鈴木啓太選手、今シーズン限りで退団
・鈴木啓太選手が今シーズン限りで浦和を去ることが公式発表されました(退団自体は既に選手本人が先月中にブログで明言)。
・啓太は昨年終盤に不整脈を患っていることが判明して戦列を離れ、今年はトレーニングを重ねてはいましたが出場機会はほとんどありませんでした。退団のやむなきに至った経緯が経緯なのでなんともやるせなく、啓太本人にとって、そしてクラブにとっても苦渋の決断だっただろうと推察します。
・啓太は浦和J2時代(2000年)に加入。高卒選手にしては異例なことに2001年後半から早々とレギュラー入りし、その後もほぼ一貫して2ボランチの一角で浦和の主力中の主力として大活躍。2006年、2007と2年連続でJリーグベストイレブンに選出され、また2009年から2011年にかけてチームキャプテンを任されるなど、名実ともに浦和に欠かせない存在でした。
・もっともその道のりは決して平坦ではありませんでした。アテネ五輪では最終予選のキャプテンを務めながらなぜか本大会メンバーに選出されないという不可解極まりない仕打ちを受け、オシム監督時代にはA代表で高評価を受けたもののクラブと代表で酷使された挙句、著しくコンディションを崩してしまうこともありました。
・プレースタイルは典型的な汗かき役で、主力中の主力と言っても役どころはかなり地味。ひたすら動き回って相手の攻撃の芽を未然に摘み、やたら攻撃参加したがるCBに代わってその穴を埋めるという派手ではないがチームに欠かせない存在でした。
・静岡出身にしては足元が上手いとは言い難く、それゆえかパスサッカーを志向するフィンケ時代にはベンチを温める試合が増えましたが、ミシャ時代になって長短ともパス精度が著しく向上。選手生活も晩年にさしかかったところでまさかの(!)進境を見せて、攻撃時の4-1-5の「1」がこなせる貴重な選手にまで成長しました。2014年の大失速は興梠の負傷欠場もさることはながら啓太の戦線離脱も響いたと思います。
・ポジション的にもプレースタイル的にも得点はほとんど期待できず、撃てば大抵宇宙開発事業団。それでもひょっこり年に1点取ることでも有名。直近では突如ドルブル突進を始めた啓太を避けるように広島DF陣が動いてしまう「モーゼの海割れ」で得点を挙げた場面が強く印象に残っています。
・退団に至った経緯ゆえか、他クラブへ移籍するのか、あるいはそのまま引退してしまうのか現時点では判然としませんが、いずれにせよ本人の決断を尊重したいと思います。16年もの長きに渡って浦和のために全身全霊を尽くされ、まことにありがとうございました。
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