろ目は補強に失敗した上に、怪我人が多発したこともあって代えるに代えられない事情は理解できますが、なぜ不調の柏木を、森脇を使い続けるのか。そして前節山形戦で興梠を無理使いした挙句、北京戦ではベンチ外とせざるを得なかった大失態をどう考えているのか。
・結局のところ、ミシャの硬直した戦術と硬直した選手起用が「それなりの水準にまで到達するが頂点には届かない」主因でしょうし、そしてその「それなりの水準」でACL圏入りを続けたところでACLには届かないのだと思います。
・だからといってここでまた一から始めると「それなりの水準」にも届かない可能性が高いもどかしさ。著しくバランスを失しているとはいえ、あれだけの大補強を敢行してもらいながらACLはグループリーグすら突破できなかったとなると、リーグ優勝でもしないとミシャの契約延長はないでしょうし、それで妥当と考えますが、シーズン途中でまたしても自爆ボタンを押してしまう愚だけは避けるべきでしょう。
-----石原-----
--武藤----柏木--
橋本-阿部--啓太-平川
-槙野--永田--森脇-
-----西川-----
得点:78分 バタージャ、84分 ユ ダバオ
63分 啓太→高木
71分 武藤→梅崎
80分 平川→関根
・スタメンは出場停止の那須の代わりに故障明けの永田を起用した他、山形戦のスタメンから興梠→武藤、宇賀神→橋本、梅崎→平川、青木→啓太と計5人入れ替え。山形戦での無理使いが祟って興梠をベンチ外にせざるを得なかったのはミシャが繰り返す大失態。小破したズラタンが間に合わなかったのも誤算。
・それなりに面子を入れ替えたものの、前半の浦和は武藤に2度チャンスがあったくらいで、ほぼ防戦一方。中2日での長距離移動でコンディションボロボロなのか、玉際で競り負けまくってほとんどの時間で押し込まれっぱなし。相手は特に上手いわけではないのですが、とにかくボールが奪えないので浦和はひたすら耐えるしかありませんでした。特に啓太の状態が良くないのか、中盤でボールを奪えないのが極めて厳しかったかと。
・後半に入ってようやくそれなりにボールが前に運べるようになり、両WGが高い位置を取るいつもの浦和っぽくなりはしましたが、これといった決定機が作れないどころかシュートにも持ち込めず。
・北京は石原に縦パスを入れたところを徹底的に潰してきた感がありあり。またサイドで良い形でボールを持つ展開にならないので、橋本の良さも発揮できず。浦和らしい攻撃でチャンスが作れたのは、後半半ば永田が突如自らドリブルで持ち上がって梅崎→永田で終わった場面くらいでしょうか。
・前半2度あった武藤の単騎突破、終盤の梅崎→石原といずれも手数をかけない縦に速い攻めでチャンスがあり、それを意識的にオプションとして磨いてゆけばミシャも一皮剥けるのではないかと思いますが、それは「暢久にやる気があれば」と言うようなもの。
・またDF裏に抜け出した武藤2度目の好機は是非とも決めてもらいたかったのですが、「チャンスはアホほど作るが決められない」のが仙台時代からの武藤の仕様。武藤は頑張っているのが傍目にも判りやすい選手なので責めたくはないのですが、とはいえACLを闘う上で補強選手の質は十分だったの???という話に帰着してしまいます。
・永田のお約束=「一試合一回のうっかり」による大ピンチなど、何度か危ない場面を好セーブで凌いでいた西川でしたが、失点は残念ながらその西川のミスから。FKのハイボールに対して永田とダムヤノビッチ、そして飛び出してきた西川の3人が交錯するような格好になり、西川がボールを弾ききれずにこぼれたところをバタージャに易々と蹴りこまれて失点。今季初出場の永田との連携もどうだったのか?
・またダムヤノビッチは日テレがやたら連呼するほどアジアでは反則技的なスーペルな選手、いわゆる「ワ級」とは思えなかったのですが、それでも対応が厄介な選手だったのは確か。ダムヤノビッチ自体は封殺できたが、それに気を使うあまり、他の選手にやられてしまう。こうなるとACLレベルでは「外国人選手枠だだ余りって何なの?」という話に。
・致命的には2失点目は森脇のボールロストから。数々のホールディングの反則を主審に見逃してもらう僥倖に助けられ続け、なぜかマッチアップしている選手と妙に仲良しげになりながら奮戦してはいたものの、最後にボロが出てジ・エンド。
・この日は前でボールがほとんど収まらないので両CBが攻撃に出るどころではなく、そうなるとわざわざ疲労困憊&自信喪失&CBとしては能力不足の森脇ではなく加賀で良かったのではないかと思いますが、この辺は結果論か。でも後ろ目で唯一投入できる加賀をほとんど使わず(使ったのがなぜかブリスベン戦の右WB!)、公式戦全試合で森脇に拘り続けたのはミシャの失策でしょう。
・個人技一発とかセットプレーとかじゃないと点が取れそうにないので、高木の投入はありだと思います。当然ながら高木の守備は心もとないので投入は終盤の勝負どころだろうと考えていたところ、ミシャはなんと63分に高木を投入。しかも啓太を下げて柏木をボランチに据える硬直的かつあまり当たらない恒例の博打。そして残念ながら高木はフィジカルが弱すぎてアジアレベルでは全く使い物にならず、この交代は失敗。
・さらに前半浦和唯一の武器だった武藤を北京がラフプレー連発で壊してしまうという、なんともACLらしいトラブルでミシャはやむなく梅崎投入。今季不振の梅崎ですが、高木とは対照的に、妙に吹っ切れている時の梅崎らしい縦に速い動きを連発して嬉しい誤算。でも梅崎のクロスを永田も石原も決められず。
・ACL残り3試合、無為無策のまま、いつもの負けパターンを繰り返して終わるのか、あるいは来年のACL(あるかどうかは定かではありませんが)へ向けて何かを掴んで終わるのか、可能性が極めて乏しかろうと、いや可能性が完全に潰えたとしても浦和の闘いぶりに目を凝らしてゆく所存です。
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