【展望】16年2nd第11節鳥栖戦
(鳥栖の現状)
・1stステージの不振が祟って年間順位こそ勝ち点38(10勝8分9敗)の10位に沈んでいますが、2ndステージでついにフィッカデンティ監督(以下ん「ふっかちゃん」)の指導が開花。いつの間にか勝ち点を21(6勝3分1敗)も荒稼ぎして、川崎や浦和をわずか勝ち点1差で追走し、2ndステージ優勝すら狙える位置に付けています。
・昨オフになぜかふっかちゃんとの契約を見送った瓦斯は、とうとう年間勝ち点でも鳥栖にぶっこ抜かれ、全く立場なし(笑)
・1stステージでは全くと言っていいほど点が取れずに残留争いに片足を突っ込んでいましたが、2ndステージでは「上位チームでは得点は少ないほう」といったくらいまでに得点力不足は解消。もともと守備は堅いチーム(リーグ総失点24はJ1最少)なので、僅差の勝利を積みかさねて勝ち点を伸ばしています。
(戦力)
・昨オフはマガン鳥栖騒動でふっかちゃんの就任が遅れ、ふっかちゃん仕様の選手が採れなかったこともあってか、夏の移籍期間での動きは積極的。
・まず鹿島で出番を失っていたDF青木を補強。さらにFWエル・カビル、MFタハールを獲得。前者はモロッコ、後者はアルジェリア(イギリス国籍)と、ふっかちゃんの伝手なのでしょうが、いずれもJリーグでは過去実績のなさそうな地域の出身者。鳥栖の外国人選手はユンジョンファン時代から韓国人だらけで、たまに韓国人以外の外国人が来てもほとんど使い物にならなかったような記憶が・・・
・ただせっかく採った三人とも即スタメンとはいかず、カビルが前節ようやくスタメン出場したのみで、他はベンチ止まり。カビルもまだコンディション調整途上かついかにも周囲と連携不足のようですが、ガチムチの突進系FWぽく見えるけれども、意外に周囲が使える選手みたいで。
・さらに不可解なのは鳥栖が夏の移籍期間に選手を大量放出したこと。ペク・ソンドン&チェ・ソングンは外国人枠を空けるための放出と目されますが、坂井・丹羽・楠神・岡本・菊地など1stステージで出番のなかった選手をことごとくレンタルで放出。あまりにもドライすぎるふっかちゃんの割り切った姿勢はミシャと正反対。どちらも選手の見切りが滅法早い点は同じですが・・・
・当然ながらこれだけ選手を出してしまうと手駒は薄くなりますが、そこはふっかちゃんも覚悟の上で当然のようにスタメン固定。しかもクソ暑くて選手の消耗が早い時期にも関わらず、ふっかちゃんが交代枠を余して終わるのは日常茶飯事で、一枚も代えずに終わることも。それで結果を残しているのだから恐れ入ります。
(戦術)
・フォーメーションは一貫して4-3-1-2。前回対戦時にはキムミヌが故障でベンチ外となり、さらに鎌田がU23トゥーロン遠征で不在で中盤の駒を欠いているせいか、いつもの4-3-1-2ではなく、基本4-2-2-2。但し、守備時は右SHチェ・ソングンが下がって5-3-2という布陣を敷いてきましたが、今回はとりたてて変則的な布陣を敷いて来ないかと。瓦斯時代もわざわざ浦和対策を敷いて自爆しましたし。
・また前回対戦時の鳥栖は自陣を固めてひたすら守っているだけでしたが、今やチーム状態が一変していて積極的にガンガン前からプレッシャーをかけてきます。川崎の自由なパス回しを許さなかったくらいに強烈。
・攻撃はサイドでしっかりボールを繋いでのクロス攻撃一辺倒。特に左サイドの福田&吉田の連携で縦にボールを運んで、吉田→豊田が生命線。さらにセットプレーに強いのも相変わらず。「最終ラインからいきなり豊田目がけてのロングボール&セカンドボールを拾っての連続攻撃」というユン・ジョンファン以来の武骨なスタイルから転換するのに時間を要しましたが、ふっかちゃんが残留争いに片足を突っ込みながらもブレずにやり続けたことでついに開花。
・やっていることは瓦斯時代と本質的にはそんなに変わらない気がしますが、「堅実で勝ち点は稼げるけど滅茶苦茶退屈」といった瓦斯時代のふっかちゃんの印象が一変して結構スピーディーで面白いサッカーになったように見えるのが不思議。
・おそらく瓦斯よりも鳥栖のほうがかなり運動量が多く、守備が組織立っている上に3ボランチを中心とした守備ブロックの寄せが一段と早いのが鍵なのかも。ボールを奪ってからの縦に早い攻めはもともと鳥栖の持ち味。選手の頑張りが判りやすい運動量の多さ&素早い攻守の切り替えが鳥栖のサッカーを面白くしている気がします。
・ただFK(キッカーはキムミヌor高橋)にしてもサイドからのクロスにしても太田ほどの精度は望めない。それゆえかなりマシになったとはいえ点はあまり入らないのが悩み。
(浦和の対応)
・前回対戦時は「何が何でも勝ち点1奪取」を決め込み、ボールボーイも巻き込んで徹底抗戦を続けた鳥栖を攻め倦んでのスコアレスドロー。FCソウルとの激闘を終えたばかりなのに、その試合と全く同じスタメンで鳥栖戦に臨み、しかも交代枠を余らせるという大愚行を重ねた末に鳥栖の思惑通りの塩試合になってしまいました。今のところこの試合が個人的には今年ワーストの試合。
・今回は前回ほど酷くはありませんが、代表でタイ遠征帰りが3名(西川・柏木・遠藤)、槙野が怪我明け。しかも代表組不在のルヴァン杯で高木を筆頭に普段のベンチ組が良い働きを見せたため、ミシャもスタメン構成に良い意味で頭を痛めるかもしれません。言い換えれば、ここでいつもの「ベストメンバー」が名を連ねるほうが不思議。
・さすがに鳥栖はFWに高さがあって、しかもクロス攻撃をストロングポイントとするチームなので宇賀神CBを続けるのは無謀で、怪我明けの槙野なり代表帰りの遠藤なりがCBに入らざるを得ないでしょう。
・悩ましいのは前3人。どこからどう見ても興梠は五輪出場後調子を落としており、神戸戦ではボールの収まりも悪ければ判断も悪いという惨状。一方絶好調の高木は鳥栖の怒涛の寄せの前にどこまでやれるのか、ただでさえガツガツ来る相手は苦手なだけにいきなりスタメンは難しいかも。鳥栖相手にスーペルな仕事が出来れば言うことなしですが。
・またタイ遠征には帯同したものの、途中小破&別メニューだった柏木のコンディションが心配。ルヴァン杯で柏木の代わりに出場した青木がいかにもCH然とした八面六臂の活躍を見せていただけに、柏木の状態が芳しくないなら青木スタメンで差し支えない気が。もっとも青木の持ち味は柏木と明らかに違うので、戦術のアジャストが必要になりますが。
・とにもかくにもルヴァン杯の快勝を受けて鳥栖戦はスタメン&選手交代が非常に楽しみ。逆に言えばミシャがここで名ばかりの「ベストメンバー」を連ね、判で押したような選手交代を繰り返すようだと、今年ももう終わりかなという気がしてなりません。
・とにかく前回対戦は何の参考にもならず、面白い試合になるかと思います。
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<前節:鳥栖 1-0 新潟>
---豊田--カビル---
-----鎌田-----
-福田--高橋--キムミヌ-
吉田-谷口--ミンヒョク-藤田
------林-----
得点:64分 豊田
66分 エル・カビル→富山
90+2分 鎌田→早坂
<前回:鳥栖 0-0 浦和>
---早坂--豊田---
ペクソンドン----チェソングン
---福田--高橋---
吉田-谷口--ミンヒョク-藤田
------林-----
8分 早坂→富山
81分 ペクソンドン→菊地(菊地がCBに入って完全に5バック化)
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