【観戦記】15年ナ杯準々決勝第2戦:浦和 3-0 新潟
・5点ビハインド & アウェーゴールなしという絶望的な状況で迎えた第2戦。私としては「次の柏戦も代表組を欠いた苦しいスタメン構成で臨まざるを得ない以上、そのテストの場としてこの試合を活用して何が手ごたえを感じてくれれば十分。僅差で勝てればベスト。」と考えていましたが、やはりミシャはそんな現実的な対応を取るようなタマではなく、大胆極まりない策で大量点を狙いに来ました。
・ミシャの奇策は前半完全に不発に終わり、大量得点どころかシュートすら満足に撃てない惨状。前半終了時には第1戦に続き「何の収穫もない糞試合」だと思いましたが、後半頭から投入された李が「まさか!」としか言いようがない突然の大活躍を見せたことを契機に、浦和の攻撃が一気に活性化して3得点。
・ただ序盤から飛ばし気味にゲームに入ったこともあって75分くらいには動けない選手が続出し、ミスも多くなって浦和の大反撃もここまで。
・阿部が成岡に後ろから倒されて得たPKは得点機会阻止で成岡一発レッドではないかと思いますが、第1戦で自爆ボタンを押して大敗に導いた指揮官がジャッジに噛みつくのは甚だかっこ悪いかと。
・5点ビハインドは如何ともしがたく、今年のナビスコ杯はわずか2試合で終了となりましたが、これまで1トップとして全く良いところがなかった李が唐突にブレイクしたのは大収穫。またここ数試合ずっと不調だった宇賀神が久しぶりに高精度のクロスを披露したのも良かったと思います。
・もっとも4-1-4-1っぽい奇策も守備は「各自頑張れ!」の域を出ておらず、大量失点さえしなければいい新潟が無理をしなかったのと、相変わらずのシュート精度の低さに助けられて結果的に無失点で済んだだけ。半ば守備を放棄したようなこの奇策は毎度毎度オプションとして使えるレベルではなかったかと。
・また終始バッファローになってしまった森脇を筆頭に、総じてやや空回り気味&リスクバランスが崩壊している感じもなくはなかったのですが、それでも玉際に激しく詰め寄り、感情をあらわにしてゴールへ向かってゆく姿が何度も見られただけで、大雨の中この試合を見に行った価値がありました。結果こそカップ戦勝ち抜けに繋がらない「虚しい勝利」でしたが、この姿勢を保って残り少なくなったリーグ戦に臨んでもらいたいものです。
-----武藤-----
--柏木----高木--
梅崎-青木--阿部-関根
-宇賀神-那須--森脇-
-----大谷-----
得点:55分 阿部、58分 李、70分 阿部(PK)
HT 青木→李
82分 関根→橋本
82分 高木→平川
・ミシャの奇策とは宇賀神を左CBに配し、かつ宇賀神と森脇がサイドに開きっぱなし & 阿部が最終ラインに降りっぱなしという、事実上4-1-4-1っぽいフォーメーション。通常の3-4-2-1でも攻撃時は4-1-4-1っぽくなるのでそんなに変わった手ではないのですが、守備時も4バックのままでWBが最終ラインにまで下がらないのがポイント。
・これ自体はありだと思いましたが、スタメンの人選に失敗して前半45分をまるまるフイに。第1戦で全く機能しなかった武藤1トップにもう一度チャレンジしたものの、またしても機能せず。武藤にCBを背負ってボールをキープさせるのは無理なので、前5人が思い出したように引いて受けて、他の選手のダイナゴルランで新潟の最終ライン裏抜けを狙わせるみたいなことをずっとやっていましたが、ほとんど形になりませんでした。
・またアンカーに入った青木に柏木の代役をやらせるのは武藤1トップ以上に無理がありました。とにかく縦パスが出せない。
・早い時間帯に宇賀神と森脇がイエローカードをもらったのに象徴されるように、個人レベルで気合が入っているのは良く判りましたが、如何せんコンビネーションもへったくれもなく、チームとして体をなしていない以上、前半シュート1本に終わったのも当然。
・浦和の攻めがあまりにも単純かつ単調なので、大量失点さえしなければいい新潟は後ろに人数を割いて淡々と浦和の攻撃をしのげばいいから楽なもの。さらにカウンターのチャンスを決めていればそれで試合終了だったはずですが、それを決められないのが新潟。
・ミシャは奇策ともいえない愚策を早々に諦めて、後半頭から青木→李で柏木をボランチに、武藤をシャドーに下げてほぼいつもの形に。そして先述のように全く期待していなかった李が1トップとして突如開花!!面白いように李にボールが収まり、時にフリックで裏を狙い、時に簡単に後ろへ叩き、とにかく李がキーになって浦和がいつもの流れるような攻撃を披露しはじめました。
・こうなると浦和は強い。1点目こそCKを阿部がヒールで流して、それがたまたま良いコースに飛んだ感じでしたが、柏木→梅崎→宇賀神のクロスを李が決めた2点目は圧巻。かなり後ろから全速力で上がってきた宇賀神が梅崎を追い抜いて新潟DFを剥がし、しかも高精度のクロスを入れるなんて絶好調時でもそうそうなかったプレー!
・阿部が得たPKは李のポストプレーを生かしたもの。前半も1度ありましたが、最終ラインにいたはずの阿部が唐突に最前線に突っ込んでくると新潟は対処が難しい。もっともこれは阿部の戦術眼があってこそで、飛び込むタイミングを間違えると単なる自殺行為。蹴りたそうにしていた李を抑えて、自らPKを決めたことといい、阿部のメンタルの強さには感服しました。
・ただここが浦和大攻勢の終末点で、その後は急速に消耗。関根のクロスに武藤が飛び込んだのが惜しかったくらい。消耗著しい関根と、李とは対照的にほとんど良いところがなかった高木に代えて平川と橋本を入れては見たものの、共に良いところなく、そのまま試合終了。
・ついに埼スタ公式戦デビューとなった大谷。前半終了間際にまたしてもCKを被ってしまってどうなることやらと思いましたが、後半は山崎→指宿の決定機を阻止するなど見せ場も多少あり、まずまずの出来。柏戦でもう一度出場機会があるかどうか判りませんが、この完封勝ちで自信を深めて欲しいもの。
---山崎--指宿---
加藤-------山本康
--小林裕--レオシルバ--
コステス-大井-舞行龍-川口
-----守田-----
57分 小林裕→大野
64分 山崎→成岡
78分 指宿→ラファエル シルバ
・新潟はとにかく大量失点さえしなければ良いので、いつもよりは前からのプレスが弱く(特に両SH)、前に2トップを残してやや後ろに重心を残したような格好。
・前半は浦和の攻撃があまりにも稚拙すぎて何の心配もいらなかったのですが、後半は情勢が一変。レオシルバをもってしても浦和の攻勢を中盤で潰しきれず。大野&成岡を投入して5-4-1で逃げ切りを図ったものの、これまた奏功したとはいえず。受けに回った時の新潟の弱さが炙りだされた格好。
・ただ5点もリードがあると、3点返されたところでパニックになりようがなく、浦和が疲弊した時点で逃げ切り勝ち確定。
| 固定リンク