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2016.06.17

【観戦記】16年1st第10節:G大阪 1-0 浦和 ~ 大胆なターンオーバーも虚しく、カウンターを喰らい続けた実質的惨敗

・まさにドツボ。やることなすことまるでダメ。何をやっても裏目に出る。スコアこそウノゼロで終わりましたが、浦和に得点の気配がほとんどなかった一方、ポストやバーに救われた大ピンチはあり、実質的には惨敗だったといって差し支えないでしょう。

・蒸し暑い中でボールを支配して相手を一方的に敵陣に押し込むもののなんら得点の気配はなく、逆に変に前がかりになったところをカウンターで仕留められてしまう。まるでいつか見た光景、そう「夏のフィンケ」の再来。例年秋に失速しがちなミシャはとうとう夏のフィンケまで発症してしまった模様。

・ミシャは出場停止の森脇に代えて、那須ではなく今季全く試合に出ていない加賀をスタメンに抜擢。これだけでもビッグサプライズなのに、ズラタン・石原・関根・駒井と前節から計5人ものスタメンを入れ替え。そして案の定というかなんというか、チームは組織としての体をなさないまま60分近くを徒過。

・天皇杯やナビスコ杯でミシャがやらかしがちな「全とっかえ」をやらなかっただけミシャも成長した(苦笑)のかもしれませんが、加賀&石原とこれまで出場機会がほとんどなかった選手を2名含めた「半とっかえ」はかなり無理があったと評さざるを得ないでしょう。しかもただでさえ苦手なG大阪相手の半とっかえ。

・ここでこんなことをするならなぜソウル戦から中3日での鳥栖戦で多少なりとも選手を入れ替えなかったのか? さらにいえば一年という長いタイムスパンで闘える選手層を厚くすべく、普段からこまめに1~2名選手を入れ替える計画的なローテーションが出来ないのか? なぜ怪我人が出たわけでもないのにこれまで出場機会がほとんどなかった選手を2名もいっぺんに使う暴挙に出てしまうのか?

012

・G大阪も前節から3名選手を入れ替えていますが、阿部・井手口・金とも過去スタメン経験を十分積んでおり、この試合でもレギュラー陣と比べてなんら遜色ない見事は働き。特に阿部の出来はパーフェクトで、対面の関根は何もできませんでした。長谷川監督は計画的なローテーションが得意で、連戦になるとミシャとの力量差が際立ってしまいます。

・もっとも興梠・武藤とレギュラー陣を投入した後もボールの回りが多少良くなっただけで得点には程遠い状態に変化はありませんでしたから、「半とっかえ」だけに敗因を求めるのは無理があるでしょう。それどころか航が2度も相手に吹き飛ばされて大ピンチを迎えたことに象徴されるようにレギュラー陣の疲労もこれまた深刻。

・秋どころかファーストステージ終了を待たずして「代えるも地獄、代えないのも地獄」という八方塞がりな状況に浦和は追い込まれてしまった挙句の実質的惨敗と捉えるのが正鵠を得ているのかも。そして夏のフィンケ症候群を併発したのはオフが短くて体力強化が思うように進められなかったせいなのか、ACLグループリーグ突破を最優先にコンディション調整を進めてピークが早めに来た結果なのかは判りませんが。

046

-----ズラタン-----
--石原-----李--
関根-阿部--柏木-駒井
-槙野--遠藤--加賀-
-----西川-----

57分 石原→興梠
58分 ズラタン→武藤
71分 加賀→青木(阿部が右CBへ)

・G大阪のフォーメーションは初期配置こそアデミウソン1トップの4-2-3-1ですが、守備時はアデミウソンと遠藤がほぼ横に並んで自陣で4-4-2。自陣にリトリートしているのが基本ですが、折を見て浦和最終ラインに2トップがプレッシャーをかけてくる毎度お馴染みの対浦和戦術。関根が前に出てくると右SH阿部が最終ラインまで下が5-3-2、さらに遠藤も下がって5-4-1といった格好でカウンター狙い。

・早い時間に先制したこともあってG大阪は自陣に全員下がって守備ブロックを作り、浦和はそのブロックの周囲でぐるぐるボールを回しているだけで90分が終わってしまった、いや追加点を取られてもおかしくはない大ピンチは何度もあってウノゼロの敗戦でも御の字だった試合といって差し支えないでしょう。

・ズラタン・李・石原の新ユニットは著しく連動を欠き、時間の経過と共にズラタン&李の連携は多少マシになってきたものの石原はとうとう最後まで噛みあうことなく57分でお役御免。これでは起用されないのも無理はないと思いますが、ミシャが絶不調に陥った武藤を起用しつづけた一方で石原に試運転機会を与えなかった結果こうなってしまった気も。ただ小破していた高木が戻ってきたので、チャンスを生かせなかった石原は今後厳しい道のりを歩むことになるのでしょう。

・パスワークで中央を打開できる気配が全くないので浦和の攻撃はサイドに偏り勝ちですが、関根も駒井もこれまた対面の相手に苦戦して何もできないまま試合終了。個人的には疲労困憊でキレを失って久しい関根にはもとから多くを期待していませんでしたが、駒井が藤春相手に見せ場を作れなかったのは正直ショック。守備が壊滅的だった藤春の成長を刮目すべきなのか、加賀の後方支援を期待できず孤軍奮闘するしかなかった駒井を責めるのがそもそも酷なのか。

・また遠藤にしても阿部にしても関根へワイドに大きく展開するロングフィードの精度が低く、関根に合わずにそのままタッチを割ってしまったり、関根が後ろに逆戻りする羽目になったりする場面が頻発。好調時の浦和はワイドな展開で相手の守備網が薄いところを攻めるのが大得意でしたが、今や見る影もなし。

002

・G大阪は前節湘南戦でミドルシュートを立て続けにぶち込まれて3失点したのが多少なりとも脳裏にあったせいか、浦和には珍しく阿部・槙野と序盤からミドルシュートを連発。ただドツボに嵌ったチームはとにかくやることなすこと裏目に出がちなもので、槙野のシュートが今野を直撃して跳ね返りがいきなり遠藤に渡ってしまう不運からカウンターを浴びていきなり失点。

・ただこれを不運で片づけてしまうのもどうかと。そもそも槙野のシュート自体無謀極まりない上に、前残りしている遠藤への対応が全然出来ていないのが最大の問題。端的に言えば柏木と航の反応が遅くて、いとも簡単に遠藤のパス出しを許してしまいました。またはるか後方から長い距離の走ってきたはずの宇佐美を誰も追走せずに放置。浦和の守備意識はどこへやら。

・好調時の浦和は高い位置で早めに相手の攻撃の芽を潰していたのでカウンターを喰らう場面が少なかったのですが、この試合は高い位置での潰しがほとんど出来ず、何度もカウンターを喰らう羽目になりました。お疲れの選手が多くて反応が鈍くなっているのか、あるいは蒸し暑い時期になってそもそも運動量を要求する積極的な守備が無理になっているのか。いずれにしても、点が取れない上に守備も破綻しているようでは話になりません

・前半40分くらいに丹羽→どフリーで飛び込んできた遠藤のシュートがポストを叩いて命拾いした浦和は後半から後ろに3バックを残して阿部が前に出る形に変更。さらに57分から興梠・武藤を立て続けに投入してボールの回りこそテンポ良くなったものの決定機どころかシュートに持ち込めないのは相変わらずで、関根→柏木のシュートが東口の好守に阻まれたのが惜しかったくらい。武藤→李は枠を捉えられず、ATに掴んだ遠藤→興梠の決定機もこれまた枠外。

・この試合で敢えてよかった探しをすれば、武藤が目に見えて復調したこと。ただ武藤は「一人で出来た!」系のFWではない(今の浦和のFWにはそんな選手は一人もいませんが)ので、武藤だけ復調してもどうにもならないのが辛いところ。

035

----アデミウソン-----
宇佐美--遠藤---阿部
--井手口--今野---
藤春-岩下---金-丹羽
-----東口-----

得点:8分 宇佐美

61分 アデミウソン→パトリック
85分 宇佐美→倉田

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