【TV観戦記】16年ACL H組第5節:シドニー 0-0 浦和
・浦和は超長距離移動を伴う中3日。しかも強風で飛行機が大幅に遅れ、着いたら着いたでピッチは凸凹だらけでおよそパスサッカーには不向き。一方シドニーは国内リーグが終了して休養十分とコンディション面で大差があり、どう見ても勝ち点1が取れれば御の字といった情勢。
・また前日浦項が広州恒大に敗れたため、浦和はこの試合ドロー以上でグループリーグ突破が確定することが判っており、そういう意味からも勝ち点1奪取が必要にして十分な一戦でした。
・ただ「勝ち点1で十分な試合なのに勝ち点ゼロで終わる」浦和の悲しい歴史を見続けてきただけに、この試合も試合終了の笛が鳴るまで気が気でなりませんでしたが、浦和は見事に勝ち点1を獲得。「勝ち点1で良い試合で勝ち点1を取る」とは全く浦和らしくない(苦笑)。しかも凸凹ボコボコのピッチにも関わらず、いつも通りのスタイルで攻めに出て、シドニーに何度か冷や汗をかかせながらの堂々のドローゲーム。
・共に無理をする必要がない状況ということもあってか見所の少ない、当事者以外には退屈な内容だったかもしれませんが、煮え湯を飲まされ続けてきた浦和の歴史を振り返れば派手なゲームで勝ち点ゼロで終わるよりは地味だろうがなんだろうが勝ち点1をもぎ取ったほうがはるかにマシ。広州恒大戦に続き、アウェーで勝ち点1を確保するという苦手なタスクを完遂できて、浦和もちょっとずつ強くなっていることを実感した試合でした。
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・シドニーは前回対戦時は5-4-1で高めの位置に守備ブロックを形成していましたが、今回は一転して普段通りの4-4-2でリトリートして対峙。国内リーグも終わってアーノルド監督には浦和を研究する時間がたっぷりあったはずですが、柏木をフリーにさせすぎるなどどこからどう見ても浦和対策にも何にもなっておらず、浦和は序盤から縦パス入れ放題&両WBを使い放題。
・最大限にアーノルドの策をひいき目に見れば、浦和にサイドを多少やられても最終的には中央を固めて弾き返せば良いと割り切られていたのかもしれません。実際浦和は序盤両WBを軸に良い形を何度も作るものの柏木→関根→李で決定機を作った(シュートはなんと枠外)のと、シドニーDFのクリアミスを拾ったズラタン→李が惜しかったくらい(これも枠外)。梅崎からも2本良いクロスが入りましたが、武藤にもズタランにもわずかに合わず。
・シドニーは長身FWを2人並べて放り込みに徹してくるかと思いましたが、最終ラインからアバウトに放り込んでくるケースはあまりなく、むしろきっちり中盤で繋いできました。これは浦和にとっては大助かりで、長旅&中3日の割には浦和の動きは悪くなく、前半は素早い切り替え&高い位置でのプレッシャーもそこそこ効いていて、シドニーが繋いでくる分には全く怖くありませんでした。
・ただ難儀だったのがこの日の主審がいとも簡単にファウルを取ること。シドニーとの体格差は如何ともしようがなく、自陣でのファウルは深い位置でなくてもセットプレーで命取りになりかねません。後半は押し込まれる時間帯が増え、CKも何本も取られてヒヤヒヤさせられましたが、浦和は意外にも(!)セカンドボールへの反応が良くてなんだかんだとシドニーに決定機を与えず。ヤバイところには必ずといって良いほど遠藤の姿が!
・終わってみれば前半に一度自陣深い位置からのスローインからエリア内でのシュートに持ち込まれたのがこの試合唯一かつ最大のピンチ。それ以外は攻めきれずに縦パス一本で浦和左サイドからカウンターを喰らった場面があったくらい。
・後半の浦和は疲れが出て来たのか満足にビルドアップできなくなり、サイドに展開してもクロスの精度が劣悪で簡単に跳ね返されたり、両サイドから誰にも合わないクロスを放り込みあう「白ヤギさん、黒ヤギさん」状態になったり。おまけにズラタンが競り合いの中で負傷退場する不運も。
・もっともミシャはズラタンの負傷がなくても途中から興梠を入れて無理をしない範囲で勝ち点3を狙いに行く算段だったのでしょうし、実際その策が当たって西川→梅崎→柏木→興梠の絶好機を生み出しましたが、興梠がコースを狙いすぎてGKビッグセーブ。
・3人交代してから梅崎が足を攣るアクシデントがあってATはヒヤヒヤしましたが、下手に前に出てカウンターを喰らうのを恐れてかシドニーもほとんど攻めて来なくなり、浦和も浦和で後方でボールを回し、最前線でボールをキープしと双方談合臭い格好で何の波乱もなくスコアレスドロー。アーノルドはまたしても浦和に勝てず(苦笑)
-----ズラタン-----
--武藤----李---
梅崎-阿部--柏木-関根
-槙野--遠藤--那須-
-----西川-----
58分 ズラタン→興梠
70分 武藤→青木(柏木がシャドーへ)
83分 関根→駒井
・出場停止の森脇に代わって右CBに入ったのは那須。遠藤を右に出して那須が中央に入るのを予想しましたが、リベロとしての遠藤の出来が秀逸な上に2カ所も最終ラインを2カ所もいじるのを避けたのかも。
・那須に森脇ばりの攻撃参加を求めるのは無理があり、そのため関根は後方支援が乏しいまま単騎での仕掛けを強いられ続けましたが、この試合はCBを盛んに前に出してまで攻める必要がなかったのが那須には幸い。前半の大ピンチでの対応はいささか緩いと思いましたが、試合に出てない選手にありがちな凡ミスはなく、しかも90分間ちゃんと稼働。この出来なら遠藤不在時にリベロでの出番が巡ってくるでしょう。
・疲労困憊の関根に代わって駒井。駒井が消耗の激しいWBの交代要員として目処が立ってきたのも慶事。ただ投入直後に単騎でドリブルで2人相手に突っかけてボールを失ったのは全くいただけない。仙台戦は2点リードだったので得意技を試しても何の問題もありませんでしたが、この日はそのボールロストが致命傷になりかねません。もっともその後は我に返ったように守備に専念。
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