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2016.08.07

【観戦記】16年2nd第7節:浦和 4-1 湘南 ~ もはや湘南と同じ土俵で勝負せず、個人能力差に加えて戦術の幅の差を見せつけての大勝

・浦和はボールを大きく動かして湘南の猛プレスを回避しつつ、ロングボールを多用して湘南の高い最終ラインの裏を徹底的に攻略。さらに適宜湘南にボールを持たせてカウンター狙い。90分間ずっとそんな感じの試合展開で、湘南は浦和に手も足も出ずに大敗。

・湘南のスタイルはショートパスを繋ぐ川崎相手ならまだなんとか勝負になりましたが、ワイドにボールを動かす浦和相手にはもはやどうにもならないという印象。昨年初めて湘南と対戦した時は両者ガチンコというか真正面からぶつかり合う好ゲームを演じましたが、今年はミシャが湘南と同じ土俵で勝負しない方向に転じ、湘南がその策に有効な手立てを見いだせないまま結果・内容とも差が付く一方に。

・それでもチョウ監督はそのスタイルを愚直に貫くのは偉いと思いますし、残留争いを余儀なくされている他チームの惨状と比較すればかろうじてJ1残留を果たす可能性は決して低くはないとも思いますが、戦術の幅がいかにも狭く、かつそれが上手く嵌っても肝心なところでフィニッシュがトホホな選手達を抱える現状では最終節にぎりぎり残留を決めるのが精一杯でしょう。

・チョウ監督が不幸なのは前目のタレント不足もさることながら、高い最終ラインの裏をかなりの部分GKがカバーしないといけないのに、そのGKがあまりにも力不足だったこと。西川のロングパスに反応して湘南最終ライン裏に飛び出した関根に対してGK村山が前に出て来たのは良いとしても、バウンドしたボールの目測を誤ったのかあろうことか小柄な関根に高さで競り負ける大失態。

・浦和は李がバイアに完封されたこともあって前三人のコンビネーションプレーこそ不発に終わりましたが、ロングボール攻撃&カウンターという狙い通りの形で着々と加点。おまけにセットプレーからの得点も。興梠不在で最前線のボールキープに多くを期待できないため、サイド攻撃とか縦ポン攻撃とかに頼らざるを得なくなっていますが、それが逆にミシャの戦術の幅を広げる好循環に。まさに災い転じてなんとやら。

・あえて難を言えば前半終了間際の失点が非常にもったいなく、またしても埼スタでの完封勝ちを逃して文化シャツター様が思わず自社製品を蹴り上げてしまうような格好に。前半小破した関根が三竿からの縦パスを受けた菊池の抜け出しを許したのは致し方ないとしても、浦和が数的優位にも関わらず、中で待つ大槻がどフリーなのは全くいただけない。槙野がマークを離してなぜかボールへ突っ込んでいました(つД`)

003

-----李------
--高木----武藤--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----

得点:8分 関根、42分 武藤、63分 槙野、90+2分 武藤

HT 関根→梅崎(負傷による交代)
62分 李→ズラタン
62分 高木→青木

・昼間の最高気温が35℃超にも達し、陽が落ちてもその暑さが残る厳しい環境下ゆえか、立ち上がりの湘南はいつもよりは前からのプレッシャーが緩く、高い位置に守備ブロックを敷くような構え。その湘南に対して浦和は湘南の高い最終ラインの裏をいきなり縦パス、ないし逆サイドのWBに大きく振って縦に走らせるような攻めが目立ちました。そしてその攻め口がいきなり実って西川→関根で早々と先制。

・その直後にも槙野から縦パス→宇賀神クロス→武藤ヘッドの絶好機がありましたが、ヘッドは惜しくも枠外。先制された湘南はいつも通りに前からのプレッシャーを強めざるを得なくなり、その湘南のプレッシャーを浦和は大きくボールを動かしながら回避。

・この試合で面白かったのは湘南がボールを持つ時間が思いの外長かったこと(スカパーの数字では支配率は前半50:50、試合終了時54:46)。浦和はボールを失うと素早く攻守を切り替えるところまではいつも通りでしたが、蒸し暑い気候ゆえか遮二無二ボールを前から奪い返すのではなく、湘南のカウンターを遅らせることだけに専念していたような感じがしました。

・要は不用意なボールロストからショートカウンターを喰らう愚さえ犯さなければ全く問題なし。前半は失点場面以外で危なかったのは中盤でのボールロストから神谷に際どいシュートを撃たれた場面だけ。

・ボールを持たされた湘南はすぐに手詰まりになってパスミス続発。いわばボールを持たされた湘南は「自爆ボタンに手がかかった」ようなもの。浦和は湘南のミスに乗じてカウンター。2点目はそのカウンターが見事に嵌りました。

・湘南の縦パスを跳ね返して左サイドからのカウンター。左サイドを疾走する柏木→李のクロスはいったん岡本にカットされたものの、クリアしきれずにボールが武藤の足元に転がってしまい、武藤が難なくGKを交わしてゴール。この日あまり良いところがなかった李ですが、岡本を背負ってボールキープしたのがカウンターを発動する過程で効いた上に、そこから長い距離を走って事実上のアシスト。逆に岡本はこの失点の至る所で関与(´・ω・`)ショボーン

004

・前半終了間際に不用意すぎる失点を喫したものの、後半も依然試合は浦和ペース。後半立ち上がりに三竿に競り勝った武藤がそのままエリア内に突入する絶好機がありましたがシュートは枠外。武藤はちょこんと合わせるとか、力を抜いてコースを狙うようなシュートは入るけれど、豪快にぶちかますようなシュートは滅多に入らない気が(つД`)

・さらにミシャはこの日イマイチだった李&高木を早めに諦めてズラタン&青木を投入。その直後にCKから槙野が追加点。これもGK村山が飛び出してボールに触れないという失態から産まれたみたいな得点。

・湘南は早めに3選手を入れ替え、前からこれでもかこれでもかとガンガンプレッシャーをかけて戦局打開を企図。2点リードした浦和は早々に蹴りだしてしまえば良いものをなぜか自陣深い位置で繋ごうとして最終ラインどころか西川までバタバタしてしまう場面もありましたが、危ない場面では最後の最後でシュートをブロックしまくって大過は無し。

・湘南の狂気の前プレも最後まで続くわけがなく、残り10分くらいで湘南の反撃が尻すぼみになったところで、浦和はカウンターで続々決定機。裏抜けに成功した宇賀神のシュートはポストに嫌われましたが、ATにエリア内深い位置に侵入した青木→武藤ときっちり繋いで4点目。これはここぞというタイミングでエリア内に入ってきた青木を褒めたいところ。

・青木はミシャの起用法からみれば、当初はリードしている時の逃げ切り役に留まっていましたが、だんだん凄みを増してきて膠着しかかった局面を打開する役割まで担うまでに進化。いわば「ピッチャー鹿取」と言ってしまうには2~3イニングくらい投げている上に、チャンスメーカーにもなりつつあるので、もはや「鹿取」の概念に収まりません。ミシャが珍しく個人名を上げて青木を激賞するのも道理。

002

-----端戸-----
--長谷川---大槻--
菊池-神谷--石川-高山
-三竿--バイア--岡本-
-----村山-----

得点:44分 大槻

53分 長谷川→大竹
61分 端戸→下田
68分 大槻→ジネイ

・この日の湘南の走行距離は112kmちょっと。浦和を1km上回っていますが、普段118km超も走る湘南にしては異常に少なく、この日の気候がいかに厳しかったかと如実に物語っています。また気候もさることながら湘南得意のショートカウンターが嵌らず、ボールを持たされてしまって「走るに走れない」試合になった結果なのかも。

・湘南のスプリント回数187は浦和を40近く上回っていますが、これもカウンターを喰らいまくって後ろ向きに走らされた回数が相当あるものと思われます。

・昨日急遽獲得したばかりのジネイがいきなりベンチ入りしているだけでも十分驚きなのに、なんと途中交代で出てくるとは! ハイボールはことごとく那須に競り勝っていたので今後サイドからのハイクロスのターゲットになりうるかもしれませんが、如何せん大怪我を繰り返してコンディションが上がらずに鹿島から放出された選手。鹿島よりさらに消耗が激しい湘南でどこまで使えるのかなぁ?

・この試合で大失態を繰り返したGK村山。仙台戦ではニアをぶち抜かれ、川崎戦ではファーを開けすぎてシュートコースがぽっかり。そして今日は飛び出し失敗=「櫛引スペシャル」を連発。J1で使えるレベルではないGKを使わざるを得ないチョウ監督は誠に気の毒。

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