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2015.11.23

【観戦記】15年2nd第17節:浦和 5-2 神戸 ~ 大幅駒落ちで大勝を果たすも、年間勝ち点1位には届かず

・2007年以来全くと言っていいほど良い思い出がない最終節。序盤で早々と3点を奪いながらも途中自ら試合をややこしくしてしまう一幕がありましたが、終わって見れば苦手神戸に久しぶりに大勝。同日広島も勝ったので惜しくも年間勝ち点1位には届きませんでしたが、とりあえず勝って終わったのでどよーんとした重苦しい雰囲気のままに啓太を送り出す羽目にはならず、それどころか啓太の万感胸に迫るスピーチの数々で思い出深い日になりました。

・小破で天皇杯を欠場した那須や森脇、前日練習で首を痛めた興梠はなんとベンチ外。代表遠征明けのズラタンはベンチスタートと、コンディションが万全でない選手を無理使いしないというおよそミシャらしくないスタメン構成で臨んだ一戦。なにかと実績のある選手を無理使いするのがミシャの通癖ですが、さすがにこの試合の勝ち負けよりも次のCSの勝ち負けがはるかに重要であることは判っていたみたいで。

・そして李・高木・永田・加賀と控え組がゾロゾロスタメンに名を連ねましたが、これまた意外にも悪くない働きぶり。特に李はほぼ満点といって差し支えない素晴らしい出来。高木と加賀の出来も悪くはなく、唯一永田が前半の活躍をすべて帳消しにしてなお余りあるくらいの大チョンボをやらかして来年の去就を心配せざるを得ない結果に。

・神戸の出来は実に酷いもの。天皇杯では横浜Mに勝ったのが不思議としか言いようがないくらい前半ズタボロにやられまくりましたが、その酷さは一過性のものではなかったようで、レギュラーをごっそり欠いた浦和に立ち上がりあっという間に3失点。神戸も故障で主力を欠きまくっているので年末天皇杯での対戦時には全然別のチームになっているでしょうが、この大勝で神戸に、そしてネルシーニョ監督に浦和戦のやりにくさを植え付けられたのは慶事かも。

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・ネルシーニョはこれまでの定石通り3-4-2-1の同一フォーメーションで浦和に対峙。当然ながらいたるところで1対1が生じるわけですが、神戸はその勝負でお話にならない選手が続出。安田は鳥栖時代にユンジョンファンにこってり絞られてスリムになったのが嘘のようにまたブクブクに太って関根にズコズコにやられ、北本は1トップが得意とは言い難い李にいいようにやられて懲罰的交代を命ぜられる始末。ユースの藤谷はそもそも浦和レベルの相手にスタメンで出すのが酷なレベルだし。

・神戸は5-4-1の布陣を敷いて守ってはいましたが、ボールを奪ったところで浦和の前から前からのプレッシャーを交わせずにいとも簡単にボールを失うので守備網が安定するわけがなく、浦和のカウンターを浴びて最終ライン裏へ飛び出されたり、あるいはスカスカのバイタルエリアを使われたりと散々。

・浦和の1点目は高橋からボールを奪った阿部→関根が右サイドを突破したところから。クロスに反応した武藤に付いているのがよりによって藤谷でクロスをクリアできずにその後ろにいた武藤に流し込まれる大失態。。

・2点目は神戸FKからのカウンターで高木→李。ここはそもそも神戸の切り替えが遅い上に、関根→高木への縦パスに対応できなかった安田の凡ミス、そしてはるか後方から全速力でゴール前へと走る李を放置する二重三重の大惨事が重なったもの。

・3点目は永田→宇賀神へのロングフィードから。左サイドで李→槙野とパスで繋いで柏木が仕上げって、もうカラーコーン相手に練習しているような得点。

・ネルシーニョはたまらず15分に早々と北本を下げて前田を投入してチョンウヨンをCBに下げる布陣変更。序盤にして3点もリードした浦和はいったん落ち着いて相手の出方を見極めれば良いのに、あまりにも神戸の出来が酷いせいか同じようなリズムで攻め続けてしまった挙句神戸の逆襲を許すことになったのがこの試合の反省点。

・関根の裏を安田に突かれてからの渡邉のシュートこそ西川がかろうじてセーブしましたが、その直後に石津に単騎ドリブルでスルスルとバイタルエリアまで運ばれてしまって失点。本来槙野が付くべき選手ですが、代表疲れなのか、いやその前から槙野の出来は良くないんだよなぁ・・・それ以前に武藤・柏木・永田とあっさり交わされ、前目でボールが奪えない時の浦和の守備の脆さが浮き彫りになった場面でもあり。もっともこの日神戸で一人気を吐いていた石津を褒めるべきかもしれませんが。

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・後半になると前がかりになった神戸に押し込まれる時間帯が長く続きました。深い位置でボールを奪い返してもパスミス、フィードミスでボールを簡単に奪い返され、なんとか攻撃に転じてもシュートで終われずにまた攻められるの繰り返し。なんで2点リードしているチームがそんなに慌てるのか、実に不可解。

・そして後半パスミスを繰り返していた永田がとうとう「毎試合1回はやらかさずにいられない何か」、いわゆる自爆ボタンをついにぽちっとな。森岡に絡まれながらも西川を使って楽々交わせそうなところ、何をとち狂ったのか、何をぼんやりしていたのか、実に摩訶不思議な格好でボールを失って失点。

・ミシャはとかくボールを失いがちな高木に代えて、ボールが持てるズラタンを満を持して投入。永田のやらかしの後に武藤→青木で逃げ切りを図りましたが、悪いことは続くものでさらに加賀が故障。この時点で3-0をひっくり返される(しかもホームで!)悪夢が脳裏にチラチラし出したのが正直なところ。

・ただ浦和がフラフラしているにも関わらず、神戸がそれほど決定機を掴めなかったのも事実(永田の自爆以外は後半立ち上がりに石津のシュートが西川にセーブされたくらい?)。結果的にはズラタン投入が終盤効いて最前線でボールキープ。そこにシャドーに下がった李が絡んでカウンターを連発し、青木&梅崎のゴールで神戸を突き放して、終わって見れば実力差通りのスコアに。

・3点リードしてからの試合運び、そしてどうにもならない守備の不安定感と多少ケチはつきましたが、小破レギュラー陣を温存しながら苦手神戸を下せたのは何よりでした。

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-----李------
--武藤----高木--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--永田--加賀-
-----西川-----

得点:2分 武藤、9分 李、13分 柏木、77分 青木、84分 梅崎

59分 高木→ズラタン(李がシャドーへ下がる)
71分 武藤→青木(柏木がシャドーへ)
75分 加賀→梅崎(阿部が右CBへ、柏木がボランチへ下がる)

・繰り返しになりますが、この日の李はほぼ満点の出来。半身でボールを受けて裏抜けを狙いながらボールを叩きながら苦手の1トップをそれなりにこなし、シャドーに下がっては変に我を出すことなく好位置にいる味方を使って2アシスト。後ろからガツンと当たられると簡単にボールを失いがちな上に、長くキープはできないので1トップとしてズラタンを超えるほどではないと思いますが。

・加賀は早々の大量リードに助けられて攻撃への関与をさほど要求されなかったこともあって無難な出来。ただ残念ながら90分持たず。またクロス以前にトラップがイマイチでフィードを受けても一発で前を向けないようで、控えメンバーとして岡本を抜けないのも判るような。

・加賀が故障してもCBの控えがおらず、突然出番が回ってきた梅崎。最初はシャドー、そして関根が足を攣って動けなくなってから右WBに回るというスクランブルにも程がある起用でしたが、最後の最後でご褒美ともいえるゴール。今シーズン終盤になってズラタンが活躍しだして梅崎はベンチスタートが多くなり、しかも調子も下降気味でしたが、IH&SHと潰しが効く梅崎の復調はCSに向けて好材料。

・代表組では西川が良くありませんでした。最終ライン裏へ抜け出したボールに飛び出してはみたもののクリアできずに渡邉を倒してイエローをもらい(一発レッドでも不思議はなかったかと)、またフィードが直接相手に渡ってしまうこともありました。もちろん1点ものを防いだ好セーブもありましたが、代表レギュラーになって疲労が溜まり勝ちの西川を「出れる試合は全部使う」というのもさすがにきつくなったみたいで、来年は大谷の奮起が望まれます。

・逆に柏木は代表での活躍で自信をつけて帰ってきたみたいで、神戸の中盤のあんまりな出来にも助けられて終始いきいき。もともとメンタルの浮き沈みが激しい選手なので、自信をつけたことによるプラスが遠征疲れのマイナスを大きく上回ったのでしょう。

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-----渡邉-----
---森岡--石津---
安田-チョンウヨン-田中-藤谷
-高橋祥-北本--岩波-
-----徳重-----

得点:26分 石津、65分 森岡

15分 北本→前田(チョンウヨンがCB中央へ下がる)
59分 藤谷→奥井
63分 安田→相馬

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