【TV観戦記】16年ルヴァン杯準決勝第1戦:FC東京 1-2 浦和 ~ 一度相手に見せ場を与えてから最後はボコボコにする「昭和プロレス」的様式美の味スタ劇場
・後半の速い時間帯にFC東京(以下「瓦斯」)に先制を許したものの、堀コーチの選手交代が当たって終盤怒涛の2ゴールで一気に逆転。後半瓦斯にGKと1対1の絶好機があったとか、瓦斯の選手交代がどれもこれも不発だとか、前回対戦時と似た状況が随所で見受けられました。ATの興梠ヘッドが決まっていたらスコアまで同じだったのに(苦笑)。
・とにかく負ける気がしない味の素スタジアム。先制されても浦和は全く慌てる素振りすらない。瓦斯から見れば同点に追いつかれると「またこれかよ・・・」と悪い記憶ばかりが次々とフラッシュバックするせいか、武藤の逆転ゴールが決まった際に瓦斯の選手達から力が抜けてゆく様がTV画面越しからもはっきりと判りました。もはやどうにもならない負け犬根性。逆転されてもまだ10分以上時間が残っているのに瓦斯の反撃はいたっておざなりで、クロスもシュートも精度劣悪。
・浦和はアウェーゴールを2つ奪っての勝利。奇しくも準々決勝神戸戦と同じ状況で第2戦のホームゲームを迎えることになりました。中3日での連戦ゆえ若干スタメンを入れ替えるでしょうが、この試合で平川が大仕事をやってのけたことに象徴されるように、控え選手がやたら充実しているのが今年の浦和の一味違うところ。文字通り浦和の総力を上げて決勝へと突き進んでもらいたいものです。
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・共に代表でレギュラーを複数人欠く陣容。浦和は西川、柏木、槙野が代表で離脱し、大谷、青木、那須をスタメン起用。さらにG大阪戦から中3日を考慮してか、興梠→ズラタン、宇賀神→関根、高木→李とG大阪戦から大胆にも計6人を入れ替え。
・昨年までならここまで面子を入れ替えると天皇杯でJ2相手にすら負けてしまうくらい、浦和はレギュラーとサブの実力差が顕著なのが泣きどころでした。しかし、ルヴァン杯準々決勝でほぼフルメンバーの神戸相手に連勝したのを契機にサブメンバーに自信がつき、かつレギュラーとサブの競争が激しくなって、今や誰がスタメンで出てもそれなりに様になる状態まで浦和の実力がレベルアップ。
・瓦斯の出方は前回対戦時同様、最終ラインを高く押し上げて前から激しくプレッシャー。ただ前回と違って瓦斯の出方が予想の範囲内だった(瓦斯のプレッシャーも中3日が災いしてか、前回対戦時よりも鋭さを欠いていた印象を受けました)こともあり、浦和は瓦斯のプレッシャーによるボールロスト→ショートカウンターを喰らうような場面は全くありませんでした。
・それどころか立ち上がりの右サイドから遠藤クロス→李→関根を皮切りに、武藤→駒井クロス→李、阿部のボール奪取から李→ズラタンスルー→武藤で一気に中央突破という好機もあり、浦和のプレッシャーの前にビルドアップに苦しむ瓦斯を尻目にやや浦和優勢という格好で前半終了。
・瓦斯の前半のチャンスは後方からのスルーパスで羽生が浦和最終ライン裏に抜け出した場面だけで、それもシュートには至らず。瓦斯が苦し紛れに前田に放り込んでくるところは全て那須が対応。
・ところが後半開始早々瓦斯CKから浦和がカウンターに出たところで関根の縦パスがカットされたのが基点となって、逆に瓦斯のカウンターを浴びる羽目に。関根の帰陣が遅くて浦和左サイドから室屋クロス→羽生→東で失点。瓦斯もこの場面を勝負どころと見たのか、クロスに対してCB高橋までなだれ込んできました。
・ただ終わってみれば瓦斯にとってこの早い時間帯での先制点がかえって仇となった気がしないでもなく。GK秋元の露骨な時間かせぎに象徴されるように、先制点を得たことで瓦斯は気持ちが守りに入ってしまったのか、あるいは単に早々にガス欠モードに陥ってしまったせいか、瓦斯は前からのプレッシャーがすっかり減衰して一転引き気味に。
・ビハインドに陥った浦和は一気に瓦斯を自陣に一方的に押し込んで両サイドから攻撃を仕掛けるものの、クロスは全部瓦斯守備陣に跳ね返され、逆にカウンターを浴びがちに。リスク管理は万全でカウンターから瓦斯に決定機を与えるような事態には至りませんでしたが、ズラタンが不振で最前線でのボールの収まりが悪く、相手を押し込んでからの崩しに苦心している間に時間が徒過した印象。
・そこで堀コーチは李→高木、関根→平川、ズラタン→興梠を早めに時間帯に相次いで投入。特に興梠投入の効果は絶大で最前線でのボールの収まりが良くなり、興梠スイッチ→高木のミドルシュートでまず同点。さらに高木→平川クロス→武藤で一気に逆転に成功。
・一方、篠田監督は前回対戦時の5バック移行で自爆を反省してか、羽生→河野で中盤の運動量確保を試みましたが、全く何の役にも立たずに逆転されてしまい、さらに逆転されてから平山&ネイサンを投入するもこれまた何の役にも立たずに試合終了。結局先制後の瓦斯の決定機は素早いリスタートか中島がGK大谷と一対一になる場面だけでした。相変わらず90分通じてのゲームプランを持ち合わせていないようで、第2戦でも性懲りもなく「バンザイ突撃」を繰り返してくれるとありがたいのですが。
-----ズラタン-----
--武藤-----李--
関根-阿部--青木-駒井
-森脇--那須--遠藤-
-----大谷-----
得点:77分 高木、80分 武藤
61分 李→高木
70分 関根→平川
72分 ズラタン→興梠
・ミシャがベンチ入り禁止処分を受けて、あの悪夢の2011年以来堀コーチが久しぶりに陣頭指揮。しかも選手交代が全て的中。選手交代だけならミシャよりはるかに上手いのではないかという疑惑がフツフツと(苦笑)
・G大阪戦は出場停止だったので万全の状態でスタメン起用されたはずの関根が不振。開始早々の決定機でコースを狙いすぎてシュートが緩くなったのが災いしてかGK秋元にセーブされたのがケチのつけ始め。前回チンチンにしたはずの室屋相手に苦戦を強いられ、瓦斯最終ライン裏に飛び出す場面はすべてわずかにオフサイド。おまけに失点の主因になってしまいましたが、あの戻れなさっぷりからすればこの辺で既に小破していたのかも。
・関根小破で思わぬ出場機会を得た平川。最近はベンチ入りすらなくなり、今年の出番はもうないものと思い込んでいただけに出てきただけで感涙ものなのに、ここ一番でアシストを記録するとは!! 途中から関根や駒井が出てきても一発でクロスが中の選手に合うなんてまずないのに、出番が極めて限定的な平川が大仕事をやってのける。いやはやこれには恐れ入りました。ファーストタッチでボールコントロールに失敗した際にはどうなることかと思いましたが(^_^;)
・遠藤は広島戦で途中投入された左CBではなく、右CBでの起用。湘南での基本ポジションであり、浦和でもシーズン序盤はここで起用されたはずですが、この試合では守るのが精一杯で攻撃参加は最初にあったっきりかな? 同じ右CBでもカウンター時のなだれ込み要員っぽい湘南よりははるかにSBっぽい動きを求められるので、遠藤にとって似ているように全然違うポジションなのかも。
・前半室屋のクロスがファーの前田に合いかかった場面では駒井が前田に寄せて事なきを得ましたが、ファーストステージの駒井ならあの守備をさぼっていたような気がしました。やるべきことをきちんとやれるようになったからこそスタメンで出られるようになる。自然の摂理みたいなものですが、これができなくて浦和を去らざるを得ない選手が少なくないことを思えば、今年の駒井の伸びは凄い。もっとももう若手ではないので、やって当たり前なんですが。
-----前田-----
中島---東----羽生
---田邉--橋本---
小川-高橋--吉本-室屋
-----秋元-----
得点:49分 東
68分 羽生→河野
80分 前田→平山
82分 中島→ネイサン
・瓦斯は森重と丸山が代表で離脱し、高橋&吉本でCBを構成。さらに故障の徳永に代えて小川。また広島戦から梶山→橋本、河野→羽生、平山→前田とこちらも大幅入れ替え。
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