【観戦記】16年2nd第4節:浦和 2-2 大宮 ~ 浦和らしいブザマな失点を繰り返して2度のリードを守りきれず
・前半柏木が直接FKをぶちこみ、後半関根&武藤が謎の覚醒を見せて2度リードを奪ったものの、すぐに同点に追いつかれてドロー。しかも点の取られ方がいかにも拙い。CKをどフリーで叩き込まれるとか、選手が一人傷んでいる間の対応が実にあいまいかついい加減なのが主因となっていとも簡単にやられてしまうとか、既視感漂う実に浦和らしい失点。
・おまけに大宮は家長・菊地・和田が故障で不在。ムルジャは戦線復帰したものの本調子には程遠い状態。おまけに試合中に奥井まで故障していわば半壊状態。浦和はヘロヘロとはいえフルメンバーだったにも関わらず、試合内容は互角で、結果も互角だったという事実は重く受け止めなければいけません。高温多湿な気候下での過酷な3連戦でドローという結果は悪くないのかもしれませんが、心理的には負けも同然。
・柏木はハーフタイムのブーイングと試合終了後のブーイングに納得いかないようですが、失点の仕方が実にしょーもない上に、そもそも半壊状態の相手に内容で互角の試合しか出来なかった以上、ブーイングされても仕方ないと思います。個人的には「ダービーだから勝利以外は認めない」なんて言うつもりはあんまりない(そう思う人が少なくないのは事実として)ので、その観点からは柏木のコメントを批判しませんが。
・話がややこしいのは柏木自身の出来はかなり良かったこと。それゆえなおさら柏木はブーイングに納得がいかないのかもしれません。
・半壊状態の相手に互角の内容で終わったのは端的に言えば監督の能力差でしょう。大宮は選手の個人能力で浦和に及ばない代わりに、監督の能力差でその差を補ってなんとかドローに持ち込んだといっても差し支えないかと。特に「誰が出てもそれなりのことができる」という意味での守備組織の練度、及び控え選手の活かし方で渋谷監督はミシャよりはるかに優れているように思いました。大宮がルヴァン杯予選をぶっちぎりの強さで突破したのも納得。
・この試合大宮は右SB和田・CB菊地を欠き、おまけに前半半ばで左SB奥井を故障で失って最終ラインはレギュラー3人が欠けた状態。それにも関わらず高めの最終ラインを維持しようと努め、かつ最終ラインの統率が乱れてオフサイドを取り損ねる場面はほとんどなく、後半右サイドが炎上しかかりながらも押し込まれたら中央で弾き返す狙いを貫徹。終始前後分断気味ながら、ボール奪取後縦に早いサイド攻撃を何度も見せました。
・また怪我人が多いにも関わらず、渋谷監督は前節G大阪戦から清水→江坂、横山→金澤、沼田→大屋と3人入れ替え。G大阪戦でも数名選手を入れ替えており、その結果G大阪&浦和戦をドローで終えたのですから、中位クラブの大宮としては悪くない結果に。またどちらの試合も撃ち合いで大宮に勝ち目が十二分にあり、勝ちきれなかったのは単に攻撃陣のシュート精度の低さゆえ。こればかりは渋谷監督も打つ手なし。
・一方ミシャはこの3連戦を鉄板スタメン継続。案の定消耗は凄まじくて仙台戦も大宮戦も終盤カウンター合戦の撃ち合いに持ち込まれ、この試合では故障した選手や疲労が著しい選手を代えたら、さらに事態が悪化→だからますます鉄板スタメンに固執するというお約束の「負のスパイラル」に嵌る始末。3連戦で2勝1分と結果は悪くないものの、単に相手のシュート精度の低さに助けられた面が多々あり、次節鹿島戦へ向けて不安感が募る残念な試合でした。
・小中高生のチケット料金を全席種550円で販売するという一大キャンペーンが効いたのか、この日の観客は53,951人と久しぶりの大入り。子供には親も同伴するでしょうし、子供向けにグッズも相当売れるでしょうから営業的にはおそらく大成功でしょう。内容も撃ち合いの末のドローだったので一見さんには悪くない試合だったと思います。ただこういう大入りの試合にこそ快勝して「また来るぞ!」という気にさせないとなぁ・・・
-----興梠-----
--武藤-----李--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
得点:37分 柏木、59分 武藤
57分 李→青木(柏木がシャドーへ)
57分 興梠→ズラタン
69分 宇賀神→駒井
・大宮は普段通り4-4-2のフォーメーション。前回対戦時とは一変して前からはさほどプレッシャーをかけて来なかったのが意外でしたが、夏場なので追い掛け回して体力を使うのを避けたのでしょう。高めの位置に守備ブロックを作って浦和の縦パスを引っかけてカウンター、サイド攻撃には守備ブロックのスライドで対応し、クロスは中央を固めて弾き返すみたいな狙い。
・前半浦和の出来は芳しくなく、大宮の高い最終ラインの裏を長短のパスで突こうとするも、パス精度が低くて裏抜けからのチャンスらしいチャンスは柏木→武藤の1回だけ。関根を軸に何度も右サイド攻撃を仕掛けるものの、前半の関根はドリブル突破もできなければクロス精度も低くて全くお話にならず。ただ大宮の守備もタイトとは言い難いため縦パスはそこそこ入り、李→興梠、阿部→興梠→柏木と中央からの決定機あり。
・痛かったのは宇賀神が早い時間帯にイエローを貰ってしまったこと。これで宇賀神は対面のマテウスに主導権を握られて防戦一方に追い込まれてしまい、攻撃の左右のバランスなりワイドな展開なりに大きな制約がかかってしまったような感も。
・流れの中から点が入りそうにない際はやっぱりセットプレー頼み。興梠が山越に倒されて得たFKを柏木が直接決めて浦和先制。GK加藤も如何ともしようがないところに見事にぶち込んでくれました。
・ターンオーバーなしで3連戦を闘っている浦和が先に電池切れになるのは明白だったので、この先制点は大きなものになるはずだったのですが、なんと前半終了間際に大宮に追いつかれる大失態。森脇のクリアミスでCKを与えてしまい、遠藤が江坂のマークを外してしまってどフリーで叩き込まれるという誠に情けないもの。それ以前に試合の流れをぶつ切りにして1-0で折り返せない試合運びの拙さに参りました。
・後半立ち上がりは浦和の失速が顕著。カウンターで2回危ない場面を作られましたが、浦和の最終ラインの踏ん張り&大宮のシュート精度に低さに助けられて失点を免れました。
・ただ大宮優勢の時間帯も長くはなくて往々にして中盤がスカスカになり、逆に浦和が関根→武藤で突き放しに成功。関根が大屋を縦に振り切って珍しく高精度のクロスを上げ、武藤は途中投入のズラタンをダミーに使ってファーから走りこんでヘッド! ステルス能力が遺憾なく発揮された武藤らしいゴールでした。関根はその後謎の覚醒モードに入り、終始大宮左サイドを脅かし続けるも追加点はならず。
・この素晴らしいゴールを帳消しにしてしまったのがトホホな2失点目。宇賀神が傷んで自陣に戻れない隙に、宇賀神が対応していたマテウスへの対応がいい加減になったのが仇となって失点。マテウスは「多少守備をするマゾーラ」といった感じで渋谷監督があまりスタメンで使いたがらないのも頷けるのですが、とにかくスピードと一発がある選手。この試合も前半から積極的に遠目から狙っていましたから、あれだけ自由にやらせるとそりゃやられるわ・・・
・終盤はお約束の撃ち合いに。浦和は再度裏抜けに成功しかかった武藤のシュートが枠を外れ、右サイド攻撃からのズタラン→柏木ヘッド&関根→森脇はいずれも加藤の正面。大宮もペチュニクや清水のシュートがわずかに枠を逸れたり、CKからのチャンスでポストを叩く場面があったりしたものの、共に追加点ならずでドロー。
・甚だ残念だったのは傷んだ宇賀神に代わって投入された駒井の出来が著しく低調だったこと。ボールを受けてから長考に沈み、しかもドリブルで仕掛けるばかり。さらに全然相手を抜けない。ボールを受けてからの選択肢が少ない(特に周りを使ってのパス交換による突破がないに等しい!)上に、ボールを受ける前から次の一手を考えられないようではとてもミシャのスタイルに適合できるとは思えないんですが。そしてこの駒井をベンチ外に追いやれない高木はいったいどうなっているのか・・・
・駒井の出来があんまりなので、せっかく関根が謎の覚醒モードに突入しても浦和は得意の左右の揺さぶりが効かず。ピッチをワイドに使った左右の揺さぶりは4-4-2で守る相手を崩すミシャの常套手段のはずですが、片方のサイドしか使えないと守る側は楽ですわなぁ・・・
・駒井投入以前の李→青木、興梠→ズラタンの投入もなんだかなぁ。青木はスタメンで使ってもなんら不思議はないくらいの出来で、低調な出来に終始した李に代えて最初から柏木シャドーでも問題ないどころか、3連戦を踏まえてそうあるべきだと思いました。
・また山越のマークを全く苦にせずポストプレーをこなしていた興梠を下げたのは謎で、どうやら興梠が腰を傷めたのを気遣ってのことのようですが、この辺はミシャに運がないというかなんというか・・・故障明けのズタランには多くを期待できず、駒井よりはだいぶマシという程度で、フィニッシュには一回絡んだだけかな?
---江坂--ペチュニク--
泉澤--------マテウス
---金澤--横谷---
大屋-河本--山越-奥井
-----加藤-----
得点:45+4分 江坂、68分 マテウス
26分 奥井→渡部(故障による交代)
61分 江坂→ムルジャ
74分 マテウス→清水
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