【観戦記】16年ルヴァン杯準決勝第2戦:浦和 3-1 FC東京 ~ またつまらぬものを斬ってしまった・・・
・第1戦はアウェーゴールを2つ奪っての勝利。ただわずか1点差なので、今年3回の対戦時同様FC東京(以下「瓦斯」)に先制を許すような展開になると選手より先にファン・サポーターに焦りが生じ、それが回り回って選手に伝播しやしないかと心配しましたが、終わってみればそれは全くの杞憂。先制点を取られるどころか、逆に浦和が先制して瓦斯の希望の灯を早々にかき消しての楽勝。
・3点リードで事実上勝負がついてしまった後の試合運びがいかにも拙く、死に体の相手から追加点が取れないどころか、やらずもがなの1点を与えたのが残念。たぶんチームを引き締める趣旨を兼ねて、この件についてはミシャから雷を落とされているような気がします。
・毎度毎度似たような手口で浦和に挑み、しかも試合を重ねるにつれて負けっぷりが悪くなる瓦斯。篠田監督は浦和対策という点では相当アレみたいなので、来年も「浦和への勝ち点配給マシーン」として続投願いたいものです。
・瓦斯はいつものように前からプレッシャーをかけてきましたが、前田に代えて1トップに平山を起用したのが良くないのか瓦斯のプレッシャーは全くと言っていいほど機能せず。浦和は序盤からいとも簡単に瓦斯のプレッシャーを交わして両WBに展開してチャンスメーク。
・24分の先制点は駒井に展開してから。駒井のクロスはフィニッシュに繋がりませんでしたが、なんとか興梠が収めたところから青木→高木とパスを繋いでの中央突破で興梠が仕上げ。この得点に象徴されるように瓦斯はこの試合を通じて両サイドで簡単に浦和のWBにボールを持たれ、さらに興梠を自由にしてしまう有り様で、篠田監督は前プレ以外に浦和対策を全く持ち合わせていないような気がします。
・2点以上取らないと先がない瓦斯は先制を許して攻守のバランスがいきなり崩壊したのか、前4人と最終ラインの間が空いて中盤がスカスカになり、一層浦和がやりたい放題に。浦和はバイタルエリアから何本も際どいミドルシュートを放って追加点の機運が高まる中、38分森脇→武藤→駒井のクロスに興梠が合わせて追加点。もうこの時間帯で瓦斯の守備網は完全に崩壊していて、浦和は各選手とも何のプレッシャーも受けずにボールを繋いでいました。
・2点奪うどころか2点も先制されて勝ち抜けが絶望的になった瓦斯は、田邉→バーンズで梶山アンカーの4-1-3-2みたいな超前がかりな布陣に変更。2トップははっきりしており、かつ東が田邉に代わってボランチというにはかなり前にいたような気がしました。
・まぁトーナメントで敗色濃厚な局面じゃないとこんな攻守のバランスもへったくれもない布陣は見られないでしょうが、殴り合いモードで死中に活を求めたかのような瓦斯の思惑は3点目を取られて早々にご破算。浦和は分厚い攻撃を仕掛けた過程で駒井がPKをゲット。興梠がきっちり決めて事実上勝利を決定づけただけでなく、興梠プロ初のハットトリックというおまけつき。
・その後は興梠→ズラタン、武藤→李、森脇→加賀とレギュラー陣を休ませる以上の意味合いを持たない選手交代の連続。絶好調だった興梠が退いたためか、攻撃の流れが悪くなり、攻守とも雑な感じに。関根エリア内突入や高木ミドルがバー直撃という見せ場もありましたが追加点はならず。ATに右サイドからのクロスで遠藤が完璧なお膳立てをしたものの、李もズラタンも決められなかったあたりにこの2人の調子落ちを象徴してた気も。
・またそれでも完封勝ちなら文句ないものを、浦和右サイドからの東のクロスに対して中島の裏抜けを許してしまい、やらずもがなの失点。どう見ても緩んでいたとしか言いようがない失点でミシャのお仕置きは免れないでしょう。
・決勝の相手は宿敵G大阪に決定。先日大勝したばかりとはいえ、たった1勝で屈辱にまみれた対G大阪戦の歴史が塗り替えられようはずがありません。今回ホーム埼玉スタジアムでG大阪を叩き潰してようやく暗黒史に晴れ間が見えるかどうかといったところでしょう。ミシャのお仕置きが決勝に向けて良い薬になりますように。
-----興梠-----
--高木----武藤--
関根-遠藤--青木-駒井
-宇賀神-那須--森脇-
-----大谷-----
得点:24分 興梠、38分 興梠、53分 興梠(PK)
61分 武藤→李
61分 興梠→ズラタン
67分 森脇→加賀
・第1戦でベンチ外だった宇賀神や、ベンチスタートだった興梠&高木を第2戦でスタメン起用するローテーションは想定内でしたが、驚いたのは阿部をスタメンから外したこと! 天皇杯4回戦の相手が強敵川崎になってしまったため、未だこれといった代役が見つからないため酷使に酷使を重ねた阿部を休ませるなら相対的に気楽なこの試合しかないと判断したのでしょう。
・阿部に代わって遠藤がボランチに。基本遠藤がやや前で青木が後ろという位置関係でしたが、正直瓦斯の出来がしょーもなすぎて遠藤&青木コンビの出来は良く判らず。ビルドアップには何の支障もなかったし、数少ない危ない場面でもそれなりに防いでいたので悪くはなかったのでしょうが、最大の見せ場が「カピバラルーレット」だったというのがいやはやなんとも。
・駒井は連戦をものともせず、対面の小川を文字通りチンチンにして攻撃の基点として大活躍。後半露骨に点を取りに行って失敗した関根とは対照的に、最後までサイドで実効的な働きを見せてくれました。90分持たずに守備に穴を開けまくっていた日々が嘘のような出来で、この3試合でミシャの評価は駒井>関根になったかも。逆に関根はニューヒーロー賞を意識したのが仇になったような気がします。
・90分躍動した点では高木の出来も文句なし。高精度のミドルシュートが撃てる選手は今まで浦和にあまりおらず、それゆえドン引きの相手に苦しみがちでしたが、高木のミドルはそんな相手に絶大な武器になります。今年のルヴァン杯は間違いなく高木の大会。
・久々出場の加賀。攻めなくていい、古典的なCBの働きで十分という気楽な場面での出場だったのに、前にくいつきすぎてその裏を突かれたかと思えば、簡単にスルーパスを許したりと、出番がない理由が良く判る出来で残念でした。やっぱり突然の出番で良い仕事をやってのける平川が凄すぎたのか・・・
・またまた緑で登場の大谷。中島やバーンズのエリア内からのシュートを的確なポジショニングでシュートコースを消してきっちり防いだかと思えば、「飛び出すな 車は急に止まれない」でハンドを取られたり、バックパスのコントロールに失敗してCKにしちゃったりと妙に悪目立ち。
-----平山-----
中島---東----河野
---田邉--梶山---
小川-橋本--吉本-室屋
-----秋元-----
得点:81分 中島
HT 田邉→バーンズ
60分 吉本→高橋(故障による交代)
70分 河野→水沼
・前田→平山、羽生→河野のローテーションは想定内でしたが、高橋のベンチスタートにはびっくり! 高橋の代わりに橋本をCBに入れて攻撃的な選手をズラズラ並べて殴り合いに出たつもりなのかもしれませんが、このスタメン構成が大失敗。
・前述のように平山をスタメンに入れたのが仇になって前からのプレッシャーはほとんど効かず。また吉本しかまともな選手がいない最終ラインは脆弱すぎてどうにもならず、しかも肝心の吉本が興梠を掴まえられず。
・点を取る以前に良い形でボールが奪えないと話にならないのにボールを奪う位置は概して低く、なんとかサイド奥深くまでボールを運んでもクロスは誰にも合わないの連続。これでは点は入りませんなぁ・・・
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