« 悠@神田 | トップページ | 鶴一家@横浜 »

2016.03.07

【観戦記】16年1st第2節:浦和 1-2 磐田

・自爆で試合をわざわざ難しくて、そのまま守り倒されての敗戦。選手起用、選手交代も謎だらけな上に各選手の出来もズタボロで、何一つ良いことがなかったホーム開幕戦でした。

・相手がある勝負事なので、アダイウトンやジェイの上手さなり強さなりにやられて負けたとか、チームとして相手のほうが一枚上だったとか、そういう負けは致し方ない。勝負事を観るものとして甘受せざるを得ないと思います。ただ、この試合みたいな自爆としか言いようがない負け、相手を甘くみていたとしか言いようがない負けは実に腹立たしい。本当に堪える。

・昨年は勝ち点でわずかに広島に及ばず、勝負強さではわずかにG大阪に及ばなかったけれども、年間を通じて決して悪い出来だったわけではなかった。よって今年はそのわずかな差をどう埋めてゆくかが注目ポイントだったはず。ミシャはその差を埋めるべく悪戦苦闘しているんだろうけれども、残念ながら現状は角を矯めて牛を殺す結果に。

・具体的には森脇の左CB起用は大失敗でした。柏戦の観戦記で「現状は槙野リベロ自体はありだが、代わりの左CBに適任がいない現状では弊害のほうが大きい」と記しましたが、この試合はその弊害がモロに出て敗戦に直結。森脇を慣れない左CBで起用した結果、左サイド攻撃が沈黙しただけでなく、太田に絡まれて緩いバックパスを選択して西川の大チョンボを誘発する結果に。そしてミシャも非を認めるかのように前半だけで森脇左CBを断念。

・長い目で見れば昨年の「シャドーの順列・組み合わせ問題」がシャドー限定ながら選手層の厚みを増したのに繋がったのと同様、今年もミシャの試行錯誤も戦術の柔軟性向上という成果に繋がるのかもしれません。ただ昨年は「シャドーの順列・組み合わせ問題」でACL早期敗退という大犠牲を払ったのと同様、今年は序盤相当勝ち点を落とす気がしてなりません。

・シドニー戦、柏戦とも結果はなんとかもぎ取れましたが、内容は決して良くなかった。浦項戦は後半立て直して希望が持てる内容だったけれども、結局前半の自爆が仇になって敗戦。そしてとうとう磐田戦では自爆に次ぐ自爆で敗戦と起こるべくして起こったこの流れ。久しぶりに平日の試合がないのでチームを立て直す暇が出来たと思いきや、不要不急の代表合宿に6人もぶっこ抜かれて立て直しもままならず。実に辛い巡りあわせです。

01

・正直J2時代守備が堅いとは言い難かった磐田が、浦和対策を講じてこうも完璧に現実的な試合運びに徹してくるとは想像しませんでした。この点は私も見通しが甘かったと思います。初戦の名古屋戦ではJ2時代とさほど変わりないアダイウトンを軸とする攻撃を仕掛けまくって序盤は良かったけれども、先制された後は手も足も出ず。そこで名古屋よりはるかに手強い浦和相手にはやり口を一変してかなり守備的にシフト。

・具体的には磐田は高い位置に4-4-2守備ブロックを形成。積極的にショートカウンターを狙うほど浦和最終ラインなりGKへプレッシャーは厳しくかけないけれども、浦和のビルドアップを阻害する程度にはしっかりかけてくる。自陣深くボールを運ばれても守備ブロックを崩さず、特に慌てて飛び込んで交わされる愚を犯さないように粘り強く対応。ずっとそんな感じで浦和の大チョンボをひたすら待って、それが見事に奏功。

・そんな磐田に対して浦和はこの日も縦パスが思うように入れられず。柏木は柏戦より動けるようになっただけマシですが、終始後ろで無難な球捌きに徹していて前に出て来たのは自らの得点場面だけといっていいくらい。また急所を突いたパスが出たのも前半唯一の絶好機(柏木→関根→興梠のシュートはカミンスキーに阻まれる)だけ。CKを結構もらいましたが、カミンスキーにキャッチされるケースが非常に多く、全くチャンスにすらなりませんでした。

・柏木の出来がイマイチなのに加え、この日は2シャドーとも謎の迷走を繰り返して中央をこじ開けるのを自ら難しくしていた感も。武藤が引き気味に構えるのはよくあることで前に5人惑星直列化するよりよほどマシだとは思いますが、この日はなぜか興梠まで下がってくる始末で、当然ながらズラタンが最前線で孤立。縦ポンでズラタンが最終ラインの裏抜けに成功しかかる場面もありましたが、磐田CBがかろうじて阻止。

・浦和は縦パスが思うように入れられないので、磐田の守備ブロックを飛び越して斜めのロングフィード、特に高い位置にいる関根を多用して打開を図ろうとするものの、関根が1対1で競り勝てず、おまけにクロス精度が劣悪で、先の絶好機を一回演出したのみ。それでも関根を軸に右サイドは攻撃の形が出来ているだけマシ。左サイドは前半終始沈黙。

03

・くだらないミスの連続で先制された後、磐田はやや最終ラインを下げて一層守備的に。浦和は後半頭から森脇左、遠藤中央、槙野右と並びを変えたのが奏功して左右の攻撃のバランスがかなり良くなり、ズラタン・興梠・槙野とチャンスの数も増えてきましたが、シュートはいずれも枠外。

・落城の気配が漂ってきたところで名波は満を持してジェイを投入。遠藤では高さに不安があるのでミシャは永田を投入し、その策自体は間違っていなかったと思いますが、下げたのがなんと関根。関根は好調とは言い難かったものの、前目の選手の中ではマシなほうだったのも事実で、よりによってそこを代えるか??? そして遠藤が右CBに戻り、森脇が右WBへ。机上論としてはありうる配置ですが、どうしてそこまで森脇に拘るのか?

・さらにミシャは良いところがなかった武藤に代えて石原を投入。するといきなり柏木→石原→ズラタン→柏木とテンポ良くボールが繋がり、柏木がボールを難しい体勢からねじ込んでなんとか同点。

・しかし名波も松浦を入れてすかさず反撃。セットプレーの流れから松浦→小林→ジェイと繋がっていとも簡単に追加点。後方から小林にフリーで飛び込まれた上に、応対した柏木の対応も軽ければ、ジェイをマークしていた槙野は完全に前に入られていて何の役にも立っていないなど、浦和がセットプレーでやられる要素がてんこ盛りの情けない失点でした。

・ATを含めて10分以上時間は残っていて十分反撃可能だったのに、なぜかミシャは不動の構え。それまでの流れが悪くなく「代えないほうがマシだった」というのもよくあることなので、何が何でも交代枠は3枚使い切れとは言いませんが、この試合は合格点を上げられる選手なんてほとんどいないのに3枚目のカードを切らなかったのは甚だ疑問。せめて宇賀神→梅崎or駒井はあって然るべきではないかと。

・浦項戦では3人もイエローをもらっている(しかも3人とも後ろ目!)のに後半半ばを待たずして3枚替えを敢行するかと思えば、磐田戦では敗色濃厚な中で交代枠を余らせる摩訶不思議。ミシャの選手交代が上手くないのには過去4年でもう慣れっこになったつもりでしたが、またしてもそれを再確認させられるとは・・・

00

-----ズラタン-----
--武藤----興梠--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-森脇--槙野--遠藤-
-----西川-----

得点:78分 柏木

70分 関根→永田
77分 武藤→石原

・スタメンはほぼ柏戦と同様で、李に代えてズラタンをスタメン起用しただけ。浦項戦では柏木・武藤・李・関根・宇賀神は帯同すらせず、阿部・遠藤は出場しませんでしたから、予定のローテーション通りなのでしょう。

・しかし、非常に不思議なことに非帯同組が揃いも揃って不出来に終わった一方、前目では唯一浦項戦から連闘となったズラタンの出来が比較的マシでした。ローテーションの計画を立てるところまでは良いが、計画通りの実行に固執して選手の調子の良し悪しに応じた調整までには気を配れないといった感じ。チーム作りは得意だが、戦局に応じた策は下手というミシャの特性がローテーションにも表れているような。

・またミシャは相手の出方に応じて選手の並び、ないし役割を変えるという「戦術変更」もあまり上手くありません。現在最終ラインで試行錯誤中なのもその戦術変更の一つと目されますが・・・そしてローテーションがあまり上手くないのに、戦術変更まで同時にやろうとすればどこかで無理が生じて自爆するのも道理といえば道理。

・この日はジェイを潰そうとして槙野をリベロに据えたのでしょうが、ジェイがメンチスタートを判った時点で遠藤をリベロに回す布陣に変更できたはず。なぜ後半になるまで槙野リベロに拘ったのか非常に不可解。また永田がお疲れで使えないならともかく、使えるなら最初から永田リベロでも良かったはず。

・そして加入して間もないのにミシャの試行錯誤に付き合わされる遠藤は実に気の毒。頑張ってはいますが、この日は致命的なボールロストで死にかかりました。西川の大チョンボに至っては論外。槙野共々代表で酷使される選手をどう休ませるかも課題になるかと思いますが、ミシャに多くを期待するにももはや虚しいかと。

02

-----齊藤-----
アダイウトン--小林---太田
---宮崎--上田---
中村-森下--大井-櫻内
-----カミンスキー----

得点:30分 太田、82分 ジェイ

69分 アダイウトン →ジェイ(齊藤が左SHへ)
81分 齊藤→松浦
90+3分 小林→山本康

・ジェイはコンディションが万全でなく、後半半ばからの出場。限られた時間ながら槙野を抑え込んで、不格好ながらもいきなりゴール。またハイボールで永田に競り勝ってこぼれ玉を拾わせてカウンターを仕掛ける場面があり、ジェイのコンディションが整ったら空恐ろしいことになるかもしれんと思いました。磐田との次回対戦はかなり先なので、その時までどう化けているかなぁ(Jリーグにいなかったりして(苦笑))。

・で、そのジェイが出てくるまでなんとかスコアレスで耐えるというのが名波の作戦。浦和の自爆でリードした状態でジェイを投入できたのだから、名波的には万々歳。

・ただ悪く言えば磐田は守備は完璧だったけれども攻撃は全くといいていいほど何もできず、頼みのアダイウトンすらずっと守備に追われっぱなし。だから浦和は自爆さえしなければ負ける相手ではなかったと思うのですが、そこで自爆するのが浦和。そして上手く自爆するように森脇に太田をけしかけた磐田が良かったといえばそれまでですが。

|

« 悠@神田 | トップページ | 鶴一家@横浜 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【観戦記】16年1st第2節:浦和 1-2 磐田:

« 悠@神田 | トップページ | 鶴一家@横浜 »