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2016.10.16

【観戦記】16年ルヴァン杯決勝:浦和 1-1(PK5-4) G大阪 ~ 西川、ついに止めた!PK戦の末に浦和13年ぶりカップ奪回

・不用意に攻めに出てカウンターを喰らって先制され、その後攻めても攻めても点は入らない。辛うじて同点に追いついて延長戦にもつれ込んだところで選手達の疲労は顕著。そして最後に控えるのは西川が苦手なPK戦。

・どこからどう見ても浦和が負ける要素がてんこ盛り。典型的なG大阪戦の負けパターンにまたしてもずっぽりと嵌ったかのような流れ。今までの浦和なら最後の呉屋のポスト直撃のシュートが入って、お約束のように浦和が負けていた展開だったと思います。とにかく勝負弱さでは稀勢の里と双璧をなす浦和。勝者のメンタンピンなんて欠片も持ち合わせていない浦和。後半になってなぜか「ララ浦和」が流れ出し、さらにPK戦にもつれ込んだ時、正直「こりゃアカン」と思いました。

・しかし、勝ったのは浦和。ルヴァン杯を奪回したのは浦和。ついに浦和の「ここ一番に勝てないよ伝説」に終止符。浦和にとって2006年リーグ優勝以来の国内タイトル、ミシャにとっては広島時代から通じて初のタイトル。毎年大崩れすることなくコンスタントに勝ち点を積み上げるものの、どうしてもタイトルには手が届かなかった浦和の、そしてミシャの不運の日々はこれでおさらば。

・運の要素が強いと言われるPK戦ですが、運を引き寄せるようなことをしないチームには運は向いて来ない。浦和にはPK戦に末に敗れたFCソウル戦がどうやら下敷きになっていたようで、選ばれたキッカーはすべて妥当。延長戦に入ってほとんど動けなくなった興梠が選ばれたのには驚きましたが、その興梠も含めて東口にはどうしようもないコースに蹴って全員成功。最後に蹴った航にいたってはもう自信満々。メンタル強すぎ!

・かたやG大阪はPKを嫌がった選手がいたようで、代わりに志願した呉屋がPK失敗。西川が勝手に横に飛ぶと思い込んだようなシュートを放って、ものの見事に西川にぶち当て。全くと言っていいほどPKに弱い西川がここ一番でようやく大仕事。

・一応中立地扱い、かつルヴァン様の青が目立つとはいえ、事実上のホームと化した埼玉スタジアムでの戴冠は喜びもひとしお。長期離脱中の梅崎がカップを高々と掲げた際には思わず目に汗が(^_^;) 梅崎は浦和が一時代を終えた直後に移籍してきた選手なので、これまで辛いことしなかったかもしれん。だがしかし、久しぶりの戴冠を機に浦和の新時代が始まるのだ!!!

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・PK戦でなんとか勝ったとはいえ、G大阪は滅茶苦茶強かった。リーグ戦でボコボコにした際にはG大阪もすっかり弱くなったものだと半ばバカにしていましたが、やはりあの4-0は金が出場停止、今野が故障明けでベンチスタート、遠藤が絶不調、おまけに1トップの長沢が何の役にも立たないと悪い要素が3つ、4つと重なった末の結果なのでしょう。またこれまでG大阪戦に出てこなかった高木や駒井への研究不足もあったのかもしれません。

・しかし2週間の時を経てG大阪の陣容は今や万全。槙野の不用意すぎるボールロストを機にアデミウソンが単騎独走して17分に先制点を取り、その後は引き気味に構えて淡々とカウンターを狙う浦和戦必勝パターンに。

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・浦和は後半立ち上がりから攻めに攻め、関根クロス→武藤ヘッドを皮切りに次から次へと決定機を作りましたがシュートはことごとく枠外、ないし相手にブロックされてしまい、東口をびびらせるような枠内シュートは案外少なかったと思います。関根のエリア内突入と、高木が交代を命ぜられる直前のシュートが惜しかったくらい。

・浦和は両サイドこそやや優勢なものの、丹羽&金がエリア内中央を固め、井手口&今野がバイタルエリアを締めるG大阪守備陣にサイドからいくら仕掛けても中央で全部弾き返されてしまう。そして弾き返された後には攻め上がったWBの裏へ展開されてカウンターを浴びる始末。遠藤なり倉田なりに追加点を取られていたら、その時点で事実上試合終了でした。

・ところが、高木の惜しいシュートで得たCKをなんと高木に代わって投入された李がファーストタッチで決めて同点。那須不在時の浦和のCKなんて全く得点の臭いがなく、「浦和のCKは相手のカウンターチャンス」と自嘲する向きさえ少なくなかったのに、まさかこの大一番、この重大な局面でCKから点が入るとは! っちゅーか、どちらかと言えばG大阪戦ではCKでやられるのが浦和の芸風だろう(苦笑)。

・浦和は途中投入の選手が大仕事をやってのけたのに対し、G大阪は交代出場の選手が全てイマイチ。G大阪は宇佐美が抜け、パトリックが不振&故障してもファーストチョイスには何の問題もなく依然国内トップクラスの陣容を誇っているものの、控え選手が昨年までよりガクっと落ちるようになった感じ。長谷川監督が66分にアデミウソンを早々と下げて長沢を投入したのは明らかに失策でしょう。控え選手の出来の差が回り回って浦和の勝利を呼び込んだといっても差し支えないかと。

・もっとも最後の最後で藤本→呉屋のシュートが決まっていればG大阪の控え組の充実、長谷川監督采配ズバリになっていたわけで、この辺の評価は紙一重なのでしょうが。

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-----興梠-----
--高木----武藤--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----

得点:76分 李

36分 宇賀神→駒井(故障による交代)
70分 武藤→ズラタン
76分 高木→李

・MVPは李。ルヴァン杯全試合を通じて最も活躍した選手という意味では高木がMVPに相応しいと思いますが、何分決勝で勝たないと意味がないのがカップ戦。それゆえ決勝で起死回生の一撃を決めた李がMVPになるのも特段不思議はありません。

・それにしても今年のルヴァン杯は得るものが大きかった。最大の収穫はもちろんカップそのものですが普段の控え組が活躍し、控え組を含めたチームの総合力が格段に上がったのはカップに匹敵する収穫といって良いでしょう。

・常時代表に複数人を持って行かれ、おまけに五輪でなぜか興梠と航だけ極端な消耗を強いられて、普段の控え組だらけでルヴァン杯に臨んだにも関わらず、準々決勝&準決勝を全勝で突破。昨年控え組だらけで新潟戦に臨んでボコボコにされたのはいったい何だったのか?と訝しくなるほどの変貌ぶり。

・特に高木と駒井が大活躍して、その後リーグ戦でもレギュラー陣に割って入る働きを見せたのがなによりでかかったかと。また槙野不在時のオプションとして宇賀神左CBが使える目処が立ったのもでかい。これで名実とも選手層が厚くなって「レギュラー組の使い詰め→コンディション低下→終盤大失速」というミシャ鉄板コースからついに離脱。

・アウェー豪州戦から中3日の代表組(柏木・槙野・西川)は揃ってスタメン出場。槙野は不用意に攻め上がってボールを失い、カウンターの基点になってしまう大失態を犯し、負けていれば最大級の戦犯扱いは免れませんでしたが、その後はG大阪のカウンター攻撃に立ちふさがって追加点を許さず。功罪相半ばといったところ。

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----アデミウソン-----
大森---遠藤---倉田
---今野--井手口--
藤春-金---丹羽-米倉
-----東口-----

得点:17分 アデミウソン

66分 アデミウソン→長沢
72分 大森→藤本
88分 倉田→呉屋

・2年も日本にいる間に、まるで夜のスーパーの売れ残りみたいに随分値下がりして、とうとうG大阪が移籍金を払えるレベルになったアデミウソン。でも航と簡単に入れ替わって独走し、いとも簡単に西川との1対1を制してしまう辺り、値下がりしたとはいえ今なおそれなりにお高いだけのことはあるわ! でも長谷川監督がそのアデミウソンを早々にベンチに下げたのは謎過ぎました。

・準優勝に終わってもG大阪の選手達が特に不貞腐れた態度を見せなかったのはさすが。この辺りはタイトルに全然縁がないクラブとは格が違います。

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