【展望】16年1st第13節FC東京戦
(FC東京の現状)
・1試合未消化ながら勝ち点20(5勝5分け5敗)の暫定11位。スタッツを見ると典型的な「堅守貧攻」のチームで、リーグ戦総得点13は福岡・鳥栖に次ぐJ1ワースト3位の一方、総失点15はボトムハーフでは鳥栖に次ぐ少なさ。
・興行性には著しく乏しいものの守備重視のサッカーで着実に勝ち点を積み上げて年間4位に滑り込んだフィッカデンティ監督との契約更新を見送ったのは傍目から見て謎でしたが、かつてFC東京(以下「瓦斯」)を降格に導いたことがある城福を再起用したもの謎。
・城福は甲府で乏しい戦力を上手く活用してJ1昇格&2年連続残留という甲府的には偉業を成し遂げての瓦斯凱旋という形ですが、甲府とは置かれている立場が全然違う瓦斯で上手く行く保証は全くなく、スタッツを見る限りこれならふっかちゃんのままだったほうがマシだったという気が。戦力面で大きく劣っているはずの鳥栖と比べて総得点・総失点ともたいして変わらないのを見ると苦笑を禁じ得ません。
・もっともACLはプレーオフを経て見事グループリーグを突破し、R16でも上海上港相手に勝ち抜け目前まで行ったのですから大善戦と評して差し支えないでしょう。もっともATに失点してアウェーゴール差で敗退する辺りはいかにも瓦斯ですが。
・プレーオフを経た関係で、監督交代があったにも関わらずチームを急ピッチに仕上げざるを得なかったはず。それゆえコンディションがピークアウトするのは浦和以上に早いはずですが、如何せんリーグ戦の成績が開幕から今日まで一貫して低迷しているのでコンディションの良し悪しが成績から推し量れないというのがいやはや何とも。
・ただ城福は前目の選手を細かくローテーションさせながら(というより、監督交代直後にありがちな単なる試行錯誤といったほうが実態に近いのかもしれませんが)ACLとリーグ戦を並行して闘っていた印象があり、途中からスタメン固定になってしまった浦和ほど劇的にはコンディションが落ちないのかもしれません。
(戦力)
・ふっかちゃんは攻撃のバリエーションが極めて乏しく、太田のクロスやFKに頼る部分が大だったのに、その太田がフィテッセへ流出。その穴をどう埋めるかが瓦斯の今季最大の課題で、ベテラン駒野(磐田)を獲得したものの序盤故障したのが祟ったのか、その後ベンチにも入れず。やむなく高卒2年目の小川が左SBを埋め、場合によっては徳永が左に回ることも。徳永が左に回った際などには本職ボランチの橋本が右SBに入るようですが、これは正直いって穴。
・また昨年半ばに離脱した武藤の穴も懸案事項。獲得した阿部(甲府)は開幕からほぼスタメンを確保していますが、得点はわずか1点どまり。しかも第15節から3試合連続してベンチ外ですが原因不明。というか、阿部といい、中島といい、河野といい、やたらヴェルティ出身者に門戸が広い瓦斯(苦笑)。
・そこで4月になってから大外れに終わったサンダサの首を切って突如ムリキを獲得。なにせ広州恒大で大暴れしたビッグネームなのでこの移籍にはびっくりしましたが、その後所属したアル・サッドで故障したのが良くなかったのか、かつての無双ぶりはどこへやら。U23で調整に努めてみたもの、そこでもたいして点は取れず。現状では長期離脱明けの平山のほうが遥かにマシという惨状。
・またACLを睨んで北京国安から獲得したハ・デソンも序盤故障して出遅れたのが響いてか、現在はほとんど出番がなく、FCソウルへの移籍が取りざたされる始末。権田に代えて急遽獲得したアブラモフはたった4ヶ月で契約満了。昨年獲得したネイサン・バーンズを含めて瓦斯が獲得する外国人選手ってこのところ良くて微妙止まりで、当たりだった試しがありません。
・GKは秋元(湘南)が不動のレギュラー。水沼(鳥栖)はローテーションの中に組み込まれて出たり出なかったりを繰り返している程度。
・中島・室屋のU23代表組が故障から戻ってきましたが、J1で使いものになるレベルなのかどうか。
(戦術)
・開幕時は4-2-2-2でしたが、ボールを支配してはいるものの、不用意に前がかりになったところでカウンターを喰らう試合が目立って思うように勝ち点が伸びず。
・そこで福岡に敗れたのを機に布陣を4-1-2-3に変更して、アンカーにそれまでほとんど出番がなかった高橋を抜擢して以降成績は安定。もっとも負けなくなったがたいして勝ててもいないという低レベルの安定に留まっていますが。
・負けなくなったがほとんど点が入らない状況を気に病んだのか、城福は前々節広島戦から再度4-2-2-2に布陣変更。しかし2試合とも1-1のドローで戦績にさしたる変化は見られず。
・パスを繋いでサイド奥深くまで何度もボールを運んでクロスを入れても、そこからフィニッシュがどうしても決まらない。太田が抜けて威力は減衰したとはいえ、相対的にはセットプレーのほうが可能性大。
・城福監督の甲府在籍時には浦和は「穴熊戦法」に随分苦しめられましたが、今回の出方は皆目判らず。ただ負けないことに重きを置いて塩試合を全く厭わないようなので、引いてカウンター狙いで来ることは容易に想像がつきます。広島戦では高めの位置にコンパクトな守備ブロックを作って対峙していましたが。
(浦和の対応)
・もう「なるようになぁれーーー!」としか言いようがありません。「なぜか瓦斯とは極端に相性が良い」という半ば以上気休めみたいなものにすがるのみ。
・G大阪戦・広島戦と大胆なターンオーバーを繰り返しただけならまだしも、広島戦で駒井ボランチとかWB全員集合とか奇想天外な手まで打ち出したのでスタメンも読みにくくなりました。
・小破した柏木は広島戦の出来ではしばらく使いものになりそうになく、かといって試合連続90分出場の駒井をまたしてもボランチで使うとは考えにくいので、さすがに今回は青木に出番が巡ってくるかと。
・また前節WB全員集合の反動で、多少なりともフレッシュなWBが一人もいない窮地に。前節途中で下がった梅崎と関根が出てくるものと思われますが。
・中2日で神戸戦が控えているので、前節途中投入だったズラタンと李をスタメンで使う可能性大。阿部を含めて最終ラインもまともな状態な選手は一人もいませんから、この際誰をどう取替えようとも一切驚きはありません。
・とにかく「自爆ボタンを押して負ける」のだけは避けてほしい。ただそれだけです。
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<前節:FC東京 1-1 新潟>
---ムリキ---平山---
東---------田邉
---米本--高橋---
小川-丸山--森重-徳永
-----秋元-----
得点:54分 平山
HT:東→バーンズ
69分:ムリキ→中島
75分:平山→前田
※河野が出場停止
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