【観戦記】15年ACL G組第5節:浦和 1-2 水原三星
・1分4敗、勝ち点わずか1というこれ以上ない悲惨な結果で今年のACLは最終節を待たずにグループリーグで敗退決定。リーグ戦の結果如何に関わらず、今シーズン終了後にミシャの責任が問われてもおかしくないほどの恥辱にまみれた格好でアジアの舞台を去ることになりました。
・この試合は後半頭から3選手を一気に代え、先制点を奪ったことで一応見せ場は作ったことは作ったのですが、終わって見ればそれは線香花火が燃え尽きる際に放つ一瞬の輝きだったようで、その後は燃えカスと化した浦和を水原があっさり逆転。
・というか、浦和が前半をスコアレスで終えて後半見せ場を作れたこと自体が奇跡的で、前半は2、3点取られて失望のあまりハーフタイムで客が帰りだしてもなんら不思議はなかったくらいズタボロの試合内容。あっさり逆転されるのも力の差通りで、縦横斜め、どこから見てもぐぅの根も出ない完敗でした。
・完敗を喫した主因はスタメン選考でしょう。横浜M戦から中2日、そして中3日で名古屋戦が控え、さらに甲府・G大阪戦と休みなく続く過密日程で選手を入れ替えるのは理に適っているのですが、柏木・槙野・西川の3選手を除く8選手を前節横浜M戦から一気に入れ替えてしまうのはいくらなんでもやりすぎ。
・ミシャは過去天皇杯でスタメンを総入れ替えした挙句、J2クラブにいいところなく負けたり、負けはしなかったもののJ未満のクラブに苦戦したりとターンオーバーの稚拙っぷりをこれでもかこれでもかとご披露してきたわけですが、今年も性懲りもなく繰り返す大失態。
・リーグ戦では故障者が出たこともあって前3人は極端なまでにコロコロ入れ替える一方、3列目より後ろはほぼ固定(せいぜいWBの片方を入れ替えるくらい)することで、前3人のコンビネーション不足に苦しみながらも勝ち点を積み上げてきました。
・ところが相手が格段に強いACLではなぜかWBやボランチ、はてはCBまで入れ替えてしまう。リーグ戦ですら連携不足で苦しんでいるのに、ACLでそれだけ入れ替えればチームが機能するはずもなく、また久々に出て来た選手も試合勘や90分間走れるだけの力を失っていて実力の半分も出せずじまい。
・リーグ戦&ACLを通じて万遍なく、かつちびちび選手を入れ替えるような計画性をミシャは全く持ち合わせていません。それゆえ今年リーグ優勝して、来年またACLの舞台に立つことになったとしても、今年のあんまりなACLの負けっぷりを見て「ミシャにはこれ以上無理じゃね?」という意見が吹き上がって来てもなんらおかしくはないでしょう。たとえその監督交代が悲惨な結末を招こうとも。
・そしてこの試合に限って言えば、ミシャは既にACLを諦めていたのでしょう(絶対に公言はしないでしょうけど)。極端なスタメン入れ替えはまだしも、ベンチの面子で今年試合に出ているのはたった3人で、武藤・宇賀神・関根・森脇・那須は完全休養。そしてその使いものになるたった3枚の駒を後半頭からいっぺんに使ってしまえばもはやミシャに打つ手なし。
・もっとも観客数も寂しい限り。今年のACLは3試合とも14000人弱で、シーチケ対象外だった初戦のブリスベン戦とその後2試合の観客数に大差がなかったのは衝撃的。いきなり3連敗だったのが北京戦・水原戦の客足に響いたのでしょうが、もはやACLに強い関心を持っている人は14000人程度しかおらず、しかも3連敗で早々と諦めムードが広がってしまうような状況下で、ミシャに「わずかな可能性に賭けて最善を尽くさんかい!」と息巻くのもどうかと思います。
-----李------
--高木----柏木--
橋本-啓太--青木-平川
-槙野--永田--加賀-
-----西川-----
得点:(浦和)69分 ズラタン、(水原)74分 コ チャウォン、89分 カイオ
HT 橋本→ズラタン
HT 加賀→梅崎
HT 啓太→阿部
・それにしても悲惨な試合でした。前半だけで水原に決定機を与えること3度。そしてそれらを全て西川が防いでなんとか後半に望みを繋ぎましたが、試合内容は全くお話になりませんでした。
・水原は5-4-1の陣形で高い位置にブロックを敷いてのカウンター狙い。浦和対策の典型で、今の浦和レギュラー陣なら「対策の対策」もある程度出来上がっていますが1.7軍仕様ではどうにもなりませんでした。
・とにかくボールを前に運べない。最前線では往々にして敵味方が10人惑星直列よろしく並んでいてパスを出そうにも出せず。サイドからの縦パスで打開しようにも両サイドとも連携が壊滅的でどうにもならず。最終ライン裏を突く試みも散見されましたが、パス精度が低い上に、水原のCBも速くて高木では振り切れず。そして啓太なり、引いてきた柏木なりに無理に繋ごうとすればたちまちカットされてカウンター攻撃を喰らう。
(後半)
-----ズラタン-----
--高木----李---
橋本-柏木--青木-平川
-槙野--永田--阿部-
-----西川-----
・西川の奮戦でかろうじて前半無失点で終えたことで、ミシャはズラタン・梅崎・阿部を一気に投入。これが見事に奏功していきなり浦和のボールが前に進みだしました。ある程度ボールが持てるズラタンが前に、そして相手に囲まれながらも縦パスが出せる柏木が後ろに下がったことで、パスの出し手&受け手が共に劇的に良くなった効果なのでしょう。
・そして梅崎→平川→高木、李→高木、青木→ズラタンと続々決定機を作り、ついに高木→ズラタンで先制。
・このまま1-0で逃げ切りに成功していれば、裏のブリスベンvs北京国安の結果如何で浦和のグループリーグ敗退が決まったとしても「やるべきことはやった」という満足感が得られたかもしれませんが、残念ながら5分後に早々と同点に追いつかれ、試合終了間際に致命的な2点目を取られて逆転負け。
・浦和右サイドからのクロスを中でヘッドという全く同じ形での2失点。端的に言えば平川が電池切れを起こしているのにもはや替え駒が打てず、阿部が右サイドに引っ張り出されたのが失点に繋がったわけですが、1失点は中でコが全くのどフリー(青木が戻ってない・・・)、2失点目はカイオに永田が付ききれずと、中もあんまりな対応の連続。今年の浦和はリーグ戦では終盤がやたら強いのですが、普段出ていない面子だと昨年までの仕様通り終盤に失速するみたいで。
・水原は全くと言っていいほどラフプレーがなく、フィジカルの差を生かしてゴリゴリ押してくるわけでもなく、ロジカルに攻め、守ってくる普通に良いチームでした。もっとも浦和が弱すぎた嫌いは拭えませんが。
・この試合の数少ない収穫は高木とズラタンに連携が出来つつあること。もっとも高木は興梠や石原が戻ってきた場合にベンチに入れるかどうかという立場なので、この日に二度の逸機はチームにとっても本人にとっても痛恨でした。
・逆に李と青木は今後出番あるかなぁ???あと橋本も苦しい。前半だけでお役御免になったのは青木ではなく啓太だったのが意外でしたが、啓太はもう90分持たないのだとすると青木を使わざるを得ない場面が来るのでしょうが、あまりにも消極的なプレーの連続ではミシャもおかんむりでしょうに。
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