【TV観戦記】15年第11節:仙台 4-4 浦和
・逃げ切りに失敗して勝ち点2を失ったと見るべきなのか、鬼門仙台で終盤2点リードをひっくり返されるという最悪の展開にも関わらず勝ち点1をもぎ取ったと見るべきなのか、何とも判断の難しい試合。人によって見方は分かれるでしょうが、私は「いやしくも優勝を狙うチームなら絶対やってはいけない試合展開にしてしまった」という点を重視して勝ち点2を失った残念な試合だと考えます。
・そして残念な試合になってしまった遠因は、ミシャの「謎の2枚代え」に求めざるを得ないでしょう。序盤に誤審絡みで不運な失点を喰らったものの、その動揺から立ち直った後は浦和が一方的にゲームをコントロール。前半のうちに同点に追いついて後半はじっくりと仙台を料理するだけと思われた矢先の謎の2枚代え。
・前半鼻を負傷したズラタンを興梠に代えたのはともかく、梅崎を李に代えたのはこの状況、このタイミングでやるべきことだったのかどうか? 無論2点取った興梠はもちろん、3点目は李が導いたようなものなので李が責められる理由なんて全くなく、投入した2選手が得点に絡んでいる以上この2枚代えは大正解だという見方も成り立ちます。
・ただ、この2枚代えでチームに攻め急ぎの空気が蔓延してしまったような気がしてなりません。ビハインドですらなく、浦和の攻めが上手くいっていないわけでもなく、ズラタン→興梠の交代だけでも十二分に逆転が望めそうな状況にも関わらず、なぜ指揮官は攻め急いだのか??? 「ドローでも良いから落ち着いてやろう!」が今年のチームコンセプトだったのに、監督自身が慌ててどうする???
・そして2点リードしてなおも攻めにかかる浦和。実際仙台は自陣に人がやたらいるだけで効果的なボール奪取なんぞ全然出来ておらず、浦和がかさにかかって追加点を取りに行くのは無理もないのですが、結果的にはそれが命取りに。2点ビハインドを負った仙台が矢継ぎ早に前目の選手を代えて強引に仕掛けにきたために戦局は一挙に流動化し、セットプレー絡みで浦和は立て続けに2失点。
・逃げ切りを図る際に浦和が手当てしないといけないのは柏木と関根。それはミシャも了知していて、今年の勝ち試合では青木を入れて(といってもその青木が不安定なのですが)柏木をシャドーに上げたり、永田や加賀を入れて森脇をWBに上げたりとそれなりに手を打ってきました。しかし、この試合では早々に謎の2枚代えを敢行したために片方しか手当てできず、それが主因となって一度は逆転される羽目に。
・端的に言ってしまえば「ボランチ柏木」が久しぶりにボロを出した試合で、それを放置せざるを得ない状況を早々と作り出してしまったミシャの失策は責められて然るべき。積極的に前に出てくる相手、あるいは前に出て来ざるを得ない状況に追い込まれた相手に対してボランチ柏木では耐えきれないことを改めて実感。
・最初の失点は那須→柏木のボールロストからのカウンター。2失点目は柏木の中途半端すぎるクリアを拾われたもの。4失点目はリャンの後ろで柏木が散歩。1失点目のみならず終始柏木はボールの奪いどころとして仙台に狙われていた風で、悪い意味での柏木祭りになったこの試合。
・さらにいえば守備固めの趣旨だったはずの関根→永田の交代が何の役にも立たず、永田が4失点目にがっつり絡んでしまったのも痛恨の極み。その後の森脇共々、エリア内での守備としてはお粗末すぎました。粘り強く対応して相手にシュートを撃たせないように守っていたはずの浦和DF陣が、この試合に限って「慌てるな、その飛び込みが命取り」になってしまうのか?
・目も当てられない失点の数々で2点リードをひっくり返され、昨年の浦和ならそのまま為すすべもなく負け、しかもその敗戦がその後のリーグ戦に甚大な影響を及ぼしていたと思います。ただ逆転後に落ち着かないのは仙台も同じで、エリア内に飛び出した武藤に引っ張られた挙句に興梠をどフリーにする失態を犯してしまいました。負けていれば後々尾を引きかねない試合をドローに持ち込んだ興梠に感謝。
・もっともその後にまたしても仙台に決定機を作られ、西川の好セーブでかろうじて引き分けに持ち込んだのですが・・・ 人はいるのだが相手を掴まえておらず、しかも両サイドががら空き。浦和の守備は最後までどうにもならず、まさに命からがら生き延びたようなドローゲームでした。
・優勝するには何が起こるかわからないオープンな試合にしてはいけない。オープンな試合を自ら招いたミシャは「チーム作りには長けるが優勝はできない監督」と評されても仕方ありません。
-----ズラタン-----
--武藤----梅崎--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
得点:45+1分 阿部、55分 興梠、56分 関根、81分 興梠
HT ズラタン→興梠
HT 梅崎→李
69分 関根→永田
・1失点目は前述の通り、柏木のボールロストからのカウンター。浦和右サイドからのクロスを後方から飛び込んだキム・ミンテが叩き込んだものですが、クロスに反応してジャンプしている金園のオフサイドを取らなかったのが不思議。どう見てもオフサイドポジションにいて、しかもあのジャンプが「ボールに関与していない」と取るのは不可解なんですが。でも槙野がセルフジャッジで手を上げて足を止めたのはいただけない。
・不可解と言えば後半槙野のトスにイエローが出なかったのも。
・1点目はCKのこぼれ玉を阿部が叩き込んだもの。相手に当たってのラッキーなゴールですが、やはりシュートは撃たないと入らない。その前の宇賀神→梅崎の決定機を決められなかったほうが不思議。
・2点目も柏木CK→阿部がニアですらせてファーで興梠。ゾーンで守る仙台は前節FC東京戦でも太田FK→ファー森重にやられており、セットプレーの守りに重大な欠陥があるのかも。
・その2点目のリプレーを延々と流している間に3点目。李がエリア内に突進&シュートのこぼれ玉に関根が詰めているところは判ったのですが、そもそもなんで浦和のカウンターが発動したのかがさっぱり判らず(´・ω・`) 4点目はまだマシですが、これもその直前のリャンのゴールのリプレー長すぎやって!
・ゴールはなく、さしたるシュートチャンスもありませんでしたが、武藤のボールを引き出す動きは秀逸でした。前半の前三人ではぶっちぎりの出来。これならかっぱ巻きくらいもたらしても良さそう。
---金園--ウィルソン---
野沢---------梁
---富田--ミンテ----
石川-渡部-多々良-菅井
-----六反-----
得点:8分 キム ミンテ、60分 奥埜、65分 渡部、80分 梁
58分 ウイルソン→ハモン ロペス
59分 野沢→奥埜
82分 菅井→蜂須賀
・仙台はCB渡部が出場停止から戻った他、今季リーグ戦出場経験のないCHキム・ミンテがいきなりスタメンに入るサプライズ。前半は初出場らしからぬ積極的なプレーが随所で見られました。
・リャンのゴールは浦和DF陣のあんまりな対応もアレですが、あそこで冷静にボールをコントロールしたリャンは天晴れ。リーグ戦で酷使されまくっている上に、前半散々守備に追われて終盤スタミナが持たないと思われたリャンですが、全然バテる気配なし。いやはや恐れ入りました。
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