【展望】16年2nd第13節広島戦
(広島の現状)
・勝ち点49(14勝7分8敗)で年間5位。2ndステージは勝ち点20(6勝2分4敗)の8位で、昨年のチャンピオンチームが既に年間3位以内確保も2ndステージ優勝も極めて厳しい状況に追い込まれています。
・今年の広島の際立った特徴はとにかく失点が多いこと。リーグ戦総失点33は上位チームではかなり悪いほう(広島より悪いのは柏と神戸のみ)。総得点53は川崎に次いで多いものの弱い相手から固め取りする傾向が強い一方、ウノゼロで負ける試合も少なくないので、得失点差が20もある割には勝ち点が伸びていません(浦和は24)。
(戦力)
・今年の広島は一年中怪我人に悩まされています。
・長期離脱していた水本が第10節からスタメンに復帰しましたが、CB佐々木が依然長期離脱中。
・浅野がアーセナルに移籍した穴を埋めるべく獲得したロペスは試運転を終えてようやく第9節甲府戦でスタメン出場したと思ったら、すぐに故障して戦線離脱。またシャドーで徐々に出場機会を増やしつつあった宮吉も故障。このため2列目の選手層が一気に薄くなり、一時出番を失っていた茶島がスタメンに復帰。
・怪我ではありませんが、青山の相方が2ndステージに入って森崎和から丸谷に代わっています。青山の故障でスタメン出場機会を得た丸谷が青山復帰後もそのままスタメンに定着した模様。
・佐藤寿人の出番は依然限定的。負け試合の終盤に投入されるだけで、勝っている試合はお疲れのウタカに代わって皆川が入るのが定番化。
(戦術)
・青山の故障離脱を機に一時丸谷アンカーの3-1-4-2を3試合ほど試行しましたが、鹿島にタコ殴りされた挙句に4点も取られたのを気に病んでか、新システムは青山復帰を待たずに基本早々にお蔵入りとなり、せいぜい負けている時のオプション止まりに。基本はいつもの3-4-2-1に回帰しています。
・昨年までの広島は5-4-1のフォーメーションで徹底して引いて守ってのカウンター狙い。前半はスコアレスどころか1点ビハインドくらいなら全然問題なしとまで割り切って、終盤浅野を投入してから一気に寄り切りみたいなのが定番でしたが、最近の試合を見ると試合運びは序盤からかなり積極的になってきた様子。
・1トップのウタカがもはや戦術兵器と化していて、最前線で溜めを作ってシャドーの自由を引き出してくれるわ、クロスのターゲットにもなるわ、相手の最終ライン裏への抜け出しも狙えるわ、おまけにDFを背負ったまま反転シュートが撃てるわと「Jリーグでは反則」クラスの仕事っぷり。こんなウタカを擁していながら降格したクラブがあるというのだから驚き!
・あまりにもウタカの存在がでかいゆえか、広島の攻撃は従来よりもミキッチ&柏からのクロス攻撃の色彩が弱まり、ウタカ頼みの縦パス一発での中央突破重視の色彩が強まっているように見受けられ、それゆえカウンターを喰らった際の反動もでかくなっているような気がします。ただの印象論でなんですが。
・またリードした後の試合運びに安定感がすっかりなくなってしまい、リードした試合を追いつかれることもしばしば。前節も鳥栖にいったん3-0の大差をつけながら1点差まで詰め寄られて終盤冷や汗をかいていましたが、リードしているにも関わらず相変わらず妙に前のめりになっている辺りはちょっと浦和っぽくなっている気が。
(浦和の対応)
・小破して前節ベンチ外となった槙野の状態が気がかり。今節も無理なら引き続き宇賀神が左CB、両WBが関根&駒井という編成を余儀なくされるでしょうが、宇賀神はともかく両WBがチト心配。関根&駒井が対峙する広島のWBが超強力なだけに、両サイドで劣勢を余儀なくされると、それが主因になって試合の趨勢が決まりかねません。
・また前節鳥栖戦で披露されたルヴァン杯仕様のスタメン構成は、さっぱりだった前半の試合内容を受けて見直しを余儀なくされると思います。具体的には高木→李は間違いないでしょう。興梠のスタメン復帰は復調の度合い如何にかかっており、急がねばならない理由はないと思いますが。遠藤も同様、いや那須に特に瑕疵がないため興梠以上にスタメン復帰の道のりは遠そう。
・広島の強みは普段全然出番がない選手が突然起用されても大きな穴にはならないどころか、昨年CWCの茶島のように突如ブレイクする選手まで出ること。森保監督の控え選手のマネジメントがよほど優れているのか、あるいは毎度毎度ACLをリーグ戦で出番の少ない選手の調整の場として割り切ってしまうのがよほど高い効果を生んでいるのか、そのメカニズムは全く持って謎。
・浦和も今年はルヴァン杯を契機に超遅まきながら選手層が分厚くなってきたことを実感できるようになりました。万全の陣容で広島戦に臨めないかもしれませんが、それは全く言い訳になりません。昨年埼スタでの逆転負けを契機に広島はミシャにとって「お得意様」どころかやや苦手っぽくなってしまった気がしますが、前年チャンピオンをホームで叩きのめさないとリーグ優勝もへったくれもないでしょう。
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<前節:鳥栖 2-3 広島>
-----ウタカ------
--柴崎----茶島--
柏--丸谷-青山--ミキッチ
-水本--千葉--塩谷-
-----林------
得点:34分 塩谷、57分 ウタカ、62分 茶島
75分 ウタカ→皆川
81分 ミキッチ→清水
90分 茶島→森崎浩
<前回:広島 4-2 浦和>
-----ウタカ------
--柴崎----浅野--
清水-和幸--青山--柏
-宮原--千葉--塩谷-
-----林------
得点:6分 柴崎、64分 塩谷、69分 塩谷、83分 佐藤
41分 青山→丸谷(負傷による交代)
61分 森崎和→寿人(寿人&ウタカの2トップによる3-3-2-2へ布陣変更)
86分 ウタカ→皆川
・ミシャが放った奇策「駒井ボランチ」&WBができる駒井・梅崎・宇賀神・関根を同時にスタメン起用。かなりリスキーな一手ながらも前半はこれが奏功していったん逆転に成功。しかし、リスキーな手であることには変わりはなく、後半興梠が立て続けに決定機を外したのを契機に浦和が自陣に押し込まれがちに。森保監督が満を持して寿人を投入し、沸き返る観客に背中を押されたのかのように広島が一気に逆転勝ち。
・ミシャは最後に小破でベンチスタートになった柏木を投入。柏木が自爆ボタンを押してあえなくジ・エンド。
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