【観戦記】16年1st第12節:浦和 0-0 新潟
・見所に乏しい、いや新潟のほうはそれなりに見所があったから「塩試合」というのは当たらないと思いますが、浦和は良いところなしで終わった残念極まりない試合でした。
・大宮戦前半の出来も低調でしたが、大宮のほんのわずかな隙を突いて先制したことで一気に戦局は好転。ところがこの試合はところどころ垣間見られた新潟の隙を突けず、それどころか浦和が致命傷になりかねないミスを連発。戦局を好転できないどころか何度もカウンターを浴びて無駄に体力を消耗し、最後は最終ラインに人垣を作って失点を防ぐのが精一杯。
・興梠のPKが決まっていれば別の試合展開になっただろうな、という思いも正直ありますが、内容はとても勝てた試合とは言えないどころか負けなくてよかった試合でしょう。新潟は埼玉スタジアムでの戦績が非常に悪いためか、試合終了後の新潟サポはお祭り騒ぎになっていましたが、この試合を勝てないからこの順位にいるのであって、そんなに喜んでいいものかどうか。
・試合内容が低調だったのもさることながら、気になるのは大宮戦・新潟戦と試合間隔が空いたことでレギュラー陣のパフォーマンスが却って落ちてしまったように見えること。体も頭も疲れているみたいで、遠藤や阿部が信じ難いボールロストを犯すとか、柏木が長考に沈んだ挙句後ろからボールを突かれるとか、強い相手なら間違いなく失点していたであろうミスが多々ありました。
・FCソウルとの決戦に合わせてコンディション調整しているのかもしれませんが、試合内容から見れば浦和の状態は川崎戦がピークでそこから完全に下り坂。FCソウルとの第1戦まで中3日で立て直しが効くものかどうか。
・吉田監督の浦和対策はかなりユニーク。基本4-4-2ですが、守備時には5-3-2、ないし平松も下がって5-4-1へシフト。ユニークなのは5バックに変わる際にボランチが1枚下がる(=吉田監督が柏でやった型)のではなく、必ず右SH小泉が下がること。
・4バックがボールサイドへスライドして、空いた逆サイドをSHが下がって埋めて5バックになるというのは時々ありますが、ボールの位置とは無関係に特定のSHが下がるというのはちょっと記憶にありません。しかも普段ボランチの小泉がSHで、普段SHの加藤をボランチに配する奇策付き。
・しかもリトリート主体の守備だったのも予想外。新潟のスタイルならてっきり4-4-2のまま前から遮二無二追ってくると思ったのですが、前からはせいぜい2トップが追ってくるくらいでSHはさほどでもなく。吉田監督から見ればもうちょっと高い位置でボールを奪いたかったのでしょうが、結果的にはズルズル押し込まれてドン引きに。ただ新潟は押し込まれてからが粘り強く、浦和は時間の経過と共にほとんど決定機らしい決定機を掴めなくなってそのまま試合終了。
・吉田監督は柏時代に浦和戦で勝ちこそないものの、すべての試合で善戦していて浦和対策には自信を持っているのでしょう。浦和の選手達のパフォーマンスが良くなかったのもさることながら、吉田監督の策が見事に嵌りました。
・縦パスはそれなりに入るからいつでも崩せるという思いがあったかもしれないけど、そこからシュートに持って行くまでが実に遠かった。パス交換やフリックによる中央突破ではとうとう新潟DFを剥がせず。唯一突破が実ったのがドリブルで割って入った興梠がPK奪取に繋がった場面で、こういう強引な仕掛けが実に少なかったかと。武藤に代えて梅崎をシャドーに入れた時は梅崎のドリブルでの仕掛けに期待したのですが。
・また前半は柏木や李がミドルシュートを放つ場面がありましたが、なぜか後半は沙汰止みに。
・実りそうで実らない中央突破に固執して時間を浪費する愚にミシャも気づいたのか、宇賀神と関根の位置を入れ替えて関根&梅崎の連携による左サイド攻撃に活路を見出した風でしたが、これもものにならず。さらに宇賀神→ズラタンで梅崎を右WBへ、さらに関根→駒井で梅崎を左WBへと目まぐるしく布陣を代えてサイド攻撃を試みたものの、どれもこれも実らず。槙野は後半攻撃参加を自重して、森脇が盛んに上がっていましたが、この日はクロス精度がさっぱり。
・何より腹立たしいのはCKを連続して獲得しながら、どれ一つとして決定機どころかまともなシュートにすら繋がらなかったこと。相手の策が巧妙だとか、浦和のコンディションが良くないとか、様々な理由でボールが上手く回らない、相手を崩しきれない試合はままあるもの。そんな時こそセットプレーに活路を見出すしかないと思うのですが、ミシャが極端なまでにセットプレーを軽視して練習を全然しないのは実に不思議。
・かつては那須や槙野、阿部がボコボコセットプレーで点を取っていた時期もあったので、今年になってほとんど得点どころかチャンスにすらならなくなったのはこれまた不思議ですが。
・およそ点が入りそうな気配がなかった一方、守備はヒヤヒヤもの。前半の新潟は深い位置でボールを奪って、駿足の山崎をアバウトに走らせる単調な攻撃に終始していたのでその山崎への対応さえ誤らなければ問題なかったのですが、この山崎がかなり厄介で前半終了間際には遠藤がまさかのボールロストでヒヤリ。
・後半になると新潟は前への圧力を強めて来て、前半はあまり見られなかった高い位置でのボール奪取&カウンターに転じる場面が頻発。阿部が右サイドで山崎に絡まれてボールを失った場面なんて失点しなかったのが不思議なくらい。ただ悲しいほど新潟には決定力がない。特に山崎はボール奪取で体力を使い果たしてしまうのか、シュート精度が低くて悉く枠外ないし西川の正面。
・普段だと浦和のボール回しに新潟がついて来れずに終盤消耗する展開が期待できるのですが、この試合は逆にカウンターを何度も浴びた浦和の消耗が著しくて新潟の消耗を期待するどころか、押し込まれて最終ラインに人垣を作ってなんとか耐え忍ぶだけに。不出来な試合でも最低限勝ち点1は確保すべく、最後の最後でシュートをブロックし続けたDF陣はよくやったと思います。
-----興梠-----
--武藤-----李--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
58分 武藤→梅崎
70分 宇賀神→ズラタン
83分 関根→駒井
---山崎--平松---
達也--------小泉
---レオシルバ-加藤--
前野-大野-増田-舞行龍
-----守田-----
68分 達也→端山
82分 平松→野津田
84分 山崎→成岡
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