【TV観戦記】16年2nd第5節:鹿島 1-2 浦和 ~ 毎度毎度ありがとう!俺たちの曽ケ端準!来年もよろしくねー!
・90分を通じてみれば劣勢の時間帯が長く、特に最初の20分は全く何もできませんでした。あまつさえ先制点を許し、厳しい局面に立たされてしまいましたが、そこから李の2ゴールで一気に逆転勝ち。
・再三サイドを崩されても集中を切らさずに最後の最後で跳ね返す。先制点を取られても慌てない。浦和らしい試合運びができた時間帯は長くはありませんでしたが、とにかく選手達の気迫と集中力が凄まじく、(精神論と化して恐縮ですが)それが逆転勝ちを呼び込んだといって差し支えないかと思います。もちろん最大の勝因は毎度毎度の「俺たちの曽ケ端」のナイスアシストですが(笑)
・俺たちの曽ケ端もさることながら、この日はミシャの選手交代がことごとく的中。もうこの試合で今年のミシャの勝負運を全て使い果たしたのではないかと訝しくなるくらいの冴えっぷり。
・後半頭から投入の李が2得点を叩きだしたのも驚きでしたが、それ以上に驚いたのは青木の攻守両面にわたる獅子奮迅の大活躍。李の2点目は元はといえば青木が小笠原との競り合いを制して左でフリーの武藤へ展開したところから。それだけではなく中盤の底で体を張りまくって鹿島の攻撃を寸断。青木をスタメンで使うと中盤の守備で計算できる駒が無くなってしまうのが悩ましいのですが、このクラスの選手が控えにいるのは実にもったいない。
・さらにミシャは最後にWBを代えずにシャドー(武藤)を代えて石原を投入したのも驚きで、しかも石原は逃げ切り要員としてなすべきことを全う。この試合終始浦和左サイドが炎上気味で、関根が代えられてもなんら不思議はなかったのですが、鹿島が右SBを代えたのを見てWBをいじらずにシャドーを代えたのが妙手。要するに5-4-1で自陣を固めながらもカウンターの脅威をちらつかせることで上手く守り切りました。
・アウェー川崎戦、ホーム広州恒大戦もそうでしたが、強敵相手の凌ぎ合いを制しての勝利は実に痛快。相手が強ければ強いほど凄まじい集中力を発揮するが、相手が強くない時はモニョモニョというのが浦和の宿痾。この集中力をコンスタントに維持できれば大宮戦で2度のリードを追いつかれる失態はなかったろうに、さらにいえばタイトルをボコボコ取れてただろうにと思うのですが、そんな人間の弱さに相通じるところが浦和の魅力だからこればかりは致し方なしでしょうか(自嘲)
-----ズラタン-----
--武藤----高木--
関根-阿部--柏木-梅崎
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
得点:62分 李、73分 李
HT ズラタン→李
57分 高木→青木(柏木がシャドーへ)
76分 武藤→石原
・五輪で不在の興梠→ズラタン、遠藤→那須、出場停止の宇賀神→梅崎はともかく、今年ほとんど出番がないどころか前節大宮戦ではベンチ外だった高木をいきなりスタメンに抜擢したのはびっくり。同じく出番はほとんどありませんが5月半ばからコンスタントにベンチ入りしている石原がスタメンのほうがまだ納得がゆくのですが。
・そして案の定高木スタメンは大失敗。アウェーG大阪戦で石原をいきなりスタメンに据えた時もそうでしたが、ミシャは出場停止や連戦等でただでさえ人繰りが苦しい時に限ってなぜか普段絶対にやらない大抜擢を併用し、しかも大失敗に終わるのが半ばお約束。
・周囲との連携が上手く取れないのは目を瞑るとしても、当たりに弱い高木は厳しいマークを受けてはボールロストの繰り返し。しかもあまり動かない。この辺上手くいかない時間帯でも守備だけはさぼらずにやる武藤とは対照的。高木はスペースがあって前を向いてナンボの選手なので、シャドーにせよWBにせよ、点を取りたい時の特攻要員としての使い道しかなさそうで、しかもその道は駒井との勝負。もう先は厳しいかもしれません。
・高木の不出来もさることながら、試合開始から20分過ぎまで浦和は全く何もできませんでした。鹿島は前回対戦時とは打って変わって、前から厳しくプレッシャーをかけてきました。広島相手にそんな感じで臨んで大勝して気を良くしたのかもしれません。そしてその策が見事に奏功。浦和はほとんどビルドアップできず、縦パスを入れてもいとも簡単にボールロスト。ロングボールで鹿島の高い最終ラインの裏を狙うも相変わらず精度が低くてどうにもならず。
・逆に鹿島はSHがスペースを作ってSBが駆け上がる、あるいはFWがサイドに流れてサイドから何度もチャンスメーク。サイドに基点を作ってファーへのクロスを繰り返しているように見受けられました。出場停止の宇賀神に代わって関根が左WBに回りましたが浦和の左サイドは90分を通じて炎上気味で、終始浦和は鹿島のサイド攻撃に苦しめられ、手数では鹿島が圧倒していたかと。
・鹿島の先制点はそのサイド攻撃が実ったもの。浦和右サイドで森脇が金崎に競り負けたのがケチのつけ始めで、上がってきた山本がフリーでクロス→上げた先の土居もフリーというマヌケな失点。
・ただ幸いにも浦和がマヌケだったのは後にも先にもこれ一回だけ。それ以外は鹿島のクロス攻撃に対して最後の最後で弾き返し、間一髪のところでシュートをブロックして決定機を与えず。金崎にエリア内に侵入され、ボールをキープされても慌てずに対応。特に圧倒的に劣勢だった最初の20分を無失点で切り抜けたのが大きかったかと。逆にいえば鹿島は飛ばし気味に試合に入り、早い時間帯に先制できなかったのが敗因だったのかもしれません。結果論っぽくてナンですが。
・浦和は25分くらいから鹿島のプレッシャーが幾分緩んだせいか多少ボールが持てるようにはなりましたが、思い出したようにカウンター気味に左サイドから仕掛けるくらいで得点の臭いは皆無のまま前半終了。
・そこでミシャが後半頭から繰り出したのがズタラン→李。李は仙台戦・大宮戦と全くいいところがなかったのでスタメン落ちは当然。故障明けのズラタンが興梠に代わってスタメン起用されるのは当然でしょうし、前半の出来ももともとズラタン1トップはこんなもんと思いながら見ていたので悪いとも思わなかったのですが、そのズラタンを前半で見切って李を入れた采配が見事に的中。
・前半はボールを持っても「持たされている」という印象しか残らなかったのですが、後半は戦況が一変。明らかに浦和が能動的にボールを動かしているように見えだしました。さらに気を良くした(?)ミシャはとうとう高木を諦めて青木を入れて柏木をシャドーへ。そしてこの采配もまた的中。
・先述のマヌケな形で先制されましたが、梅崎縦パス→右サイドに飛び出した柏木クロス→李であっという間に同点。柏木を前に上げた効果がいきなり発現した格好ですが、柏木のクロスも右足なら、李のシュートも右足と共に鹿島DF&GKの意表を突いたのが良かったのかも。
・逆転弾は武藤のシュートを曽ケ端がこぼしたところを李が諦めずに詰めたもの。諦めずに詰めるというFWにとって当たり前のことながらさぼりがちな動作を愚直に繰り返したことへのご褒美。FWは上手い奴より諦めない奴のほうが点を取る。
・曽ケ端はその前にも関根シュートをこぼして李にフリーでシュートを撃たれており(李にとってこちらのほうがむしろイージーじゃないかと思うのですが、相変わらずの悪球打ち(苦笑))、さらにいえば前半にも高木のシュートを前にこぼしていました。よってこのポロリは起こるべくして起こったポロリ。なぜ鹿島はまともなGKを補強しないのか不思議でなりません。やっと補強したと思えば曽ケ端以上にやらかしの櫛引。
・逆転に成功した浦和は自陣に5-4-1の守備ブロックを敷いてカウンター狙い。相変わらず鹿島にサイド攻撃を許しでしたが、鹿島のクロス精度が信じがたいほど低くて誰にも合わない場面が続出。浦和のミスでカウンターを浴びかかる場面も2度ありましたが、シュートはいずれも西川正面で大過には至らず。
---金崎--土居---
中村--------遠藤
--小笠原--柴崎---
山本-昌子--ファン---西
-----曽ケ端----
60分 土居 聖真
73分 中村→鈴木
75分 西→伊東
90分 小笠原→永木
・鹿島は植田の代わりにファンソッコが入り、左SHに中村が戻っただけでサプライズなし。
・試合は鹿島の積極策が嵌って鹿島ペースで進みましたが、終わってみればあれだけあったサイドからの決定機を一つしか生かせずに逆転負け。チャンスは山のように作るが点は入らない時期に逆戻りした格好。CKを積極的に取りに行っているようにも見受けられましたが、CKからはこれといった決定機は作れず。
・試合を通じて浦和左サイドをほぼ蹂躙しており、そこからファーへのクロスを何本も入れていましたが、左SH中村がそのクロスに対してこれといった仕事ができなかったのが痛かったかと。中村はカイオより攻撃力が格段に劣るせいか、鹿島の攻撃は右サイド偏重(唯一の得点が左サイドからだったのが皮肉ですが)。左右両面から浦和を揺さぶれないので、クロスに対する浦和の対応が一向にずれないまま試合が終わってしまいました。
・しかも時間の経過と共に遠藤のクロス精度がガタ落ちに。石井監督の選手交代も後手に回り、しかも何の効果もないまま試合終了。
| 固定リンク