【観戦記】16年ACL H組第6節:浦和 1-1 浦項
・浦和はグループリーグ1位通過の目を残しているとはいえ自力ではなく、あくまでも裏の広州恒大vsシドニーの結果次第。磐田戦に惨敗して以降スタメンはほぼ固定された状態で中3日、中4日での連戦続き。前節名古屋に大勝したとはいえ、疲労から来ると思しきパスミスが散見されましたから、レギュラー組をごっそり外して最終節浦項戦に臨んだのはやむを得ないと思います。
・ただ昨年ナビスコ杯で新潟に大敗したことに象徴されるように、過去こういう極端なターンオーバーは碌なことがありません。連携もへったくれもなくて結果がでない上に、普段試合に出ていない選手の力量の見極めにもたいして役立たず、何の収穫もないまま試合を終える場合がほとんど。そしてこの試合もその例に漏れなかったといって差し支えないでしょう。
・こういう極端なターンオーバーではなく、相手との力関係や試合の重要度に応じて普段からちびちび計画的に選手を入れ替えるのが選手層に厚みを加え、主力の疲労を軽減する上で本来あるべき姿。これは長谷川監督が得意とするところで、過酷な連戦にも関わらずそれほどチーム力が落ちない主因と目されます。ただその副作用として連携不足でシーズン序盤は結果が出ないことが少なくありません。
・早めにスタメンを固定してしまうミシャはその真逆で、シーズン序盤は好調だが使い物になる選手層の薄さが仇となって終盤息切れ。この試合を見ると、今年もまたその轍を踏んでしまう恐れが払拭できませんでした。
・謎のPKを喰らったことと、試合終了後浦項の選手がピッチにゴミをまき散らす愚行を犯したのを機に両チームもみ合いに発展したこともあって後味は極めて悪いものになってしまいましたが、「謎のPKがなかったら勝てた」といえるような試合内容ではなく、むしろ負けなくてよかったといって差し支えないくらい。
・浦和の決定機は前半の高木→ズタランと、後半のズラタン→石原くらい。浦項も前半終了間際に1回、後半も立ち上がりと終盤に1回ずつビッグチャンス。どちらかといえば浦項のほうがより決定的で、西川の好セーブでなんとかドローで凌いだといった感。よってこの試合を最大限良く評価すれば、過去碌なことがない「ほぼ総とっかえ」でドローなら上出来といったところでしょう。
・浦項は5-4-1でリトリート主体という標準的な浦和対策を採用。レギュラー陣ならこういうクラシカルな対策を苦も無く打破できるレベルに達していますが、レギュラー陣をごっそり欠いた面子ではどうにもなりません。細かいパス交換での中央突破も、シャドー&WB&CBの連携によるサイド攻撃もままならず、決定機どころかシュートすら撃てず。
・それでも浦項が柏木をほぼフリーにしてくれた前半はまだマシ。後半浦項は前への圧力を強めて柏木を監視しだした上に、強風の風上に回ってワイドに展開するパスが流れがちになって攻撃の形が作れず、おまけに終盤梅崎がワロスを連発して攻撃の終点になってしまう始末。終始怪しげな主審がなんとか浦項のハンド&PKを取ってくれて、かろうじてドローに持ち込んでそのまま試合終了。
・攻撃面の見どころはほとんどありませんでしたが、素早く攻守を入れ替えて高い位置からボールを奪いに行く守備意識は控え組にも浸透。ただそれを掻い潜られて浦項の縦に速い攻めを喰らうと普段試合に出ていない最終ラインの脆さが垣間見られたのも確か。
・そして結局この試合も「レギュラー組>出場機会が多いベンチ組>出場機会の少ないベンチ組>ベンチに入れない組」というミシャの見立てに寸分の狂いもないのを実証した格好。いや、レギュラーに最も近い梅崎の出来が酷かったのが悪い意味の例外でしたが。
-----ズラタン-----
--高木----石原--
梅崎-青木--柏木-駒井
-橋本--那須--イリッチ-
-----西川-----
得点:65分 ラザル(浦項・PK)、87分 ズラタン(PK)
58分 高木→興梠
58分 那須→永田
58分 イリッチ→森脇
・ミシャの3枚替えは目の前の戦況、あるいは広州vsシドニー戦の状況とは何の関係もない、予定通りのものでしょう。那須→永田なんて何の必然性もありませんし。
・これまで出場どころかベンチにすら入っていなかったイリッチがいきなりスタメンに名を連ねたのが最大の驚き。目一杯サイドに開いて完全にSBっぽい動きを見せていましたが、正直足元不如意でミシャスタイルどころかポゼッション重視のサッカーに合わないのではないかという印象。イリッチに代わって森脇が出てくると森脇がとんでもなく上手いことに嫌でも気づかされます。
・同じくベンチにも入れないよ組の橋本はクロスは上手いけれどもそれ以外は何もなく、消極的なプレーぶりに終始。梅崎との連携は無いに等しく、なぜか終盤左に回ってきた駒井にいたっては橋本と完全に断絶していて橋本が気の毒だったのを割り引いたとしても。
・出場機会の少ないベンチ組でとりわけ印象が良くなかったのが高木。ガツガツ当たられるのがとにかく苦手のようで、ACLには全く向いていません。その点石原のほうがまだマシですが、石原は石原で終盤無用のもめ事を起こして時間を浪費して、これまた印象悪し。またズタランと石原の連携が未成熟な上に、ズラタンとの相性がもともと良くない興梠が入ったことでほとんど「三方一両損」になり、誰一人として活きないのには苦笑せざるを得ませんでした。
・遠藤不在時に期待がかかる那須ですが、数少ないピンチで簡単にぶっこ抜かれて試合勘のなさを露呈(´・ω・`)ショボーン
・よって青木&駒井とベンチ組でもコンスタントに出場機会を得ている選手はなんだかんだといっても相対的にマシ。青木はいきなりスタメンでも差し支えないけれども、駒井は宇賀神&関根との差がかなりでかいかなぁ。盛んにドリブルで仕掛けても、そこから何も起こらんし。
・しょーもない試合だったのでついつい不甲斐ない控え組への文句が多くなってしまいましたが、ただいま絶賛大ブレイク中の李もここまで2年かかったんだし、我慢我慢・・・
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