【観戦記】15年第2節:浦和 1-0 山形
・山形の堅固な守備に苦しんで浦和は決定機どころかチャンスらしいチャンスも僅少。
・山形に全くチャンスを与えてはいませんでしたので悪い試合ではなかったのですが、かといって良い試合ではなく、少なくとも面白い試合ではなかったかと思いますが、終盤に阿部のスーパーゴールが飛び出して勝ち点3を無事ゲット。
・山形は守備こそほぼ完璧に機能していましたが、如何せんボールを奪ってからの攻め手に乏しく、シュート数わずか4で敗戦。CKは1本も取れなかったのでGK山岸の見せ場(?)もなし。
・昇格組との連戦はいずれも容易な試合ではありませんでしたが、終わって見れば浦和連勝。リーグ戦はこれ以上ないスタートが切れました。
・山形はいつもの3-4-2-1ではなく、はっきりした5-3-2のフォーメーション。山形は2011年以来のJ1復帰なのでミシャスタイルの浦和と対戦するのは初めてですが、石崎監督は柏や札幌在籍時にミシャスタイルを経験済みのためか、その対策は手慣れたものなのでしょう。そして浦和対策に割ける練習時間なんてたいしてなかったにも関わらず、きっちり機能させる石崎監督の手腕も並々ならぬもの。
・山形は布陣こそ後ろに人数を割いてはいますが、前半は決してドン引きではなく、むしろ最終ラインを極力押し上げて陣形をコンパクトに保ち、浦和の中盤のビルドアップをコンパクトな陣形内でのプレッシャーで潰しに行くような感じ。特にサイドに追い込んでからの宮阪の鋭い寄せに苦しんで前半の浦和右サイドは何もできませんでした。
・浦和は無理に縦パスを入れると自殺行為になりかねないためか、山形最終ラインの裏狙いの攻撃が目立ちましたが、散発的かつ単調なものに留まって、流れの中でチャンスらしいチャンスは前半終了間際に左サイドに振って槙野→石原→興梠→青木と繋がった1回のみ。
・後半になってミシャは青木→武藤ではっきりと攻めのサインを出しただけでなく、無理使いしては見たもののさっぱりだった興梠を諦めて前節上出来だった高木を投入。さらにこれまた低調な出来に終始した梅崎を下げて関根を後半半ばを待たずに投入するというミシャらしいというか、無謀としか思えない強気一辺倒の駒捌き。
・ついでにミシャは後半頭から梅崎と宇賀神の左右を入れ替えましたが、あれは前半右サイドの出来があんまりだったからなのかどうか。
・ミシャが自力でボールを前に運べる選手をベタベタ張ったのと、山形の運動量が落ちて陣形の隙間が広がったのが相まって、後半になって浦和は積極的に仕掛ける回数こそ増えたものの依然としてチャンスはなかなか作れず。形になったのは宇賀神→石原と森脇→石原の2回くらい。浦和が前にボールが運べるようになった反面、山形の最終ラインが深くなって深い位置でブロックを作るようになり、スペースがなくなって高木や関根は窒息気味に。
・ただあんまり引くとぽっかり空いたバイタルエリアからミドルシュートを喰らってしまうというのもよくある話。山形のクリアボールを後方から走りこんできた阿部がダイレクトボレーで叩き込んで苦しい試合に終止符。抑えの効いた実に見事なシュートでした。浦和でこのシュートを生で見られただけでこの試合はお腹一杯。
・その後に武藤がスルスルっとドリブルでエリア内に突入する絶好機がありましたが、シュートはポストを直撃してダメ押しならず。
・文句なしのMOMにも関わらず、試合後の阿部は言葉少な。連戦連戦でも全く代えが効かず、途中で下げるわけにもいかないので相当お疲れなのでしょうし、「こんなところで満足してはいけない」という自戒もあるのだと思います。
・試合後は山岸が場内を一周して丁重に挨拶。移籍元でも移籍先でも愛され、頼りにされた山岸。誰もがハッピーになれる良い別れの挨拶でした。
-----興梠-----
--石原----柏木--
宇賀神-阿部-青木-梅崎
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
得点:83分 阿部
HT 青木→武藤
62分 興梠→高木
68分 梅崎→関根
(試合終了時)
-----石原-----
--高木----武藤--
関根-阿部-柏木-宇賀神
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
・ズラタンと李が故障してやむを得ないのかもしれませんが、ミシャは首を痛めている興梠を無理使い。そして案の定というかなんというか、興梠はほとんどボールに絡むことなく62分でアウト。中2日でアウェー北京国安戦が控えていることを考えれば、ここで興梠を無理使いする必要があったとは思えないのですが。最初から石原1トップで良かったかと。そして武藤を投入時に真っ先に下げるのが興梠ではなく、青木だったのも驚き。
・槙野を含めて左サイドにドリブラーばかりがベたべた並ぶ異様な光景(もっともさすがに後半の槙野は自重して全くと言っていいほど攻撃参加しませんでしたが)。高木を入れるのはともかく、梅崎の代わりに入れるのが高木と特徴が被る関根なのか???
・ドリブラーを入れると分厚い敵守備網に個人技で風穴を開ける期待が持てる反面、ボールを失ってカウンターを喰らう可能性も高まります。その際に後ろに控えるのが柏木だと往々にして大惨事になるわけで。
・この試合は山形の反撃能力が乏しいことを見越した上でのアタッカー祭りだったのかもしれませんが、もうちょっと強い相手だと自爆していたかもしれない。結果オーライな気がしてならないミシャの采配でした。
--ディエゴ---山崎--
-宮阪--アルセウ--松岡-
金範容------宇佐美
-石川--西河--當間-
-----山岸-----
61分 宇佐美→舩津(故障による交代)
72分 山崎→川西
86分 松岡→伊東
・前節仙台戦終了後に右WB山田とCB渡辺の故障が判明して共に長期離脱。ただでさえ層が薄いのにレギュラーを2枚欠く苦しい台所事情。さらに山田の代えに入った宇佐美が試合中に負傷する不運も。
・前節仙台戦を見た際にも思いましたが、「守備はほぼ完璧に機能しているものの、点を取る形が見えない」のが山形の現状。そもそも概してボールを奪う位置が低い上に、両FWが守備に奔走しているため、なんとかボールをもらってもそこからゴールまでが滅茶苦茶遠い。
・また浦和に致命傷になりかねないミスがないわけではなかったのですが、そこに付け込んで一気にフィニッシュにまで持ってゆけず。
・小林監督の際には守り倒した上に「石川のFK→田代の頭」でぽこっと1点取ってしまう必勝パターンがありましたが、この試合ではセットプレーも脅威にならず。もっともCKはゼロ、敵陣深い位置でFKを得る機会もあまりありませんでした。
・阿部のシュートは山岸もどうにもならず。浦和の決定機も少ないので山岸のシュートストップの見せ場もなし。ただ浦和のセットプレーに対する山岸の対応が非常に落ち着いていて安定感抜群だったのが目を惹きました。
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