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2016.11.13

【TV観戦記】第96回天皇杯4回戦:川崎 3-3(PK4-1)浦和 ~ 一見壮絶なPK戦敗退だが、内容は甚だお粗末

・土壇場に追いつかれ、3-3になってからのPK戦負け。結果だけはACLラウンド16のソウル戦とそっくりで壮絶そのもの。興行的には非常に面白くはありましたが、内容は甚だお粗末。ソウル戦と違って「浦和はやるべきことをやり尽くしたが、相手も滅茶苦茶強かった。」といった負けてサバサバみたいな充実感はまるでなし。

「3度先制したのにその度に追いつかれてPK戦に持ち込まれたらこうなるわなぁ」といった予定調和的敗戦。いやそれ以前に前半のうちに川崎に虐殺されても何ら不思議はなくくらい浦和は酷い内容でした。主力がごっそりいないのが響いてか、前半数多繰り返された浦和のミスを一度もモノにできなかった川崎の出来も褒められたものではなく、「壮絶な凡戦」と形容するのが妥当でしょう。

・浦和はルヴァン決勝の激闘以降、リーグ戦は負けていないとはいえ内容はイマイチでしたから、ミシャが最終節のスタメンをベースにしたのがそもそも良くなかったのかもしれません。またリーグ戦年間勝ち点1位という目標を達成して、レギュラー陣を中心にチームに緩みが出てしまったのかもしれません。

・こりゃいかんとばかりにミシャは李&青木を早めに投入して(延長戦がありうることなんて一切考えない!)取り繕ったところまでは良かったのですが、最後に入れたズラタンの出来が酷くて攻守ともに足を引っ張りまくったのは大誤算。川崎が最後に投入した森本との出来の差で浦和は勝ちきれずにPK戦に持ち込まれたといっても過言ではないでしょう。

・よってミシャはCSに向けてスタメン&ベンチメンバーの見直しを余儀なくされると思います。試合間隔が2週間以上も空き、コンディション調整が難しいかもしれませんが、天皇杯敗退がチームを再度引き締め直す薬として作用してくれれば大いに結構。また天皇杯早期敗退によって浦和はCWCを闘ってもなおそこそこオフが取れることになったので、来年のチーム作りがやり易くなったとポジティブに受け止めることもできましょう。

・もっとも当然悪い見方もできましょう。風間監督の今季限りでの退任が確定しており、主力中の主力=大久保が移籍を公言しているようなチームが天皇杯やCSにモチベーションを保てるのかどうか正直疑わしかったのですが、主力を欠く川崎に等々力で劇的な勝ち方を許し、勢いを与えてしまったのがこの試合最大の痛手かもしれません。

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・それにしてもお粗末すぎる前半でした。浦和は代表で槙野&西川を欠いているとはいえ、既にルヴァン杯で何度も鍛えられた面子。川崎は小林・大島・中村を故障で欠いて、馴染みのない面子がゾロゾロ。川崎はやっているサッカーが技巧的というか芸術的なので、主力を欠くとどうしてもチーム力がガタ落ちになりがちゆえ、チームの成熟度の差で浦和が押し切れるだろうと戦前楽観視していましたが、その予想がこうも悪いほうに裏切られるとは!!!

・若手が名を連ねる川崎が無謀なくらいに前からガンガンプレッシャーをかけてくる、その勢いに気圧されたのか、浦和はパスミス続出。FC東京のようにペース配分もへったくれもなくプレッシャーをかけてくるチームなんて本来浦和には良いカモのはずで、パスを回して相手を再三走らせてしまえば何のことはないはずなのに、なぜかそれができない。まるでチーム立ち上げ時にまで退行したかのよう。

・特に柏木が自陣深い位置でボールを失うこと2度。また遠藤の縦パスが川崎にカットされる場面も。また浦和は玉際で競り負ける場面も多く、高い位置でのボール奪取ができない上に、後方からゴリゴリとドリブルで進出してくるエウシーニョや板倉になすすべなしといった情けない場面も。

・ところが川崎は大久保が低い位置にいる局面が多いせいもあってか、前目がいかにもタレント不足でせっかくの好機をことごとくフイに。特に三好は再三エリア内で絶好機を迎えながらなぜかシュートを躊躇。これに浦和は随分助けられました。

・たまらずミシャは後半頭から高木→李。さらに58分に柏木→青木と早めにお仕置き気味の交代。特に後者は一定の効果があり、川崎の運動量が落ちたことも相まって徐々に浦和がゆったりと落ち着いてボールを繋げるようになってきました。

・とはいえ、川崎が引いて守る5バックを攻略できる気配を醸し出すまでにはいきませんでしたが、武藤→ズタランの投入直後に森脇クロス→興梠で浦和先制。興梠の飛び出し&トラップは絶妙でしたが、GKチョン・ソンリョンが飛び出しを躊躇したことで生まれた得点ともいえる感じ。ソンリョンは怪我明けで試合勘がなかったと評されても仕方なく、これで川崎が負けてたらボロクソに叩かれていたでしょう。

・ところが、浦和は最後に投入したズラタンが攻守にわたって大不振。森脇がエリア内でハンド=PKを取られたのは良く判りませんでしたが、ズラタンがしょーもないパスミスでカウンターを喰らったのがその契機。ズラタンはその後も守備は緩慢だわ、攻撃にはほとんど絡まずに空気と化しているわ、おまけに最後はPKを失敗するわと散々な出来で、どう見てもこの試合の「負け選手」。これでは全く出番がない石原が不憫すぎる!

・川崎も川崎でエドゥアルド・ネットが自陣深い位置でのボールロストを機に浦和の波状攻撃を浴びる始末。そして興梠クロス→李ヘッドはソンリョンがなんとかセーブしたものの遠くに弾ききれなかったのが災いして、登里が倒れ込みながら自陣ゴールに叩き込んでしまう爆笑モノのオウンゴール。

・これでなんとか逃げ切れるかと思いきや、ATに入って登里クロス→森本で再び同点。直接的にはクロスに対する宇賀神の対応がトホホなんですが、それ以前にパワープレーモードの川崎に簡単にボールを前に運ばれているのが問題で、ここでもズタランのフォアチェックが全然なっていない。

・延長前半には川崎CKからのロングカウンターが炸裂。李→青木で前半のうちに浦和が再度リード。

・延長も後半になると双方足を攣る選手が続出しましたが、浦和は駒井・森脇と右サイドが二人とも足を攣り、しかも共にイエローカードをもらっているのが最後は痛手に。パワープレーに突入した川崎に浦和右サイドからノープレッシャーでクロスを上げられ、上げた先では関根&宇賀神とも長身の板倉に競り負け。最後はエドゥワルドに押し込まれて三度同点に追いつかれる大失態。

・2失点目、3失点目と同じような形でやられたのは今後の大反省材料。高さのある相手に宇賀神CBは無理があり、最終ラインが下がってしまうとどうしてもそこが狙われてしまう。また最終ラインが下がってしまうと那須ではなく遠藤を起用している意味がほとんどなくなってしまう。そして最終ラインが下がってしまった遠因は何か? 天皇杯早期敗退という大きな代償を払いましたが、この敗戦をCSの勝利に活かしてほしいものです。

-----興梠-----
--高木----武藤--
関根-阿部--柏木-駒井
-宇賀神-遠藤--森脇-
-----大谷-----

得点:71分 興梠 慎三、88分 OWN GOAL(登里)、97分 青木

HT 高木→李
58分 柏木→青木
71分 武藤→ズラタン

-----長谷川----
--三好---大久保-ー
車屋--ネット--板倉-エウシー
-谷口-エドゥアルド-田坂-
-----ソンリョン-----

得点:86分 大久保(PK)、90+1分 森本、117分 エドゥアルド

53分 エウシーニョ→森谷(負傷の影響?)
68分 長谷川→登里
75分 車屋→森本(登里が左WBへ)

・大島不在の川崎はボランチに大久保を起用するとの報道もありましたが、蓋を開けてみるとなんと本職CBの板倉がボランチに。しかもこれが出色の出来。

・主力不在が祟って川崎らしいパスワークでの崩しによる得点こそありませんでしたが、本来の持ち味とは真逆の力攻というか高さでのゴリ押しが最後の最後で効いてくるとは!

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