【TV短感】リオ五輪アジア最終予選第3節:日本女子 1-2 中国
・豪州に敗れ、韓国にも引き分けてしまいましたが、第3節中国戦に勝てばまだまだ予選突破の目が残っていたはずの日本。しかし、崖っぷちに追い込まれたのがメンタル的に相当重圧になったのか、随所でパスミス・連携ミスを繰り返しての敗戦。過去何度も土俵際にまで追い込まれながらもかろうじて勝ち点を拾い、さらには勝利に結びつけてきたなでしこジャパンの粘りはいつの間にやら雲散霧消。
・アジア各国のレベルが上がり、かつ日本をよく研究している一方、面子に代わり映えがない日本が停滞しているのは事実ですが、それ以上に日本の自爆で負けたような試合だと思います。
・まるで新チーム立ち上げ時みたいなパスミスのオンパレード。横山以外は毎度お馴染みの面子でやっているにも関わらず、これだけミスを繰り返すというのはメンタル的に相当やられていたと判断せざるを得ません。初戦豪州に文字通りの完敗を喫し、その後気持ちを切り替える暇もなく中1日で続々試合がやってくる。おまけに精神的支柱となるべき宮間自体が絶不調。他のベテラン勢も揃いも揃って良いところがなく、チームを立て直しきっかけを掴めないまま中国戦を迎えたのでしょう。
・14分の失点はばらばらになった日本を象徴するもの。川村のなんとも中途半端すぎるバックパスに始まり、CB熊谷&田中、そしてGK福元の間での意思疎通不十分な中でボールを掻っ攫われての失点。
・前半半ばから後半一杯、日本は反撃に転じましたが、どういうわけか中国の高い最終ラインを手数をかけずに縦に早く攻めるケースが目立ちました。それ自体は悪くはないのですが、ただでさえ気持ち的に慌てまくっているのに縦に早い攻めに逸って慌てぶりを自ら加速させているようにしか見えませんでした。時間はいくらでもあったので、いったんボールを落ち着かせ、緩急をつけながら攻め直す余裕があって然るべきなのですが。
・致命傷となった2失点目はバイタルエリアの緩さというか、寄せの甘さというか、豪州戦でも垣間見られた問題がここでも露呈。人数はいるのに誰も何の役にも立っていないという、どこかで再三見た光景。
・横山の得点は個人技によるもの。一瞬で相手を置き去りにした横山のキレは大いに称賛に値しますが、中国のDFが2点差リードを考えて簡単にクリアすれば何の問題もないのに余裕ぶっこいて前に出ようとしてエリア内でボールを奪われるという、どう見ても懲罰もののミスに横山が上手く乗じたような。横山はこの得点よりも前半の好機でシュートに持ち込めないところに物足りなさを感じました。それでも日本の各選手の中でかなりマシなほうですが。
・宮間や岩渕のミドルシュート、そしてセットプレーでいくつか惜しい場面がありましたが、いずれも中国GKに阻まれて結局1点止まり。終盤はアタッカー祭りと化した上にまたしても阪口を前に上げてパワープレー紛いの反撃を試みましたが、何の効果もなく試合終了。
・結果論なのかもしれませんが、カナダW杯準優勝を花道に佐々木監督を勇退させ、新監督のもとで世代交代を図るべきだったのでしょう。ところが「マンネリジャパン」「出涸らしジャパン」で臨んで予選突破がほぼ絶望的となり、かつ新世代に残すものがほとんどないという最悪の結果に。
・ただ難儀なのは「ヤンなで」の育成にものの見事に失敗して、今のベテラン勢を上回るだけの選手がほとんど見当たらないこと。新世代の選手を頭数だけは多く抱える浦女の低迷を見れば、世代交代が相当の茨の道であるのは明々白々。幸か不幸か東京五輪は予選免除なので、2019年フランスW杯が新生なでしこの試金石になりますが、その過程でいったん地獄を見るんでしょうなぁ。
---横山-大儀見---
宮間--------中島
---川村--阪口---
鮫島-熊谷--田中-近賀
-----福元-----
得点:(日)65分 横山、(中)14分 張 睿、58分 古 雅沙
HT:川村→岩渕(宮間がボランチ、横山が左SHに下がる)
68分:中島→川澄
87分:鮫島→高瀬(川澄が左SBへ)
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