【展望】16年2nd第6節甲府戦
(甲府の現状)
・勝ち点20(4勝8分10敗)で年間15位。1stステージ終了時では勝ち点15の17位に沈んでいましたが、2ndステージに入って勝ち点5を積み上げ、しかも先日残留争いのライバルである名古屋から勝ち点を奪取したのが効いて、とりあえず降格圏から脱出。
・甲府といえばなりふり構わず守備を固めて、アウェーどころかホームですら引き分け上等というスタンスで一貫。そのスタンスで乏しい予算、乏しい戦力ながらもJ1残留を勝ち取ってきたクラブなので、そのスタンスが一概に悪いとは全く思いません(当然ながら興行的な魅力は無いに等しいのもまた事実だと思いますが)。
・ところが、今年はその守備が大決壊。年間総失点39は同じく守備が崩壊している名古屋と並んでJ1最悪。
・得点力に乏しい(総得点24)のは相変わらずですが、今年は福岡、湘南、鳥栖、FC東京と甲府以上に点が取れないクラブがゴロゴロしており、また直近2試合でなぜか合計6得点と荒稼ぎしたのが効いて、相対的に得点力の低さは目立ちません。
(戦力)
・前回対戦時との最大の違いは大黒柱的CFがクリスティアーノ→ドゥドゥと入れ替わったこと。
・クリスティアーノは昨オフにレンタル先の柏が買い取りを渋ったため甲府に戻ってきましたが、6月になってなぜか柏が突如買い取りを決断したため甲府から完全移籍。柏の動きは実に不可解ですが、本人合意&移籍金を満額出されては甲府としてもどうしようもありません。
・クリスティアーノは1stステージ甲府の総得点18のうち7点を叩きだしている文字通りの大黒柱。それがぽっきり折れたとなると甲府はJ1残留を諦めたも同然。リカバリーにもやや時間がかかって3試合を空費してしまいましたが、フィゲイレンセFC(ブラジル)からドゥドゥを完全移籍で獲得してなんとか穴埋め。
・ドゥドゥは2014年に半年柏に在籍したことがあり、リーグ戦14試合5得点とまずまずの活躍を見せていたようですが、全く記憶なし。ただ甲府に来てから早速2試合2得点といきなり結果を出しています(2点ともDFの対応が酷すぎますが)。ドゥドゥは体格こそ1トップ向きっぽくありませんが、テクニックでボールを収めてしまうタイプ。
・他にMFマルキーニョス・パラナと再契約し、前節いきなりスタメン出場。パラナは一度契約を見送っては再度呼び戻すというのを繰り返して、2013年から断続的に甲府に在籍している格好。外国人選手としては微妙な実力なのは確かで、なんか「繁忙期だけやってくる凄腕のパートのおばちゃん」っぽい位置づけの選手になっています。
・傍目から見て甲府が不思議のは、予算がない割には「外国人選手ガチャ」を執拗に繰り返すこと。今年も開幕後2選手の契約を解除し、1人移籍離脱して、その代わりに3人獲得。正直安物買いの銭失いというかなんというか・・・
・入団時に「身長詐称」で笑いを取りに行ったFWチュカは故障離脱中。MFビリー・セレスキーもここ4試合ベンチ外ですが原因不明。
・CB山本が故障から戻ってきたので日本人選手の主力にこれといった怪我人はなく、ラーメン王盛田が長期離脱中なくらい。
(戦術)
・甲府がやることは毎度毎度全く同じで自陣深い位置に5-4-1の守備網を築いてひたすらボールを跳ね返す専守防衛。まさに「人は石垣、人は城」状態。あとはドゥドゥの個人技に託してなんとか豪快な一発を決めてもらうだけ。ドゥドゥは無理な体勢だろうがなんだろうがバンバンシュートを撃ってきます。
・またドゥドゥはボールを持てるのでそのフォローも案外早く、甲府のカウンター攻撃に厚みがあって結構面倒。
・クリスティアーノがいなくなった影響はFKでの得点が期待できないところに表れるかも。
(浦和の対応)
・甲府の戦術が単純かつ明快なので浦和も迷いなく対策が打てるはずですが、そこは「相手に合わせて云々」が下手というかそういう発想がないに等しいミシャなのでいささか心配。興梠不在の今回は、前回対戦時のような軽快なパスワークでの崩しに拘るわけにはいかないでしょうが、その拘りを捨てきれずに時間を空費していると甲府の思うつぼかと。
・鹿島戦と違って相手を押し込む時間が長くなるのは必定なので、前目のスタメンも入れ替わりがあるでしょう。前節いいところがなかった高木はアウトの可能性大と思いますが、同じくイマイチだったズラタンはハイクロスのターゲットとしてむしろ重宝されるかと。今年の甲府はクロスからの失点が非常に多く、浦和のサイド攻撃が上手く嵌ればいいのですが。
・出場停止の宇賀神がスタメンに復帰するでしょうから、高木に代えて梅崎がシャドーに入っても不思議はありません。今年の甲府は自陣深い位置で不用意にファウルを犯して、FKでやられることも多いのでドリブラーが効きそう。
・また押し込む時間帯が長い反面、油断するとカウンターを喰らいやすいのも確か。鹿島戦では那須をリベロに起用した際の弱点(=裏を取られやすい)は露呈しませんでしたが、甲府戦では攻めている時のリスクマネジメントが問われます。
------------------------------------------------------------------
<前節:名古屋 1-3 甲府>
-----ドゥドゥ-----
--河本----稲垣--
橋爪-パラナ--黒木-松橋
-新井--山本--土屋-
-----河田-----
得点:11分 稲垣、75分 ドゥドゥ、77分 田中
64分 河本→田中
83分 松橋→畑尾
87分 パラナ→石原
・名古屋は攻守の切り替えが遅く、すっかり陣形が整ってしまった甲府に対してシモビッチ目がけてロングボールorハイクロスを放り込むだけの攻撃に終始。これではどうにもなりません。土屋がシモビッチバスターとして大活躍。
<前回:浦和 2-1 甲府>
----クリスティアーノ----
--河本----稲垣--
田中-ビリー--新井-橋爪
-松橋--山本--津田-
-----河田-----
得点:90+2分 稲垣
35分 河本→保坂
65分 クリスティアーノ→畑尾
71分 津田→吉野
・甲府は例によって例のごとく、5-4-1の布陣で自陣深くに引きこもり。1トップのクリスティアーノすら自陣に下がっての専守防衛。浦和は10分過ぎくらいから縦パスが入りだし、何度も中央突破が決まりかかるもののこれといった決定機を掴めないまま時間が経過するというこれまたいつもの甲府戦ならではのシオシオな展開。
・幸か不幸か甲府のDFリーダー山本がイエロー2枚で31分に早々と退場。甲府が引きこもりの度合いを一層強めてしまい、浦和にとって難しい試合に。山本を失った甲府は新井を最終ラインに下げて、5-3-1で引きこもり継続。
・業を煮やしたミシャは武藤に代えてズラタンを投入し、ハイクロスに対するターゲットを最前線に追加。これはそれなりに効果があり、甲府がズラタン対策で畑尾を投入してクリスティアーノを下げてなんと6-3-0で守りに守りを固めて来たところで、ようやく李&興梠のコンビネーションによる中央突破が炸裂。
・追加点はなんと森脇のミドルシュートから。甲府のクリアボールを拾った森脇のミドルシュートはドライブがかかって綺麗な弧を描き、バーを叩いてゴール!
・これで試合が終わっていれば、興行的魅力は著しく乏しいながらもそれなりに楽しい気分で家路に着けたものを、最後の最後で明らかに守備に緩みが出てやらずもがなの失点。
| 固定リンク