【観戦記】15年第6節:浦和 2-1 横浜M
・決定機の数では互角、いや見方によっては横浜M(以下「鞠」)のほうが多かったかもしれません。浦和絶体絶命の大ピンチ、鞠にとっての絶好機を前半に3回、後半に1回作られてしまい、ドローどころか浦和が負けても特に不思議はない試合内容(特に前半)だったと思いますが、そこを西川と阿部の好守でなんとか1失点で切り抜けたのが浦和の勝利に繋がりました。
・また後半立ち上がりの大ピンチを凌いだ後の浦和の試合運びはまさに盤石。ボールを持たされてしまった際の鞠の攻撃力不足を逆手に取るかのように、浦和は何度もカウンターでチャンスメークしながら時計の針を進めてそのまま試合終了。浦和も浦和で何度もサイドからチャンスを作っているにも関わらず、決定機どころかシュートに持ち込めないのは困ったものですが、妙に試合をややこしくする局面を作ることなく勝ちきれたのはたいしたもの。
・さらにズラタンが終始孤立無援気味ながら1トップで中澤&栗原を背にしながらボールをしっかりキープできたこと、そして武藤と宇賀神&槙野との連携が時間の経過とと共にどんどん良くなるのがはっきりと判ったのも収穫。1トップと2シャドーの関係はズラタンと武藤にうっすらと線が浮かんできたかどうかといった程度ですが、興梠&石原不在の間はしばらくこの3人で我慢するのもよさげ。
・ただ前半死にかかったのもまた事実。鞠は4-3-3、いや見ようによっては4-2-4とも取れる布陣で浦和の最終ライン、特に阿部と那須に圧力をかけてきました。浦和はサイドにボールを持ち出せばブロックがスライド。無理に縦パスを入れたり、柏木に預けたり、あるいは阿部や那須がドリブルで前に運ぼうとしたところでボールを奪ってカウンター。
・失点場面はその鞠の狙い通りで、孤立無援のズタランが3人に囲まれてボールを失ったところから三門→伊藤の抜け出しを許してゴール。その前にも阿部のパスミスからアデミウソン→伊藤に決定機を作られています(ここは西川がセーブ)。
・失点を喫するまで浦和もノーチャンスだったわけではありません。鞠は普通に4バックでブロックを形成してボールに寄せてくるので、往々にしてボールを逆サイドが空きがち。従って浦和は鞠のプレスを交わして空いたスペースにボールを展開できればチャンスを掴めますが、前半その形でフィニッシュに結びついたのは柏木→宇賀神のカットイン&シュートだけかな。あとは序盤に槙野ドリブルで中央進出→ズラタンシュートもわずかに枠外があったくらい。
・武藤の同点ゴールは今年の浦和にしては珍しく中央突破が嵌ったもの。宇賀神→武藤が意表をつくタイミングでシュートを放ったのが奏功し、シュートは緩々だったにも関わらずGK榎本は反応できず。シュートは武藤の仕様らしくポストを直撃したものの、その跳ね返りを武藤自身が詰めてゴール。相手を崩した感じは全然しませんが、「シュートは撃ってナンボ」なことを改めて実感。
・また同点ゴールに至る前のビルドアップの過程で武藤が下がって柏木が珍しく前に出ていたのも面白いと思いました。武藤→柏木→宇賀神→武藤と繋がってのゴールでしたが、柏木・武藤の縦のポジションチェンジなんてそうそうはないでしょうから、相手は対応しづらいかと。
・梅崎の逆転ゴールはいかにも浦和らしい左右のゆさぶりから。宇賀神低いクロス→ズタランのシュートは榎本に阻まれるものの、関根が拾って中で梅崎がヘッドでズドン。武藤と比べると梅崎の出来は良いとは言い難く、ズラタンとも関根ともあまり絡まない風でしたが、ここは良いポジションを取って大仕事をやってのけました。。
・後半立ち上がりにCKの連続で自陣深くに押し込まれた後、スローインから喜田→伊藤→アデミウソンに決定機を作られましたが、枠内シュートを阿部がゴールライン上でかろうじてクリア。浦和が九死に一生を得たとしかいいようがない大ピンチでしたが、その場面を凌いだ後の試合運びは全く危なげなし。そしてこれが鞠後半最初で最後のシュートとなってしまいました。
・なにせ浦和は逆転に成功した以上、ビルドアップにリスクを冒す必要がなくなったのがでかい。前半鞠に狙われまくった無理な縦パス、無理な持ち上がりなんて全然する必要がなくなったので、鞠の狙いも完全に空回り。アデミウソンなんて途中からボールを追わなくなったような・・・
・さらに後半は浦和は攻守の切り替えの早さ、動きの良さで鞠を圧倒。何度か鞠の攻撃を中盤で潰してカウンターを仕掛ける場面がありました。ただチャンスを作っても単にクロスを上げておしまいになることが多く、フィニッシュに結びついたのは数えるほど。高さがあるとはいえ単にズタラン目がけて放り込むだけでは中澤&栗原のいる鞠には通用するはずもなく、中へ入る選手の工夫が必要でしょう。この試合、サイドからのクロスに逆サイドのシャドーが飛び込む場面が2回(共に合わず)ありましたが、ああいうパターンを織り交ぜないと。
・追加点は取れませんでしたが、鞠が最後に繰り出したパワープレーにもミシャは加賀を投入して難なく対処。中村も藤本もいない鞠はセットプレーでもこれといったチャンスは作れず、そのまま試合終了。
-----ズラタン-----
--武藤----梅崎--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
得点:42分 武藤、45+1分 梅崎
77分 梅崎→高木
82分 ズラタン→李
87分 関根→加賀
・最後の交代はともかく、梅崎→高木、ズラタン→李の交代は「勝っているのにボールをキープできない選手を入れる」ようなもので本来あまり良い手とは言えないでしょう。また武藤が右に回ったことでせっかく良好だった宇賀神&槙野との連携を断ち切ったようなものですし。従ってこの交代は火曜日の水原戦を睨んで主力を下げた以上の意味は見出しがたいかと。
・埼スタでの鞠戦は歴史的に良い思い出はほとんどないのですが、昨年に続く連勝。ただ観客数は昨年から大きく減ってしまいました(38,226→33,793)。昨年の対戦がGW(4/29)だったことを割り引いたとしても、ビジターが多く来場する鞠戦にしては寂しい結果。2012年には同じくGW中の対戦(5/3)とはいえ44,422も入っていましたから3年の間に約1万人減。鞠が再び中位クラブに転落し、かつ目玉不在だったとしてもなぁ・・・
-----伊藤-----
齋藤---喜田--アデミウソン
---三門--ファビオ---
下平-中澤--栗原-小林
-----榎本-----
得点: 34分 伊藤 翔
67分 ファビオ→富澤
76分 小林→兵藤(三門が右SB、喜田がボランチへ)
85分 栗原→矢島
・こちらも選手交代が不発。最後にパワープレーを仕掛けるなら栗原を前に上げたほうがまだマシじゃないのかと傍目には思うのですが、そこでなんで矢島なんだろう???
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