【TV観戦記】16年1st第8節:川崎 0-1 浦和
・浦和はシドニーからの遠征帰りかつ中3日。一方川崎は事実上丸1週間空いていてコンディション面で圧倒的に有利。ただでさえ苦手なアウェー川崎戦なだけにこの試合は勝ち点1でも御の字と思いながら見ていましたが、終わってみれば勝ち点1どころか内容的にスコア以上の完勝で勝ち点3をゲット。
・残念ながらこの日は興梠の日ではなさすぎて、一発のある相手に最後の最後まで気が抜けない試合になってしまいましたが、川崎の決定機は結局前半の田坂だけ。今年の浦和の守備の強さが光った試合といってもいいでしょう。無論それは最終ラインや西川だけが奮闘しているからではなく、前線の選手も一切手を抜かずに相手のキーマン(この試合では中村)にプレッシャーをかけ続けているからこそ。川崎のシュートは6本止まりで枠内ゼロ、CKにいたっては1本しか取れず。
・ミシャの浦和が守備の強さで評価される日がやってくるなんて昨年までなら考えられなかった異常事態ですが(苦笑)、やはりワールドクラスの攻撃陣を有する広州恒大をホームで完封したのが大きな自信になり、数段レベルアップしたような気がします。あれに比べれば強打の川崎なんてたいしたことはないと。もっともあれだけ強い相手を完封しながら、ほとんど攻め手のない仙台にぽこっと点を取られるのは何なんだ?というのもまた事実ですが。
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・川崎はいつもの浦和戦仕様の3-4-3ではなく、今年の定番4-4-2で浦和に対峙。前半の浦和は川崎をほぼ一方的に押し込んでいたもののこれといった決定機は作れず、流れの中からは興梠のミドルシュートがポストを叩き、詰めた李のシュートも枠外だったのが惜しかっただけ。川崎は「前半は浦和にボールを持たせてカウンター狙い。後半浦和がへばってきたところで一気に勝負」というゲームプランなのだろう、それゆえ川崎ペースと試合中は思い込んでいたのですが、試合後の風間監督のコメントを見ると浦和にボールを持たれてしまうのは本意ではなかった様子。
・疲労困憊なはずの浦和の動きは意外にも悪くはなく、川崎が特段浦和のビルドアップを制約してこないこともあって縦パスも入るし、川崎の両サイドは常に空いているのでWBへの展開も容易。ただ川崎はしっかりとエリア内を固めていて中央突破は難しく、サイドからクロスを入れても簡単に弾き返されて何も起こりませんでした。風間監督の本意ではないにせよ、引いた川崎には昨年までのザルの面影は一切なし。
・ただ攻め切れない浦和も高い位置からのボール奪回はそれなりに出来ていて川崎のカウンターを許さず。前述の興梠ミドルシュートがポストを叩いた場面もハーフライン付近で三人がかりでボールを奪い取ったところから。
・とはいえ、時間の経過とともに浦和の出足は徐々に遅れ始めて川崎のボール回しに付いてゆけなくなり、ついに40分に右サイドが決壊して登里→小林→田坂の大ピンチ。槙野は田坂を見失ってしまいましたが、田坂のシュートは枠を捉えられずに命拾い。
・そこで風間監督は後半頭から田坂→車屋で3-4-3に変更して川崎左サイドから大攻勢。疲労の色が濃い関根は後半早々にイエローをもらい、浦和は前半とは一転して後半立ち上がりは防戦一方に追い込まれましたが、そこからが実に粘り強かった。
・無論浦和は守っているだけではなく、自陣深い位置で耐えながらカウンター狙い。しかし後半も興梠のシュートが決まらない。48分ロングカウンターの絶好機ではフェイントで奈良を転ばせておきながらシュートはGKに弾かれ、続くCKではこぼれ玉をどフリーで受けたにも関わらずシュートはバーをヒット。
・しかし攻め切れない川崎を浦和がカウンターで脅かす流れは変わらず、ついに54分森脇→李→武藤と綺麗に川崎の中央を破って先制ゴール。李のフリックを武藤がフリーで拾うというミシャっぽいゴールですが、縦パスの受け手が興梠ではなく李というのがミソ。昨年までの浦和なら興梠への縦パスが封じられれば半ば以上攻撃はアウトでしたが、李がしょっちゅう興梠とポジションを変えて縦パスの受け手として機能しだしたので相手は対応が難しい。エドゥアルドが興梠に釣られ、奈良が李に対応する羽目になったので、武藤のマークがぽっかり空いた格好。
・その後へろへろの関根をミシャが長時間放置したのが仇になって、実際関根の裏から危険なクロスを上げられたが誰にも合わなかったり、大久保に折り返されたがそこには誰もいなかったりとヒヤヒヤの場面がちらほら。しかし、チャンスで川崎が無駄にひと手間かけてしまうのにも助けられて、浦和の最終ラインが間一髪でシュートブロックする場面が頻発し、なんだかんだと川崎に決定機を与えず。
・ミシャは那須や青木を入れて守るどころか梅崎&高木&駒井と縦の推進力がある駒をどんどん入れて前線の運動量を確保。川崎のパスの出どころにプレッシャーをかけ続けると共にカウンターをちらつかせて川崎の消耗を誘ったのが見事に奏功。カウンターで李→関根の惜しい場面も。
・脚が止まった終盤の川崎は手詰まりになり、エドゥアルドを最前線に上げてパワープレー紛いもやりだしましたが、それは自らの持ち味を消すような噴飯物。
-----興梠-----
--武藤-----李--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
得点:54分 武藤
66分 武藤→梅崎
76分 宇賀神→高木(梅崎が左WBへ)
86分 関根→駒井
・浦和はシドニー戦からズラタン→興梠、梅崎→宇賀神、那須→森脇と3名変更して予想通りリーグ戦の定番メニューに。サブに伊藤が入ったのは驚きでしたが、石原が外れたのにはもっとびっくり。梅崎・高木・駒井・伊藤とドリブラーばかり並べてどうする・・・
・武藤が早めに代えられるのももはや定番。ミシャは武藤を早めに下げる代わりに全試合使うつもりなんでしょう。となると、途中投入のシャドーにも割と長い時間出番がやってきます。この日は実績十分の梅崎に加え、高木も奮戦。それだけに石原が明らかに出遅れているのが気がかり。
・それにしてもミシャがへろへろの関根を86分まで引っ張ったのには心底驚きました。高木を入れた時に代えるのはてっきり関根(梅崎が右WBに回る)と思ったのですが、代えたのはシドニー遠征を回避した宇賀神。同点に追いつかれたらミシャの選手交代の拙さがやり玉に挙げられていたと思いますが、そこは勝てば官軍。
・出場停止でシドニー戦はお休みの森脇はこの試合傷む場面が目立ちましたが、チームメイトは傷む森脇を終始放置。もはや倒れている森脇は倒れているペットボトルと同じ扱い。森脇が奈良と交錯して共に傷んだ場面なんて、森脇の様子を見ているのは川崎の選手だけ(苦笑)。
・逆に遠藤がエウシーニョのひじ打ちを喰らって傷んだ場面では、遠藤を気遣うチームメイトの出足の早いこと!!!
--大久保--小林---
登里--------田坂
---中村--大島---
谷口-エドゥ--奈良-エウシ-
-----ソンリョン-----
HT 田坂→車屋(3バックに変更し、車屋が左WB、エウシーニョが右WB)
68分 登里→森谷
86分 奈良→中野(負傷交代)
・川崎は前節FC東京戦から車屋→谷口、原川→大島、森谷→登里と3名入れ替え。
・前節FC東京戦の終わりごろに負傷した大久保は何事もなかったかのようにスタメン出場しましたが、この日は全くいいところなし。微妙に怪我の影響があるような気がしてならなかったのですが。
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