【観戦記】16年2nd第9節:浦和 1-2 川崎 ~ 内容で川崎を優に凌駕するも、数多の決定機逸とミシャの迷采配でぶち壊し
・シュート数11対6、CK数8対3というスタッツ通り、内容では浦和が川崎を圧倒。しかし、浦和は数々の決定機を外しに外し、さらにミシャが久しぶりに自爆ボタンを連打して良い流れを自らぶち壊して敗戦。怪我人が多い川崎は万全の状態に程遠くて川崎らしいサッカーができた時間は長くはなかったけれども、それでも数少ないチャンスを確実に決めまして浦和にリベンジ。
・文字通り決定力の差がモノを言った試合。高木と言い、武藤といい、「どうやってそれを外すせるの???」としか言いようがない絶好機をフイにして、それでも勝てるほど相手は甘くありませんでした。この日の敗戦はミシャの自爆ボタン「ぽちっとな」がどうしても悪目立ちしてしまいますが、選手が決めるべきところを決めていれば楽勝だったはず。こればかりは選手達のより一層の精進を願うしかありません。
・この敗戦で川崎との勝ち点差は再び5に広がってしまいましたが、幸いにもCSみたいな「負ければ全部パー」という意味合いの敗戦ではなく、リーグ戦残り試合でまだまだ取り返しがつく範囲内での一敗。興梠&遠藤をベンチスタートにし、かつ関根を欠いても川崎相手に試合内容は悪くなかったことを前向きに捉え、残り9試合を粘り強く闘ってもらえば十分ですし、おそらく迎えることになるであろうCSでの川崎との再戦に生かしてくれれば言うことありません。
・川崎の初期布陣はいつもの4-2-3-1に見えましたが、いきなり川崎左サイドが炎上して即座に5バックベースの守備(5-2-3に近いか)に変更。最近は相手に合わせての布陣変更なんてほとんどやらなくなった風間監督ですが、どうも浦和戦だけは別のよう。
・ただこの5バックはお世辞にも機能したとはいえず。川崎が最初のチャンス(小林→中村)を見事に決めて先制したものの、前半は完全に浦和ペース。
・先制後の川崎は自陣に引いてカウンター狙いの色彩を強めたものの、その守備はタイトとは言いがたく、浦和は縦パスも入るし、両サイドからの仕掛けもあって悪くない内容。時折縦パスなりアーリークロスなりで川崎の最終ライン裏を突くのも効果的。川崎はとにかく柏木に自由にやらせすぎ。
・そして右サイドからの森脇の深い抉りからの折り返しを李が押し込んで浦和が当然のように同点に。同型フォーメーションを取る相手の打開策として今年は浦和のサイド攻撃が定番化。この日は何度もサイド攻撃が嵌り、それがこの試合の収穫と言えば収穫ですが、決まったのは結局これ一本だけとは(トホホ)
・川崎は守備に難があるだけでなく、前半は浦和のプレッシャーに気圧されてビルドアップもままならず。深い位置からの縦パスはことごとくずれて前線に合わない場面が目立ちました。大久保がなぜか序盤から苛立ちを顕わにしていましたが、これが川崎の不出来を象徴していたかと。
・浦和も蒸し暑い中で終始前からプレッシャーをかけ続けるわけにいかないので、後半は自陣に引いて守る時間が長くなり、川崎にボールを回される時間が長くなりましたが、川崎の攻撃が上手く行かないのは相変わらず。川崎がボールを回していても肝心なところでシュートをブロックされる場面が目立った一方、浦和はカウンターで何度もチャンスメーク。
・後半立ち上がりのショートカウンターでGKと一対一になった武藤はシュートをGKにぶち当て、さらに右サイド攻撃から宇賀神や武藤に好機がありましたが、シュートは共に枠外。
・さらに序盤から炎上続きの左WB中野がとうとう故障して川崎はやむなく森谷投入。浦和にとって願ってもない好機と思ったのですが、バイタルエリアでの球際での勝負に負けたのが祟ってエリア内でボールを繋がれ、入ったばかりの森谷がゴール。やむなく入れたはずの森谷が浦和キラーぶりを発揮。
・失点直後にミシヤはなぜかこの日好調の森脇を下げて遠藤を投入。現地ではなんで森脇を下げるのかさっぱり判らず、ミシャがてっきり自爆ボタンを押したものとばかり思ったのですが、どうやら森脇故障によるやむを得ない交代だった模様。このあたりがいかにもミシャの「持ってない」監督人生。そして森脇故障に伴う混乱が森谷ゴールの遠因だったのかも。
・それでもまた残り時間はAT含めて20分近くあり、川崎は井川やエウシーニョが足を攣り、井川はとうとうエドゥアルドと交代する羽目になったので浦和が少なくとも同点に追いつく可能性は十二分に残されていたのですが、そこでミシャは正真正銘の自爆ボタンをプッシュ。
・特に出来が悪くはない宇賀神を下げるだけでも驚きなのに、入れたのはなんと青木。そして槙野を左WBに上げ、阿部を左CBに下げる迷采配。宇賀神に何らかのトラブルがあったり、あるいは左サイドからの圧力を一層強めたいのであれば宇賀神→梅崎で十分だったはずで、なんでわざわざ槙野をWBに上げる必要があったのか???
・槙野は後方から飛び出してくるからこそ相手は掴まえづらく、槙野の攻撃力が活きるのであって、最初からマークに付かれてヨーイドン!で振り切れるほどの能力は槙野にはない。少なくともゲーム終盤でヘロヘロの槙野には。
・案の定WB槙野は何の役にも立たず、それどころか左CBに下がった阿部は疲労困憊で全く動けず、2度にわたって川崎のカウンターの基点になる始末。西川の好セーブとファウルの判定に救われて追加点こそ取られませんでしたが、もう一点取られていたら埼スタは大荒れになっていたでしょうなぁ。
・槙野投入後は火が消えたようだった浦和にも土壇場で右サイドを抉った駒井→武藤のビッグチャンスがありましたが、武藤のシュートはなんと枠外。
・内容で川崎を優に凌駕するも、数多の決定機逸とミシャの迷采配で勝ち点を一つも取れなかった浦和。川崎との「ここ一番に勝てない王」対決で王座をがっちりキープ。その点は甚だ残念ですが、試合終了後はさしたるブーイングもなく、むしろ激励の声のほうが多かったのは救いでした。
-----李------
--高木----武藤--
宇賀神-阿部-柏木-駒井
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----
得点:28分 李
60分 高木→興梠
75分 森脇→遠藤(負傷交代)
78分 宇賀神→青木(槙野が左WB、阿部が左CBへ)
・関根がコンディション不良でベンチ外になり、代わって駒井を起用。五輪帰りの興梠と遠藤はベンチスタート。
・駒井は関根と比べると視野が狭く、それゆえに選択肢がいかにも狭いのが難ですが、徐々にボールをもらってから考え込んだ挙句にやおらドリブルで仕掛け始める悪癖が解消されてきた模様。自ら仕掛けるだけでなく、他の選手からのパスを予測してスペースに走りこむような動きが増え、実際そんな形からチャンスメークに関与しているのでまだまだチャンスはもらえそう。ただ90分持たないのであれば、途中で梅崎に代えるのが筋だと思うのですが。川崎の左サイドは終始穴だっただけに。
・興梠がベンチスタートになったため再びスタメンの座を掴んだ高木は試合開始直後のビッグチャンスを外したのがケチのつけ始め。とにかく球離れが悪くてチャンスを潰してしまうだけでなく、往々にしてボールロストで川崎にカウンターチャンスを与える始末。高木は最終ラインを積極的に押し上げて前に出てくる相手には使えない印象が強いのですが、この試合もご多分にもれず。
・ミシャは当然のように後半途中から興梠を投入。もっとも興梠もコンディションが良くないのか、ボールの収めどころとしては機能していましたが、ただそれだけで川崎守備陣に脅威は与えられず。
-----大久保----
--中村----小林-ー
中野--ネット--大島-エウシー
-谷口--井川--武岡-
-----ソンリョン-----
得点:15分 中村、74分 森谷
71分 中野→森谷
78分 井川→エドゥアルド
・怪我人だらけの川崎は五輪帰り&インフルエンザが治った(?)ばかりの大島が強行出場。全体としては可もなく不可もなしといった感でしたが、決勝点の基点となる活躍。
・ミシャが自爆ボタンを押すまでは川崎にチャンスらしいチャンスは2回しかなかったはずですが、その2回をいずれもしっかり決めてしんどい試合をモノにしてしまう辺りは「ここ一番で勝てない王」の面影まるで無し。
・先制点は武藤のボールロストから小林→中村という単純な形ですが、大久保に釣られて浦和の最終ラインが下がってしまい、ぽっかり空いたバイタルエリアに中村が走りこんだ時点で勝負あり。もっともこれは浦和守備陣の失態というより、宇賀神のスライディングをかろうじて交わし、かつほとんどシュートコースがなかったはずのニアにぶち込んだ中村を褒めるしかないのでしょう。それにひきかえシュートコースだらけの絶好機にシュートが枠にすら飛ばない浦和攻撃陣(つД`)
・2点目は前に出てきた大島に対して2人飛び込んだものの、いずれも玉際で競り負けてそのままバイタルエリアまで運ばれてしまったのが痛かったかと。特に那須がわざわざ飛び出して交わされたのが痛恨。ここぞとばかり川崎は攻めに人数を割き、自陣に人はいるけれども半ば棒立ち状態の浦和相手に軽快にパスを回し、大島→エウシーニョ→森谷で仕上げ。いやはやこれには恐れ入りました。
・ただ前節鳥栖戦同様、積極的に前に出てくる相手はやはり苦手のよう。GKチョン・ソンリョンのキック精度は全然高くないとか、エドゥワルド・ネットも体は張れるけれどビルドアップは特に上手くないとか、前に出てくる相手が苦手な要素がちらちら垣間見られた感も。
| 固定リンク