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2016.05.07

【展望】16年1st第11節大宮戦

・2014年降格からたった1年でJ1に復帰した大宮。忌々しいことにさいたまダービーが復活してしまいました。

・降格&昇格を経てからだと監督が代わり、選手もごっそり入れ替わってしまうチームが少なくありませんが、そこはJリーグ屈指の金満チームゆえか主力逸走は少なく、一昨年前と比べて半分も入れ替わっていない印象。数年前まではギリギリで降格を免れながらもオフに主力がトンズラし、監督も代わるのが恒例行事だったはずですが、変われば変わるものです。

・昨年J2では終盤若干失速して「ぶっちぎり」とまではいかなかったものの、堂々の1位通過。前目にムルジャ&家長と2枚も「J2では反則」級の選手がいるのが効きました。2位通過の磐田も同じく2枚反則級の選手を抱えていますが、順位の差は守備の堅さの差。降格が確実されていた状態でチームを引き継いだ渋谷監督は、それまでトップチームを率いた経験がないにも関わらず大当たりだった模様。

・ぶっちぎりではないが無難にJ2を切り抜けたのが自信となったのか昇格に伴う補強は割と地味で、J1で実績のある選手は岩上(松本)と奥井(神戸)くらい。もっともJ2クラブから新加入のペチュニク(千葉)や江坂(群馬)も元所属チームでは別格でした。一方流出した主力はカルリーニョス(徳島)だけで、加えて片岡・渡邉といったサブクラス。

・補強効果は現状微妙。岩上やペチュニクは当初スタメン出場していたものの、ペチュニクはリーグ戦4試合で見切りをつけられてベンチスタートになり、代わりに江坂がスタメンに入りましたが未だノーゴール。岩上もここ3試合スタメンを外れて、それ以外は故障した右SB渡部の穴を奥井を埋めているのが目立つくらい。

・従ってほぼ昨年のJ2仕様のままJ1に挑んでいる感じで戦力にこれといった上積みがないにも関わらず、目下勝ち点18の暫定5位と予想外の好成績を収めています。これはなんといっても、良く言えば堅実かつ現実的、悪く言えば面白くとも何ともない守備重視の試合運びの賜物。ゲームプラン的には甲府の超強化版みたいなサッカーでちびちび勝ち点を稼いでの存外の好成績。

・横綱相撲には程遠いが実に負けにくいサッカーをやっています。昨年は戦力優位を活かしてポゼッション重視のアグレッシブなサッカーをやっていたはずですが、昇格して芸風一変。これが出来る渋谷監督はやはりハンパないのかも。

・フォーメーションは基本4-4-2ですが家長が常に浮遊しているので2トップというよりは4-4-1-1。また守備は決して甲府みたいに極端なドン引きではなく、むしろ積極的に最終ラインを押し上げようという意図が伺われます。ただ前でボールを奪いきるほどの迫力はなく、結局押し込まれて自陣で4×2の守備ブロックを作って耐えながらカウンターを狙う展開になりがち。

・ただ押し込まれてからが実に粘り強い。両ボランチがバイタルエリアを固め、空中戦に強いCB菊池&河本がボールを跳ね返すまくるのに加え、最後に鉄壁の守護神加藤が控えていることもあってなかなかゴールを割らせません。浦和在籍時の加藤は、歳を重ねてもなぜかメンタルが弱くて慌てがちでしたが、今やそんなそぶりは微塵もなし。

・その一方攻め手は極端に少なく、泉澤が左サイドを突破してムルジャへクロス、あるいはそこらじゅうでウロウロしている家長(J2では相手が家長を掴まえられず、掴まえたところでボールを奪えないので家長無敵!)からムルジャ、ないしサイドに流れたムルジャから家長というのが典型。また長身選手が多いのでセットプレーも割と得意な程度。甲府相手でも鹿島相手でもシュート2本に終わってしまうのが大宮を象徴するスタッツ。

・ビルドアップはJ1チーム相手ではやや拙く、家長のキープ力に頼るところ大。点を取りたいので家長を前に出すとビルドアップが上手く行かず、家長のポジションを下げてきっちり繋ごうとすると点を取るための1ピースが足りないみたいな。

・従ってロースコアの勝利ないし引き分けが非常に多く、暫定5位でも得失点差はわずか1。

・浦和は移動なしの中4日、大宮は福岡から戻っての中3日ですが、前の試合では共に主力をごっそり温存したのでコンディションにさほど差がないでしょう。よって浦和がボールを支配して大宮を押し込む時間帯が長くなるかと。

・大宮は広島戦では普段の4-4-2で臨んで1-5のタコ殴りに遭った模様。今季不振の広島にこの結果なので、渋谷監督が浦和相手に特殊なことをやってくる可能性はありますが、対策の中身は蓋を開けてみないと皆目判りません。大宮が普段の4-4-2であれば、浦和得意のワイドな攻撃で大宮の守備ブロックを広げてその長所(=中央が堅い)を無力化しやすい相手だとは思いますが。

・また不用意すぎるボールロストがなければ流れの中から失点するような相手ではありませんが、浦和のCKのチャンス(苦笑)からカウンターを喰らうのが最もありえそうなケースでしょうか。

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<前節:福岡 1-2 大宮>

---ムルジャ--ペチュニク--
マテウス--------沼田
---横山--大山---
大屋-河本--菊地-和田
-----加藤-----

得点:15分 横山、48分 沼田

65分 ムルジャ→江坂
81分 マテウス→泉澤
84分 大山→山越

※家長が出場停止。さらに前節鹿島戦からスタメン6人(江坂、泉澤、家長、金澤、横谷、奥井)を入れ替え。

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